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カニとの死闘と夜のチャルメラ

毎年元旦は城崎で過ごすようになった。荒れ狂う日本海とエンドレスに出てくるカニとの戦い。たくさん写真撮ったけど、唯一ないのがカニの写真。食べることに必死でした。

18時にテーブルに着く。皿には溢れんばかりのカニ。カニを扱った料理の全てが出てきてるんじゃないかと思うほどの総蟹摂取量。そりゃ城崎で蟹供養のイベントがあるわけだ。この夜で何匹のカニが食われたのだろうかと、子供達と布団でゴロゴロしながらお話をする。

昨年は息子とお風呂にいくとおっさんが倒れていた。
大丈夫ですか!?と全裸でかけよるも、全裸のおじさんは少しして眠ってました、てへへみたいなことを言われたのを覚えている。カニ食って酒飲んで温泉浸かって、たしかに多幸感で寝てもおかしくない。でも、風呂場でうつ伏せに眠るのは事件性しか感じないのでやめておいてほしい。

今年はお風呂貸切で息子とぷかぷか浮いたり、美味しかったカニに想いを馳せたり、お互いの背中を洗ってさっぱり。布団でゴロゴロしてカードゲームして、疲れたし寝ようかと早めに電気を消す。

しかし、僕と息子と娘は眠たくない。イチャイチャ暗闇で遊んで、さぁもう寝るかという時に遠くから何かが聞こえる。あれかな…就寝の音楽かな?と思ったが昨年そんな展開はなかった。耳を澄ましていると子供達も「なんか音楽聞こえない?」と気付く。

息を殺して音を聴く。外は夜で雨が降りしきる。もうなんか完全に妖怪の類みたいな空気。だって、22時すぎて人里離れたカニ特化型宿の港町にこんな音出して何をしようとするのか。そこでその音が「チャルメラ」だと気付く。あの屋台の音楽。微妙に音程もおかしい。そして、この人っけのない宿にうっすら明かりを灯した屋台が近づいてくる。もしかして、タヌキが化かしに来たのだろうか。

子供達三人で窓をのぞく。雨の中、のそのそと動く屋台。狂った音程。
は!と思い出す。カニとの戦い(夕食)のときに「こんな早くご飯食べたらお腹すきそうだね」と交わした子供との会話。そう。旅館の夕食は早い。夜更かしして小腹が空いた人たちのお腹を満たしに旅館と旅館を行脚して商いをする屋台。合点がつく。

うわーパパ凄い興味湧いてきちゃった。どうしよう。凄い行きたい。でも外は大雨。子供達は若干怖がってやめといたほうがいいよ、と諭される。なんだろう、大人と子供の構図が逆転している。なんか、おでんとかラーメンとか何を売ってるかわからないけど、食べてる間に気付いたら木の葉いっぱい入った器でずぶ濡れで食べてたとか、森へ逃げてく狸とか狐が見えたとか、そういう展開も期待したが子供の制止は突破できず静かに布団で寝静まる。

翌朝いつも通りの体内時計の時間で起きて、昨夜は面白かったなと思い返す。
晴れたり雨を繰り返す中、城崎マリンワールドできゃっきゃして帰宅。
いいお正月を過ごすことができました。もう最近、日本海全般がすき。飯も酒もうまい。そして、風景がいい。

それでは疲れたのでカニのことを思い出しながら家で寝るとします。

いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。