スクリーンショット_2019-05-07_14

ブランディングのリサーチとスタディ

仙霊茶のブランディングのため、神河町へリサーチへ向かう。
姫路から北へ登り続ける。道のいたるところに湧き水がある。たくさんの人が、汲みに集まっている。水源が豊富。見渡す限り畑が広がる。

町中を走ってると思いきや一つ角を曲がると急に仙霊茶の茶園が広がる。

急にこれ。圧巻な面積。7ヘクタールは数字で把握してても実物で見ると壮大。これを一人で切り盛りするのは流石に無理だろう。思わず笑ってしまう。少しずつ仲間が増えてよかったなぁ。。まずここを引き継ぐ度量に驚かされる。

今回、僕はリサーチのために訪れた。
うちのチームのリサーチはちょっと普通と違っていて、統計的な解釈やポストイット貼りまくって云々とは違い、シャーマンチックな手法だと仲間によく言われる。空気を読みに言っているという表現が近いかもしれない。

7ヘクタールを練り歩きながら、あの建物は絶対欲しいとか、この荒れた感じが最高だとか。現地で色々収穫していく。視覚と聴覚がメインだ。あまりヒアリングもしない。ただただ歩く。鳥の声が聞こえる。獣の匂いがする。
ここで仙霊茶は育っている。その質感を集める。

奥にまだ手をつけられていない荒れた茶畑を見つける。
そこでぞわぞわ鳥肌がたつ。野生のお茶が現れた!と思った。
茶園はどこも同じ風景になる。収穫の仕方で皆がよく知るあの形状になっている。見慣れたそれではなく、ここにしかない風景を探したら出会った。

そこから飲み屋へ移動して、黙々と語る。
例えば、一般的にはインタビューをする。しかし僕はこれがあまり正しいとは思えない。人が思う本当のことはさらっと言葉にでないものだ。むしろドライブしていたり、酒を飲んだり、油断した先に言葉をこぼす。その雫を見逃さない。気をつけなければいけないのは僕が酔いすぎないことくらいだ。

ここで得た空気を言語化し、デザイナーにデザインのスタディをしてもらう。今回のチームメイクは、今やろうとしていることに共感してくれる作り手を集めている。デザイナーは僕が一番お世話になっているmemの前田健治。抽象的なニュアンスをデザインで解釈しようと無数の展開を示してくれた。

Nueによるコンセプトライティングを元にデザインでスタディしてもらう。
言葉とビジュアルで深掘りをしていくプロセス。

ここで問われたのが、和の存在なのか洋の存在なのか、という大きな問い。
このデザインがあるおかげで、和を切り捨てようという判断に至る。
マーケットリサーチをしていくと、和風での茶のリブランディングが目立つ。仙霊茶が目指す世界がそこなのかというとちょっと違うと思った。

仙霊茶は今までお茶から離れてしまった人に愛されたい。もっと日常的にお茶が当たり前になって欲しい。そう考えると和風はどうしても伝統や歴史を引きずってしまう重々しさが生まれる。であればニュートラルな新しい存在であるべきだという結論に至る。

仙霊チームと打ち合わせをしながら、あれがいいこれがいいと議論をする。
そこからまたディスカッションとなる。何がよくて何が違うかをチームで明確にしていく。その中でヴィジョンが明確に浮き出てくる。

このロゴに野村さんらしさを足したい。
打ち合わせする中で、そんな気持ちが湧いてくる。野村さんがやるから仙霊茶の異質さが生まれている。これをアイデンティティに落とし込めないか。それを持ち帰って再度、デザインのスタディをしてもらっている。

ゼロからブランドを立ち上げる時、主体となる人や土地が持つポテンシャルを探し出す作業になる。今までがどうだったというものがない中で旗を立ち上げていく。チームで深海に潜りにいくようなニュアンスが近い。

2度目のスタディのデザインが間も無くあがる。
そして、今月末は現場の撮影に入る。仙霊茶を象徴するカットを探す旅。
ぐるぐるとみんなが模索しあいながらスパイラル状に浮上していく。


いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。