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禁煙パイポと漁師の話

禁煙パイポが店頭から消えつつある。コンビニには必ずあったはずのそれがなく…おかしいなと思っていると福井の田舎のコンビニにはしっかりあった。
電子タバコが一般的になって、禁煙パイポの必要性がなくなってきたのだろう。

タバコ→ニコレット→電子タバコ→禁煙パイポという階段を下っている。
最寄りのコンビニじゃ、もう禁煙パイポは買えないのでamazonで1ダース購入した。グレープフルーツ味、甘酸っぱい味と香り。

考え事をするとき、タバコを吸う癖があった。そもそも考えることが仕事なので四六時中タバコを吸っているようなものだ。酒かタバコで死ぬのだろうと思っていたが、おしゃぶりみたいに禁煙パイポでも、まぁ考えれるなと案外しっくりきている。

◆◆◆

福井へ向かう外の風景は霧だらけ。山が蒸気を発するようにもくもくと幻想的な靄をだす。やっと出てきた日本海は荒れに荒れてて勇ましい。いい絵だなと思う。穏やかだけが美しさではないだろうな。畏怖というか、そういう感情がわく。

漁業の話を聞く。漁師じゃなくても皆詳しい。港町の常識レベルだろうか。
お店に並べることのできない値付けができない魚の塊を「山」と呼ぶらしい。海の幸の残骸が「山」。変な感じ。

シイラとかは「猫またぎ」と呼ばれていて、ここらの猫でも食べないようだ。
しかしハワイなどの南の国ではお高いお魚となっている不思議。シイラどんな味なんだろう。山もそうだけど自分で食べて見ないことには判断がつかない。

同じ世代の人たちがコタツを囲んでワイワイと盛り上がる。
いい風景だ。言葉も出てきた。そっと場を広げるような手書きの資料を展開すると、ふわっと言葉が広がり出す。なんでもそうだけど、最初に踊り出すってのは緊張するもんで、一人ずつ言葉が踊り出す。

いいリズムの言葉が踊って僕ら上機嫌で京都へ戻る。
いい物件も見つけたし、勝ち筋は見えた。大人事情はどうにかしてくれ。
ワクワクすることが目の前にある。そこを、さぁいってこい!と自由に放つのが大人の仕事なのかもしれない。僕はまだ子供だなのでまだ遊びたい。

スーッと禁煙パイポを吸うと甘い香りだけ漂ってフレーバーが尽きたのを感じる。気がつけば考え続けておしゃぶりのようにスパスパしつづけていた。

京都につく。駅で美味しいパンを買う。
妻と食材を買い込む。家に着いた。
仕事は明日の自分にまかせた。今日はおやすみ。

いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。