大学生の部屋(事務所)と記憶の断片
事務所で逃げ場がないのでゴロゴロできるように家で誰も座らなくなったキャンプ用のソファを持ってきた。ゴロゴロできるやん!と盛り上がり、そうだクッションがあれば仮眠も取れるぞ!と近所の無印に向かう。
無事クッションを見つけると足元に小さめのラグが結構安く売っている。これ敷いたら、結構快適になるんじゃないの?と思って合わせて購入。
コート掛けないかなと探すも嫌に値段が高く、コートかけるためにこのコストは納得いかん!とロフトに向かう。
コート掛け探す前に徳利コーナーに20分くらい謎の吟味をしている自分に気づいて、イヤイヤ目的変わってもうてるやん!とコート掛けを探すも次は猫カフェの前で10分ほど猫を眺めていた。もう危ないおじさんである。
結局、コート掛けはないらしく、諦めて事務所へ戻る。
クッションを出して、そうだラグもひいてみよう!とやってみたが、そうだここ土足だと敷いて気付く。まぁいいか。うん、少し快適になってきたな!って少し引いて見たら、これただの大学生の部屋じゃんってなる。
諦めて仕事に戻る。まず面倒臭がって無印で全部済ませた俺が悪い。
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そういえば、今日電車の中でめちゃくちゃ恥ずかしい音声を大音量で垂れ流しているOLがいた。なんというか、すごい私的すぎる趣味の音楽で彼女がつけていたのはワイヤレスヘッドホン。みんなが「え?」と振り向くほど、大きい音だったんだけど、大きすぎるが故に彼女にとっては少し音量小さいなくらいの感じだったのだろう。さらに音量をあげてしまう。
おぉーこれはきつい。
でも、これは気づかないまま電車を出た方が彼女にとって幸せなんじゃないか(と思えるほどの音声内容)だったので、誰もが見て見ぬ振りならに聞いて聞かぬふりを優しさで決め込む。知らないでいた方がいいこともあるって、このことかと思った。結局彼女は気づかぬまま地下鉄で運ばれていった。彼女の運命が気になる。
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とある内覧会でタバコ一服がてら古い喫茶店に入る。
15−20人ほどで満席になる昔ながらの喫茶店。もう40年も続いているという。おばちゃんときゃっきゃ話して、なんかお釣りをまけてもらう。え、いいの?っていうと、若い頃を思い出したお駄賃と昭和的なウィンクで送り出してくれた。若い子は最近なかなか来ないから嬉しいんだって。俺35歳やでって笑いながら「また来るねー」と店を出る。
また来るねって自然と出る店は良い店だと思ってる時だけ。
そんな近い店でもないから次いつ来れるかわからないけど、近くを通ったら顔を出すのだろう。良い店の条件は人が良いが一番、その後、居心地がいい、最後に味がいい。味は最後でいい。関係性の上で味は美味しくも不味くもなるから。
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積み残した仕事と未だ届かない荷物を待っている。普段はこの時間、タイムアップで家に帰るのだが、明日公開の仕事の詰めといくつか実験しておきたい仕事があり、放課後タイム。木屋町事務所のベランダでタバコを吸って見上げるとコウモリが一匹飛んでいる。その奥には教会が見える。あのコウモリはどこで暮らしているのだろう。ドラキュラってコウモリに変身できたよな。変身って言葉面白いな。トランスフォーム?意味が変わる?形状が変わるが意味は変わらないのか。とか思考の散歩。これ次のコンセプトワークのヒントになるかもなぁ。まだ荷物は来ない。
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バイトに手伝ってくれてる子に仕事の説明を少しする。説明しながら、なんて感覚的な仕事なんだと考える。説明どんだけしても「お前次第だわ」って感じなってしまう。
思いっきり人間性に左右される仕事につき、少し普通じゃない人の方だったり、どこでも飛び込んでその状況を把握できる人とか、なんか好奇心旺盛で解釈能力が高い人とか、自分のこだわりはなく誰にでも憑依できたりとか、人そのものへの関心があったりする人とか、そういう少しだけはみ出た人がこの仕事に適性があるのかもしれない。
はみ出てるが故になんとなく自分の芯があり、そこでピヴォットしながら仕事をする感じ。人生迷子には陥らない。周りから迷子に見られていても、本人からすると全然迷子ではない感じ。そういう人があってるのかもしれない。
さて、もう一仕事して帰るか。荷物はまだ来ない。
いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。