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さようなら

わたしはあなたに会えてよかったと思う。わたしはあなたに会えてよかった。わたしはあなたの姿を見る、あなたはわたしの姿を見る。

そのときわたしは、あなたがぼろぼろの傷だらけであることに気づく。わたしはあなたの傷に触れることをためらう。

あなたは誰?

傷だらけのあなたがあなただろうか、それとも傷づく前のあなたがあなただろうか。傷は癒えるものだろうか、それはこの先永遠にあなたに刻まれたものであろうか。刻まれつつあるのだろうか。

「あなたに会えてよかった」

傷ついたあなたに、そう、言葉をかけるとはどういう意味だろう。
たとえばわたしたちが(わたしたち、ということを許して欲しい)同じ怪物から逃げていたのならば、そのひとときの人生のどこかの地点で、たぶん水辺で、お互いに触れ、生きていてよかったと、これからも生きてと、言えるのかもしれない。なぜならわたしは生きていて、あなたも生きているから。
そしてすれ違い、走り去るから。

「あなたに会えてよかった」

「これからもあなたと一緒にいたい」

それは言ってもいい言葉なのですか?

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