SNSマーケティング(プロモーション)について考える その2

今回は、前回宿題にしてしまった「バズる」というお話しです。

前回の話で、「バズらせる」とか「担当者をつける」という発言をする方に、ひっこんでもらったと記しました。
その方とはあまりしっかり話していませんが、「webはこうするもの」という考え方で、ちゃんと理由を説明できそうになかった(おそらく、、、絶対できません)ので、話す必要がないと判断しました。

僕はプロモーション戦略を考えるとき、基本的に「バズる」という考えはありません。中小・零細企業の場合、その条件が整わないからです。

今回はその内容について考えたいと思います。

・消費財の分類から見た特徴
これは販売士3級のテキスにある内容ですから、かなり基礎的な内容です。ちなみに販売士は2級でも合格者の70%が10代から20代ということなので、全く難しい内容ではありません。消費財には、「最寄品」「買回品」「専門品」という分類ぎあります。この内だけでも、価格帯、購入頻度、購入サイクル、購入方法、意思決定に要するに時間など、様々な条件が変わります。こうした程度のことも考えずに、何でも「バズる」なんてことは考えられませんし、ましてや購買に繋がるとは考えられません。

実際に商品の特性を考えるときは、さらに多くの、様々な視点から考えます。加えて、費用対効果やその商品の広告負担力など、様々な要素を考えますから、安易に「バズる」などと言う人は、、、‘僕は’眉唾くらいにしか思えません。
そこに闇雲に担当者をつけるなど、明らかにサンクコストとしか考えられません。

僕はよくコストについて話します。そのとき、「時間」もコストとして考えてもらうようにしています。
顧客満足を最大化するのであれば、顧客に無駄なコストを支払わせてはいけません。無駄な情報を読ませる行為は、顧客からコストを奪う行為です。
闇雲に情報を発信するのではなく、やはりしっかりとしたコミュニケーションを考えるべきだと思います。

・マーケティングの4Pから考える
これまでにも何度かマーケティングの4Pについてお話ししてきましたので、ここでは説明は割愛します。4Pの説明をするとき、必ず最初にProductが出てきます。そして最後にPromotionが出てきます。これはなぜなのでしょうか。

端的に言えば「品質ありき」だからです。

例としてマスクについて考えてみましょう。
今年の春、マスクが一気に高騰しました。必要不可欠で消耗品であることから、高くても品質は二の次、まず手にいれなければなりませんでした。
しかし必需品ですからすぐに供給量が増えることは明らかでした。当然価格もすぐに下落します。消費者のマスクへの要求は、安全性や快適性へとシフトします。「アベノマスク」が配布される頃には、その品質が話題となったのは当然の流れです。

こうなっては、いくら品質の悪いものをPromotionしても意味がありません。ここで無理に「バズらせる」ようなことをすれば、下手をすれば、一気に「炎上」してしまいます。

これも僕が「バズる」ということを考えない理由の1つです。

・人の行動から考える
「バズる」キーワードに反応する人はどのような人でしょうか。
良く言えば「トレンドに敏感な人」ということになりますが、悪く言えば「情報に流される人」や「情報を吟味しない人」ということになります。
僕が携わった事業で、「バズる」ことで利益を得られるものはほとんどありませんでした。なぜなら、圧倒的にスケールメリットが働かないからです。
そもそも「バズる」ことで成功した事業や製品は、一定以上のスケールメリットを持ったもので、価格が手頃なもの、そしてリピート率の高いものです。また、これ以外の場合は、品質が極めて高いものです。

つまり、初期投資コストが高いものということになります。

こうしたもののプロモーションは、当然費用がかかりますし、そもそも一定以上のプロモーション費用を最初から想定しています。「バズらせたい」と思うのは、それまでに比べて、急速に売り上げを伸ばしたり、新たな市場を獲得したいという考えからだと思いますが、製品やサービスによほど顕著な変化や、品質の向上がない限り、よほどの幸運か偶然がなければ、ほぼ困難でしょう。

・結局大切なのはコミュニケーション
最近こんな話を聞きました。
ある企業で、以前と営業マンの成績に変化が現れたというのです。
それまでは、良くも悪くも「とにかく売る」という営業マンの成績が良かったそうですが、最近では、小売業出身の、コミュニケーション能力が高い影響マンの方が成績が良いとのことでした。
その製品やサービスの特性にもよります。先に述べた消費財の特性では、専門品に当たりますからなおさらです。
しかし現在の、先行きが不透明で、情報に溢れた状況では、安心して製品やサービスを選択してもらうことの方が重要です。勿論、価格訴求が求められるのであれば話は別ですが、この場合、やはりスケールメリットが必要になりますし、加えて品質も問われます。
実はこのような製品やサービスを提供する企業は、顧客とのコミュニケーションがしっかりとれているのです。

「急がば回れ」と言ってしまうと、みも蓋もありませんが、地道な努力に勝るものはないのかと思います。

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