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肩前方のインピンジメントについて考える

インピンジメントとは「衝突」という意味であり、肩峰下インピンジメント症候群は、肩峰と腱板の衝突により生じる痛みや可動域制限を引き起こす病態の総称である。腱板に、炎症による浮腫や損傷がある場合、肩jtを挙上することにより疼痛が誘発される。1972年、Neerはこのような疾患群を肩峰下インピンジメント症候群と命名した。MRI、エコーなどの画像診断が発達した現在、腱板完全断裂・部分断裂と診断されれば、これらは肩峰下インピンジメント症候群から除外される。現在では、肩峰下インピンジメント症候群という診断名は幻滅している。

近年、エコー機器の解像度がよくなっており、病態把握がより明確できるようになってきた。エコーにて、腋窩部の拘縮、筋などの軟部組織の伸張性低下、組織間の滑走性低下が評価しやすくなっており、小円筋、上腕三頭筋長頭、大円筋を中心としたQLSに注目が集まるようになっている。

肩関節は球関節であり、小さなお皿(関節窩)で大きなボール(上腕骨頭)を支えている関節であり、後下方が改善されれば、挙上位での前方が気になる。150°挙上位で小円筋の柔軟性に問題なければ、前方のインピンジメントを疑う。また、痛み・痺れ・違和感の訴え方も後方の硬さと前方のインピンジメントでは異なる。後方の硬さは腋窩神経の絞扼から三角筋中部線維・後部線維の間から後方に訴えるのに対し、前方のインピンジメントは、LHB、結節間溝に訴えることが多い印象がある。

今回は、肩峰下インピンジメント症候群についてまとめ、肩前方のインピンジメントについて記載したい。

肩峰下インピンジメント症候群

肩峰下インピンジメント症候群の診断のアルゴリズム

肩峰下について考える。肩関節:解剖学的、機能的を含めて5つの関節がある。

そのうち、第2肩jt

肩峰下jtと表現されることもある。

肩峰下jt:筋下包(肩峰下包と三角筋下包)で縁どられる。肩峰と回旋筋腱板(肩jtの筋肉の腱板)は上腕骨骨頭を関節窩に押し付ける。

挙上位にて三角筋、大胸筋をかき分け、上腕二頭筋短頭、烏口腕筋の外側から肩甲下筋を触知する。そのまま、内外旋を行い、肩甲下筋にアプローチする。
鎖骨の動きを考慮して僧帽筋をはじめとした頚部筋にもアプローチする。
肩甲下筋や頚部筋へのアプローチがインピンジメント症候群に有効だと考えている。

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インピンジメントへのご意見ありましたら、コメントお願いいたします。

引用参考文献
坂井建雄他)監訳:プロメテウス解剖学アトラス解剖学総論/運動器系第3版、医学書院、2019年、1月
信原克哉:肩その機能と臨床 第4版、医学書院、2020
中村耕三総編:肩こり・頚部痛クリニカルプラクティス、中村書店、2011年、9月

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