読書日記(2023.11.10) 徒弟制度とイデア


第4章『仕事』に書いてあった話。


職人には独居(ソリチュード)が死活の必要条件だと書いてあった。

職人はもののイデアと対峙して、材料を支配している。

親方(マスター)とは材料を支配(マスタリー)して、頭の中のイデアに近いものを創作するということだそうだ。

徒弟制度における親方というのは、弟子を育てるためにあるのではなく、独居においてイデアと対峙する姿勢を示しているだけである。

基本は、独居である。

噺家や将棋の棋士は徒弟制だが、師匠というのは、あるべきイデアと対峙する方法を、弟子に背中で教えいるのであって、技術のマニュアルを教えるのとはワケが違うということだ。

昔の寿司職人は、技術は見て盗めということで、弟子に教えなかったそうだが。

そもそも、技術を教えるのではなく、「寿司のイデア」を弟子の頭の中に見せてやるのが、親方の務めであるということだ。

阪神の矢野監督は、選手を育てることはうまかったと思うが、岡田監督は、勝利する野球というイデアを見ていた。

イデアのない技術論だけでは野球も勝てない。

(おわり)



お志有難うございます。