"卵"の側に立つということ。

前回、ベルマーレの曺貴裁監督退任に伴い、このような記事を書いた。

思ってたより多くの反響があってビックリしました。笑
読んでくださった皆様、ありがとうございました!

そして、曺貴裁"前監督"に替わり、新しいお方がベルマーレの監督に就任しました。

ベルマーレでは2011、2012年にトップチームのコーチを、2013年からアカデミーダイレクターを務めていた浮島敏さんが監督に就任。

アカデミーダイレクター(ベルマーレの育成組織の指導者部門の統括者と言うべき立場)を務めながら、ベルマーレU-18を率いており、10月上旬(監督就任当時)という時期、リーグ戦残り6試合で15位という現状を踏まえて、ベルマーレとしてみればある意味ベターな人選とも言えるだろう。

また、浮島さんの元でテクニカルダイレクターとして働いていた関口潔さんが新設されたGM(ゼネラルマネージャー)職に就任ベルマーレU-18のコーチを務めていた石川桂さん(浮島さんの腹心的存在?)をトップチームのコーチに引き上げた。

チョウ前監督のパワハラ指導疑惑報道が出てから2ヶ月、暫定指揮を執っていた高橋健二コーチの元で結果は出ず(6試合で2分け4敗)、特に直近2試合は2試合で0得点11失点という散々な出来だったベルマーレ。

チョウ前監督の指導がパワハラ認定されたことはもはや揺るぎない真実であるだろうが(本人も否定している部分はあるにせよ)、一連の報道の煽りを受けて選手がプレーに集中できる環境が作れなかったことチョウさんを信じ切っていた眞壁会長を始めとしたフロント陣の動きが(結果的にだけど)遅れてしまったこと、が重なって今回の事態に陥った。
というのが個人的な要因。

リーグ戦が残り6試合"しか"なく、順位は残留圏内15位という状況で、約8年間監督を務めてきた功労者と言うべき人がパワハラ指導を認定されて辞任、しかも直近の台風19号の影響で練習場の馬入グランドが水没し、復旧作業にすら取り掛かれない、という不測の事態に襲われまくっている湘南ベルマーレ。

もはや、J2に落ちるのも無理はないか…


と言ってもいいくらい追い込まれた状況にあるのは間違いない。
しかし、「神様は乗り越えられない試練は与えない」というのはよく言ったもので、ここで諦めちゃうのも無難だとは思うけど、あえて居続けて闘い続けるのを選んだ方がベルマーレらしい"ALIVE"の形なのかな、とも思う。

"もしここに硬い大きな壁があり、それにぶつかって割れて卵があるのだとしたら、私は常に卵の側に立ちます。"

伝説のスピーチ、として有名な村上春樹さんのエルサレム賞のスピーチの中の一文。
村上春樹さんはさらにこうも続けている。

"そう、どれほど壁が正しく、卵が間違っていたとしても、それでもなお私は卵の側に立ちます。正しいか正しくないかは、他の誰かが決定することです。あるいは時間や歴史が決定することです。もし小説家がいかなる理由があれ、壁の側に立って作品を書いたとしたら、いったいその作家にどの値打ちがあるでしょう?"

硬くて大きな壁はシステムとも言うべきか。
規則であったり、やり方であったり、人が編み出した方法、とも取れる。(ざっくり笑)
時に、様々な武器に形を変えて人をやっつけたりして、冷たく効率よく人を大きく傷つける。
そこに、心は入っていない。

かたや、卵は非常に脆くて壊れやすい。
だけど、一人ひとりの中にかけがえのない魂、心が入っている。
卵はほとんど硬くて大きな壁に跳ね返されがちだが、人々の心を動かすのは魂であり心だ。

サッカーにもシステムは存在する。
チームの闘い方であったり、ピッチ上のルールブックとなる審判であったり、あまり言いたくはないけど強大な権力を持つ人そのものが"システム"だったりする。

だがしかし、人々に喜怒哀楽の感情を沸かせるのはいつどんな時だって"卵"の部分である。
センスであったり、インスピレーションであったり、パッションであったり…
ピッチ内外それぞれに魂が宿っているから、世界中の人たちが壊れるくらいに、または狂ってしまうほどにサッカーボールに運命を任せてしまうのだ。

ベルマーレはJリーグの中でも強大な力を持っていると言うわけではなく、むしろ卵の側として生きてきたクラブだと思う。

親会社が経営撤退して、クラブがなくなりかけた。
J2に落ちてからJ1に戻ってくるまで10年かかった。
2009年から2019年までの10年間でJ1昇格4回、J2降格3位も経験した。
クラブ史上初のJリーグカップを取った翌年に、監督の指導がパワハラ認定されてその後辞任した。

これだけ波乱万丈な歩みを続けてるサッカークラブはそうそうないと思う。
(チームフラッグに大きな波が描かれているからある意味しょうがないんだけどw)


成功もしたし、そのぶんたくさんの失敗もしてきた。
でも、クラブがこうして今の今まで歩みを続けられているのは、"卵"が、"壁"に何度も跳ね返されても挑み続けられたからだ。
一人ひとりの力が小さくても、それぞれの心に寄り添い、かけがえのない自分と他人を信じることが出来れば、大きな壁を乗り越える、またはぶち破ることも可能だろう。

いま、日本列島を大きく沸かしているラグビー日本代表のように"ONE TEAM"になれると信じてる。
せっかくならば、挑んでやろうじゃない。
硬くて大きい壁とやらに。

真っ白くて純粋無垢な心と、キミたちの魂が集まれば、壁を乗り越えることだって決して不可能じゃない!
加速していこう!!!


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