スクリーンショット_2017-12-18_19.30.55

デザインは難しい。

僕のところに1週間ほど早くサンタが来た。ぶらっと備品を買いにヨドバシカメラに足を運んだ時、BOSEのノイズキャンセリングヘッドホンが視聴できたので軽い気持ちで装着したのがきっかけ。

あれ、耳壊れたかな?ってくらいノイジーなヨドバシ店内の音がスッと消えてしまったのだ。実はつけるまでただのヘッドホンだと思っていた。なんだこれ?と思って外したりつけたり、よく見ると周りの雑音の周波数を打ち消す周波数を出して音を相殺してるという。

いやはやすごいな人間の英知。そのうち、あの人嫌いだからあいつの声の周波数全てカットとか言い出すんじゃないか。静かな衝撃を受けた。気がつけばネットで調べたり、店員さんに聞いたりと、この技術に夢中になっていた。

今、日本ではSONYかBOSEの二強らしい。聴き比べさせてもらったが技術的にはどちらも同じくらいすごい。価格帯も同じくらい。オススメはSONYですと。デザインがミニマルで新しい感じですよと。

ふーん、と両者を眺めてみると、BOSEは見慣れたヘッドホンの形状。SONYは少しソリッドな感じ。かつてのヘッドホン感を消し去ろうとするミニマルな思考を感じるデザインだった。

で、結局僕はBOSEをサンタにお願いした。デザインとは難しいものだなと思う。というのも、確かに次のステップへ向かうデザインをSONYはほどこしていた。ぱっと見、かっこいい。つけ心地も遜色ない。でも選ばなかった。

ちょうど、視聴するところが鏡面で施工されており、つけてる自分が見えたのだ。ぼさっとした髪型にすげーミニマルな装置がついてる。プロダクト自体、削ぎ落として存在感を控えめにしたデザインなのに頭についた途端主張がすごいことになっていた。未来人ですよ、みたいな。

AirPodsのうどんですよ!未来ですよ!も同じことを思った。
プロダクト単体がミニマルにより新しい形状に向かう変換期に研ぎ澄まされたミニマルなデザインは削いだぶんだけ装着時に主張をしてしまう。僕らの成りが急に進化して研ぎ澄まされることがないのと、昔から見慣れたイヤホン・ヘッドホンの形状が少し変わるだけで、普通じゃなくなる。

この手の商品は音を買いに来てる。beatsあたりはファッションも含むかもしれないが、こいつがもたらす静寂と音質を買いに来ている。別に先進的な主張を欲してるわけじゃないのだ。

結果、SONYのヘッドホンはミニマルなくせにつけたとき過剰な存在感を差分で放つ羽目になり、購入に至らず。デザインは難しい。iPodのような機器として新しいドメインでもない限り、「見たことないデザイン」や「研ぎ澄まされたデザイン」は時にマイナスに作用するのかもしれない。

好き嫌いの話だけど、レジでサンタと並びながら、そんなことを思った。
デザインは難しい。

いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。