チョウさんのパワハラ疑惑報道について思うこと。

先週末のジュビロ磐田戦に勝利し、今季3度目の連勝を達成した湘南ベルマーレ。

しかし、そんな勢いのあるチームに水を差すように、寝耳に水なニュースが流れてきた。

チョウさんのパワハラ疑惑報道である。


ちなみに、パワーハラスメントの定義についてはこちらをチェック。

2005年に下部組織の指導者としてベルマーレにやってきて、2009年にはトップチームのヘッドコーチを務め(当時は反町康治監督)、2012年にトップチームの監督に就任。

トップチームの監督経験がなく、監督就任当初はその手腕を疑問視する声は少なくなかった。
しかし、2012年のJ2リーグ開幕戦の京都サンガ戦でその不安は瞬く間に消え去った。
後半アディショナルタイムに菊池大介(現:柏レイソル)が決勝点を決めて勝利を収めたことはもちろんだったのだが、その試合のスタメン平均年齢は22歳ベルマーレの下部組織出身選手が5人(鎌田翔雅、遠藤航、古林将太、菊池大介、馬場賢治)も名を連ね、フレッシュな若さとアグレッシブな走力を生かした“湘南スタイル”、のインパクトは本当に凄まじかった。

7年経った今でも覚えているが、選手たちから

俺たちはこのサッカーをやるのが楽しいんだ!!!


という気持ちがワンプレーごとに強く伝わってきた。
ここまで選手を強く“見せる”ことができるのは、間違いなくチョウさんの手腕だろう。

その後の成績はこんな感じ。

2012  J2  2位(J1昇格)
2013  J1  16位(J2降格)
2014  J2  1位(J1昇格)
2015  J1  8位
2016  J1  17位(J2降格)
2017  J2  1位(J1昇格)
2018  J1  13位(ルヴァンカップ優勝)
2019  J1  11位(8月15日現在)

3回のJ1昇格、2回のJ2降格を経験する“エレベータークラブ”として揶揄されることはあったけれど、チョウさんの監督在任中に、前述の遠藤航、永木亮太は日本代表に選出されるまでに成長を遂げ、下部組織からはU-20ワールドカップで日本代表の主将を務めることになる齊藤未月を発掘・台頭させ、菊地俊介、杉岡大暉、坂圭祐といった高卒・大卒の有望新人を獲得できるようになり、他クラブで燻っていた山田直輝・梅崎司らの輝きを取り戻し、J2クラブからステップアップを望んでいた秋元陽太、山﨑凌吾らをJ1リーグで闘えるまでの選手に成長させ、今は他クラブで活躍する石川俊輝、岩尾憲、亀川諒史らの才能を見出し、プロ選手としての土台を造り上げたりもした。
(この代表例はほんの一部)

これらに代表されるように、湘南ベルマーレというサッカークラブにおいて、曺貴裁(チョウ・キジェ)という指導者はなくてはならない存在であり、チョウさん自身が持ってるサッカーに対しての情熱、造詣の深さに関しては、いちサッカー人として大いにリスペクトできるところがある。

なので、いちサポーターとしての自分の意見は、チョウさんに監督を続けてもらいたい。
というのが、サポーターとしての本音。

しかし、いちサッカー人として考えてみると、今回のパワハラ疑惑報道は(誰かの陰謀があったにせよ)、遅かれ早かれ出てきてしまってもおかしくなかったようにも思える。

最近はあまり行けていないが、ベルマーレの練習や練習試合を観に行った時に、いわゆる“チョウさんのアツい指導”を目にすることがある。

「選手にそこまでやらせるか⁉︎」と観てて思うこともあるし、「監督からめっちゃ言われて可哀想だな〜、〇〇選手は〜」と変に同情してしまうこともあったのも事実。
誰かが“ベルマーレは究極の部活サッカー”みたいなことを言ってたけど、本当にその通りだな、って妙に納得いったこともあった。笑

確かに、側から見るとチョウさんの指導はめっちゃ厳しいし、選手に課す要求も高い。
アンパンマンの必殺技、アンパンチが暴力的描写として捉えられてしまう今の時代、チョウさんのアツイ指導がパワハラだと捉えられてしまっても否定は出来ないかな、と思ってしまう自分もいる。

ましてや、今回のパワハラ疑惑に関して匿名で密告した人物がいるなら、なおさらのことである。
その人物にとっては、耐え難い苦しさを味わっていて、改善を求めた上での密告を行なっているのかもしれない。
はたまた、チョウさんを、ベルマーレを陥れたくて今回の行動に移したのかもしれない。
真意に関しては、本人じゃないのでよくは分からないけどね。

ただ、チョウさんは自分の虫の居所が悪いからといって周囲に当たり散らすような人ではないように見えるし、自分が面倒を見る選手の可能性を大きく信じている指導者だと思う。
監督としての手腕には疑問の余地はないし、クラブ史に残る大功労者なのは間違いない。

クラブとしては、時間がかかってでもチョウさんを慰留させて、チョウさんに改善すべき点があるならその部分を本気で直させたい、と言う狙いがあるのだろう。
だが、チョウさんは今シーズンで監督生活8年目を迎えていて、チョウさんを退任させるタイミング、というのも考えなくてはいけないのもまた事実。

個人的な理想はチョウさんを慰留させて、残った選手たちに頑張ってもらって、J1残留を決めて「チョウさん長い間本当にありがとう、そしてお疲れ様でした!」と言って、送り出してあげたい。
その後は高橋健二コーチに任せるも、新監督を迎えるにしても、クラブの決断に従うだけ。
新しい一歩を踏み出すのも、ベルマーレにとって必要な英断になるはずだ。

いずれにしてもピッチ内外で厳しい闘いは今後も続くと予想される。
チョウさんについてくつもりで浦和レッズから期限付き移籍でやってきた武富孝介が移籍期間終了を目前にして浦和に帰ってしまった。
今年のオフの選手編成にも少なからず影響は出てきてしまうだろう。

だが、チームとしての歩みは止められない。
まずは週末のサガン鳥栖戦。
チョウさんが居なくても俺たちはやれる!というところを証明したい。

運命というものは、人をいかなる災難にあわせても、必ず一方の戸口をあけておいて、そこから救いの手を差し伸べてくれるものよ。




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