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【堺シュライクス】野井優星、20歳の決意

早いもので1年

2018年6月26日。この日は堺シュライクスが結成されると発表された日だ。まだ堺シュライクスという名前もなく、リーグの名前もBESEBALL FIRST LEAGUEだった。そのニュースを見て、何かものすごくワクワクして、その週末行われた巨人3軍とBFL選抜の試合を見に行ったのを覚えている。

あれから1年経ったが、ありがたいことに私は堺シュライクスにワクワクし続けている。むしろのめり込み続けている。毎日楽しい。

その頃から見ていた投手

そして6月26日は、堺シュライクスの野井優星の誕生日だ。
代表選抜に選ばれてロッテ戦では無失点。リーグ戦でも6月は未だ無失点だ。

(↑ロッテ戦での詳細)

2018年に和歌山ファイティングバーズに入団し、中継ぎ投手として活躍。チャンピオンシップでは見事に1イニングを抑え、勝利投手にもなった。

初めて彼を見た時の印象は、制球はアバウトだが、荒々しいなりにハマればいい投手、というものだった。実際和歌山ファイティングバーズのシーズン最終戦に登板した時は四球からピンチを招き降板していた。

それから半年。堺では先発中継ぎとフル回転している。初の先発登板となった4月7日には初回に3失点。いきなり藤江コーチから説教を食らうというシーンもあった。

(↑藤江コーチから色々聞かされている野井。繰り返すが、初回終わってすぐである)

しかし、その後緊急リリーフで好投したりするなどし、5月末にロッテ戦の選抜メンバーに選ばれた。着実にレベルアップはしている。

自信をつけろ

ある日の練習のこと。投手がランニングを行なっていた。
2チームに分けて規定のタイムをそれぞれ決めて走る、というものだった。野井はチーム分けは自由だったようだが、その段階で、タイムが遅く設定されているチームに入った。

それを藤江コーチが見逃さなかった。野井自身はそれなりのタイムで走ることができたのだが、他の選手が規定のタイムで走れないと、もう1本走らないといけない、というルールだった。案の定、走る数が増えていく。

「野井、(タイム設定が)速い方に入っとったら今頃終わってたんやぞ。そんな遠慮とかいらんねん。今のお前やったら塩をかけたら溶けるナメクジみたいなもんやぞ」

藤江コーチなりの厳しい言葉だ。ナメクジのくだりはメンタルを指している。
実際野井はほぼ全ての走りで問題なくタイムはクリアできていた。そこで自信がつけられるかどうかだ。

「ランニング不要論とか言われてますけど、体とメンタルを一緒に鍛えられるのはやっぱり走る事なんです。もちろんそれ以外の練習も必要ですが、そうして土台を作っていこうと思ってます」

別途藤江コーチが語ったランニングの意義。それ以降も野井はとにかく走っている。

シートバッティングの後で

6月26日。野井の誕生日。この日の練習のメインはシートバッティングだった。野井はヒットこそ打たれたものの、ストレートで打者を詰まらせて打ち取っていく。

間近で見て驚いたが、球速以上にびっくりするほど球が伸びていく。
フォーム自体にひねりはないが、タイミングが合わない。打者の反応を見る限りそんな様子だった。

練習後、話を聞いてみた。

ー打者が完全に詰まっていた様子だった

「投球練習に段階を踏むようにしました。実はちょっと前までは下半身の動きを意識して、この前ぐらいから上半身や腕の振りを意識して・・・という感じで。いいように組み合わさってきたのかなと思います」

ー浦和でロッテの選手の練習を見たと兵庫の橋本コーチがツイートしていたがどんな感じだったのか。

↑橋本コーチのツイート

「見学したのは成田翔投手、小島和哉投手でした。成田投手は侍ジャパンにも選ばれてますし、小島投手も(甲子園優勝など)経歴がすごい投手ですが・・・正直ボールの速さだけなら関西独立リーグにいる選手と大差ないと思っていましたが、キレとかが全然違いました。あれを見ていると、(関西独立リーグの選手は)野手が投げているようなボールだなって思いました。1日目にロッテの先発だった原(嵩)さんなんかでもスピードだけならリーグのバッターは捉えられそうなのに、全然歯が立たなかった。プロはキャッチボールからでも違うと言いますが、本当に違いました」

ーそれで段階を踏むように

「まだまだですけど、そうしていい方向に変えていければと思っています」

見据える先

話はシートバッティングに戻る。結構な打者を詰まらせ、上々の仕上がりを見せた野井を見て、藤江コーチがボソッと言った。

「左のエースやな。ナメクジ言うてたあいつが・・・」

私が近くにいたのでリップサービスだったのか、それとも本心だったのかはわからない。だがその日投げた投手の中で1番の出来だったのは間違いない。

下世話かもしれないが、藤江コーチがそう言ってたことを伝えると「ちょっとは評価が上がったのかな?もっと頑張ります!」と笑って車の方へ帰っていった。

次回のソフトバンク戦の選抜メンバーには選ばれなかったが、この後もきっと選ばれる機会はあるだろう。

意識が変われば行動が変わる、行動が変われば人が変わる、人が変われば運命が変わるー そんな言葉があるが、あの日、チームメイトが安田尚憲にボコボコ打たれるのを見るしかなかった野井の運命は、少しずつ、変わりつつある。

これから拓く未来を見据えてー 20代になった野井の投球に要注目だ。

(練習の最後「プレゼント募集してます!」と言って締めた野井)

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