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ホームで出会った年配鉄ヲタの話

朝方、凍えながら打ち合わせの大阪へ向かう。京都駅で電車を待っていると鼻を真っ赤にした赤鼻の鉄道ファンの方が、始まってしまった映画館に遅れてきたお客さんのごとく、中腰で横切っていく。

黄色い線のしっかり内側でラインを確かめ「よし!」
周辺に迷惑かからないか確認し「周辺よし!」
隣で繰り広げられる鉄道ファンの慣れた配慮っぷりに目を奪われる。

電車が来るまで10分ほど。
気になってチラチラ見ていたら、あちらも気づいて「ご迷惑でしたか!?(焦)」と凄い焦らせてしまい、いやいや全然むしろ完璧なマナーですねと会話をしていた。

鉄道オタクのマナー違反がニュースになってから、昔からマナーを守っていた多くの鉄道ファンは迫害されてるんですと。なるほど確かにニュースいろいろあったね。

ファンにも色々切り口違いで趣向が異なるらしい、顔が好きな人、音が好きな人、なんかわからない部分の名前(忘れた)が好きな人、色々ですと。

でも次乗る新快速は僕らからすると、いつも乗る電車で特別古くもなく真新しさもないように思えた。地方でそれぞれ走る車種も違うんで京都まで来てると。そういえば、子供の鉄道図鑑にいろんなのがあったな。

おじさんは、どこが好きなんですか?と若干男の夜の飲み会みたいなセリフ吐くな俺と思いながら聞いてみると、全体が好きと。特にこうやって毎日働くみなさんを届けて進む存在が好きだという。子供の頃から、ずっとそこが好きと。

え、なんかむっちゃええやん。って盛り上がって、おじさんも照れ笑う。そこ照れるところなんだと笑いつつ、おじさん急に真剣な顔で「間も無くですよ、お客さん」と職員のように語り、視線はレールの向こうを真剣に見ている。いや、きてないよと思ってると「音でわかるんです、ほら」と心の声読んでるんかな?ってレベルの会話で新快速がやって来る。

バシャバシャとその瞬間は一瞬でホクホクした嬉しそうなおじさん。「それでは行ってらっしゃい!」と僕は手を振って電車の中へ。

面白い話聞けたなーと思って席に座る。
買っておいた缶コーヒーを開けてホームを見るとおじさんは車掌さんの敬礼スタイル(そのとき気づいたけど警察の敬礼より手の角度が少し高いんだと知った)で笑顔で送り出してくれた。

一人で車内で笑って周りから変な目で見られたけど、変なのは僕とおじさんか、はたまた周りで変な目で見てた人たちか。

素敵な時間をありがとう。
鉄道ファンや鉄ヲタさんたちでも、しっかりマナーを守ってる人がいますよー!

いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。