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TOPICS よく受ける質問~どんな本を読んだらいいか

大学で経営学をおしえていると、特に社会人の方から「どんな本を読んだらよいか」とか、「経営学を簡単に勉強できる本をおしえてほしい」という質問を受けます。この質問に答えるのは難しいです。

順番が逆になりますが、結論から言うと、「簡単に経営学を学べる」本は、「簡単に」しか書いていないので、そうした本は知りません。実はこの「簡単に」というのが厄介なのです。
例えばこんな話を聞いたことがあります。書店で必ず売れ続ける本があるとか。それは「ダイエット」「料理」「お金儲け」の本だとか。実はどれも「カンタン」とか「楽して」というものがありますが、実際には「楽して」実現することはまずあり得ないからです。そういえばこんな話も聞きました。資格は取得にかかる時間と費用に比例してできることが変わると。世の中には色々な資格があります。中には数時間や数日の講習でとれる資格もあります。これらのものと、司法試験や医師免許が同じであるはずがありません。ですから大学の講義で「簡単に」学べる本は使用したことがないので知りません。

また「どんな本を読んだらいいか」というのも、難しい質問です。なぜならその人それぞれによって、適した本は異なるからです。例えば僕は経営学については、専門書や学術書を読むことが多いです。しかし不得意な分野、例えばITについては、初心者向けのもので精一杯です。なぜなら基礎知識が圧倒的に不足しているからです。つまり専門家にとって「解りやすい」本でも、初心者にとってはチンプンカンプンになってしまうからです。ですから本当に勉強したいという人には、「ちょっと背伸びして読める本」と答えるようにしています。

加えて、、、「お勧めしない本」と答えるようにしているものがあります。

1つは「マンガ版」と「エッセンス版」です。どちらも入門には良いように思われますが、本当に勉強したい人であれば、すぐに不十分になるのでもったいないです。もう1つは名言集です。これも全てダメとは言いませんが、多くの場合、感銘は受けても勉強にならないからです。名言は、その言葉が「いつ、誰が、どのような状況で、誰に」言ったのかを理解していないと、その真意を理解できず、かえってマイナスの結果を生みやすいからです。

お読み頂いた方の参考になればさいわいです。
(写真は僕の書棚の一部です。自身の著書がありますが、既に絶版です。すみません。)

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