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肩書きのないお仕事

仕事をしていると、ときおり「この人、同じ匂いがする!」と嬉々とするときがある。そのような人たちは大抵肩書きが意味をなさず、その人の存在や思考、発言そのものが価値になる、そう思ってみているし、そうなりたいと思っている。

往往にして、その人たちは名刺交換のときに仕事の説明で混線する。既存にない枠組みでの業務が多く、一言でこうですっていうことは説明ができない。僕に至っては、そこをもう諦め、いっとき名刺すら持たなくなってしまったくらい。さすがに今は一人なので名刺は持つようにしている。名刺だけで読み解けるものは少ない。

国内に数人いる「肩書きない同盟」の人たちは、線をまたぐくらいの感じで領域や業態を超えていく。今こういうの作っていてという話を会うと必ずお互いに話す。この人ならわかってくれるはずという信頼があったりする。

今時点、理解されないだろうことを未来予測で計画する。
もう言ってしまえば予言に近い。悪くいうと競馬場にいる予想屋の発展版でもある。いずれ社会がこうなるから今のうちにこれ作り出しておこう。そんな感じだ。

全ての予言があたるわけではない。ただ天性の才能でそれが見分けられるってわけではなく共通してるのが「よく見てよく考える」ということだと思う。
僕は北海道出身でダービースタリオンに幼少期ハマって実家の側のおじさんと育てた馬で対決したり、親父といく居酒屋で週末のレースの単勝予想をしたり、11レース中9レース当てたりと、飲み屋で競馬ラバーたちに相談されるような子供だった。

競馬場にいけば、パドックで馬の毛並みが見える。艶がいいと調子がいい。ルンルンしてるか、ソワソワしてるか、馬を見るだけで今日の気分がどんなものかがわかる。これは誰でもわかる。

競馬新聞は情報の森だ。過去のレース結果と誰がジョッキーでどういう馬場でどんな結果だったか過去5レースくらいは記録されている。合計10−12頭の馬の記録が特殊な記号とともにずらっと並んでいる。あーこの子は重馬場(雨が降って土が重たいとき)や長い芝には向いてないとか、この距離で急に結果が落ちるなとか一目でわかる作りになっている。見方さえわかれば誰でも読める情報だ。

で、この試合会場で、こんな個性の馬がいて、どれが一等になる?というゲームだった。しかも週末にはリアルな答え合わせができる。楽しかった。

ほとんどの人が、オッズをまず見る。オッズというのは掛け率のこと。これが低ければ低いほど、みんな勝つと信じて馬券を買っている。みんなが買うとオッズは下がる。買って当たり前の予想。これが複雑になるとオッズがあがっていく。勝つわけないだろうという馬は、自然とオッズがあがる。

僕の場合、子供だし、馬券は買わない。見て楽しむ派であったためにオッズは無視できた。これが良かった。欲望の数値だなと子供ながらに思ったのだ。例えば5連勝している馬がいたとして、その子が通常より長い距離のレースにでる。みんなこれまでの勝利を見ているから自然とオッズは下がっていく。期待の分さがっていくわけだ。でも、オッズ無視してると、この距離でだけ数回勝ちを残りしている控えめな人気の馬がいたりする。みんな、強そうな子に期待してるけど、一番有力なのってこの子じゃないかな?って見方ができる。この子、この距離と同じ会場で一番人気の子よりレコード(ゴールまでの時間)がいいから、どう考えてもこの子だよとなる。んでだいたいこの子が勝つ。

この延長線上に今の僕がいる。
今のトレンドだから、こういうものやりましょうというのを僕の口から聞いたことある人いないと思う。トレンドとか流行りというのは、オッズのように見えている。欲望から出た言葉。

馬券を買わないというのも今の仕事に近い。
勝つか、負けるかの判断でそこから得られる金額が目的ではない。
肩書きのない人たち、大概お金に無頓着な人が多い。僕もそうだけど。。良いも悪いもあるけれど、そこが目的じゃない人たちが多い。

で、これからの時代、肩書きで仕事が限定されるのは超絶マイナスになると思っている。むしろ、特定不可能な人の方にこそ新しいチャレンジが集まる気がしている。既存の畑を耕して収穫してるわけではなくて、あれーここの土地耕したら超うまい野菜できんじゃないの?って荒地に鍬持っててくてく行っちゃう人の方が新しい可能性をうむと思う。

あいつ、あんな変な場所で畑耕してるけど何してるんだろう?って見てくれて、何してるの?俺も混ぜてーって仲間が増える。そこにあるマインドは欲望とかじゃなくて、多分これ次面白いからやってるだけ。って感じなんだと思う。欲望にとらわれると目的が変わってしまう。こっから先の未来は、楽しいものを見つけて盛り上がってるところに勝手に遅れてお金が付いてくる時代だと思う。みんなの今のいいね、は明日のそれ古くね?だったりする。

なんかここ掘ったら面白いもんでそう!出ないかもしれないけど!って汗水たらしてる人は僕は全員信頼できる。その労働の目的が何かを見つけ出す!だから。

いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。