少年野球選手傷害シリーズ OCD

 OCDは成長期の野球選手にみられる肘関節の外側障害であり、骨端線閉鎖前のOCDの初診時年齢は平均年齢11.6歳、症状出現時の年齢は平均11.2歳であった。頻度は1.7~1.9%の発症率と報告されている。
 リハビリを担当する上で、最も注意しなければならないのは、筋力や可動域、感覚などの肘の機能を改善させる事もさることながら、病期によって長期の投球禁止期間を強いられる成長期の選手に対して、その期間をいかに過ごされるのかを慎重に考慮しなければならない。近年、少年野球のレベルが上がっており、高円宮賜杯など全国大会ともなれば、小学生と雖(いえど)も白熱する。また、親御さんの熱の入り方も、“今”に集中したい、チームメイトの一緒にも目標に向かって頑張りたいという気持ちは非常に心苦しい。
 しかし、投球禁止期間は必要である。前回アップロードした腰椎分離症に対する理解は向上してきた。OCDに対する理解も向上してもらいたいと思い、今回はOCDについて端的にまとめ、アップします。

 2021年~2023年までSBBCSでの野球肘検診等にて、OCDが疑われた選手は7名です。年間、地区で1~2名。頻度は1.7~1.9と高原政利先生が肩と肘のスポーツ障害の中で報告している割合とほぼ一致している。OCDが疑われる選手の特徴は2パターンである。身長が高く、サードなどの遠距離を投げる必要がある選手。もう一つのパターンは、骨盤が後傾し、利き手を挙上する際に胸が張れず、腕が引けず、利き手だけで挙上している選手である。投手の経験は必須で、捕手を経験している選手は1名で、その選手のメインポジションはサードでした。
 この両方のパターンに共通しているのが、お父さんが熱心に指導されている殿である。試合中はだいたいバックネットとベンチの立っておられ、試合のお手伝いをしながら、選手の成長を観ておられるお父さんである。逆に、お母さんが熱心でお父さんが一歩引いているような親御さんの選手にOCDが見つかった選手はほぼいない。
 これは、本当にお願いなんですが、大事な選手の大事な大きな一歩目である小学生です。昔の経験や親御さんにとって都合のいい事だけをおっしゃる事を信じるのではなく、医療従事者の話には耳を傾けてください。特に、前者のパターンの選手は、将来有望です!正しく休んで、正しくトレーニングをし、ご飯をしっかり食べ、よく寝れば、高校ではエースになれる存在です。後者のパターンも同様に過ごせば、必ず1/9のレギュラーになれる存在です。お願いですから、学童選手の将来をつぶす親御さんにはならないでください。日本の野球は高校から先が勝負です。小学校や中学校は成長段階であり、しっかりとした土台を作る時期です。野球は投げる、打つ、捕る、走る、考える等が必要な高度なスポーツです。投げられなくてもチームに貢献できます!半年投げなくても投げる事を忘れる事はありません。感覚も2,3週間で必ず戻ります。
 何卒宜しくお願い致します❕❕❕
引用参考文献
 肩と肘のスポーツ障害 診断と治療のテクニック、中外医学社

 私のnoteで、肘関節の解剖学を中心にまとめてあります。こちらも参考にしてみて下さい。


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