逃げられる前に、言葉に変える。

腹一杯で動けない。ベランダで夫婦そろってパジャマでタバコを吸っている。風がもう春の暖かさだ。この時期、ベランダに置いたベンチは猫ととの取り合いになる。

そういえば今日、休日だった。直前まで知らないまま打ち合わせに向かった。こんこんと語りながら企画をまとめていく。ゴールに旗をたてて、各自宿題を持ち帰る。

帰りの電車に乗ろうとして、そうだ飯を食おうと街をうろうろする。
しかし、どこも並んでいる。今日は休日。忘れていた。適当に入った店で大盛りのラーメンを食べてしまう。欲張って大盛りを食べるのをやめようとしていたのにうっかりだ。おはようぐらいうっかり大盛りを頼んでしまう。

ラーメン屋を出て、うーむと考える。外は春の陽気。考え事しながら歩いて帰るか。と歩き出す。大盛りが並盛りくらいになるだろうという淡い期待。別件で進めている物件仕事の現地もチラ見して、てくてく歩く。

家に帰ると週末のようにこどもたちがゴロゴロしている。
俺もゴロゴロしようと軽く1時間だけと思い昼寝をしたら、夜だった。
妻はスーパーに買い出しに行き、宿題の企画書をまとめる。

常に仕事のことを考えている。寝てる時以外。考えだけが頭に蓄積されていって資料に落とす暇があまりない。頭の中、そのまま資料になればいいのにな。
そんなことを思いながらタバコに火をつける。猫が真っ暗な外を眺めている。人と違ってよく見えるのかもしれない。

猫でも撫でて、子供と風呂に入って、夜な夜な資料をかきおこそう。
記憶はいつも曖昧でふわふわしている。逃げられる前に言葉に変える。

いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。