過去から得たもので明日を生きる

お盆休みが終わる。
仕事したり休んだり、いつもと変わらない過ごし方。
仕事なのに夜の日本海を泳いだり、宿にあるだけの酒を飲み干したり。
フランス人と夜のスナックで歌い騒いだり。
家で家族と猫とゴロゴロしてキャッキャしたり。

夏は暑くてジメジメで嫌なのに
海を眺めて吹く風に少しだけ涼しさを感じて
まもなく夏も折り返しなのだと気付く。
あっという間に過ぎていく月日を感じる。

来年の夏には子供たちは、また一回り大きくなっているし、
僕は一回り老け込んでいるのだろう。
夏に限らず、どの瞬間もその時にしかないものだ。
そんな、すごく当たり前のことを定期的に僕らは忘れてしまう。

家の冷蔵庫の一番下。冷蔵室にストッパーがついている。
あ…とそれに気づいて静かに触れる。
息子が歩き出し、娘がコロコロ寝転がっている風景を思い出す。
子供たちが勝手に開けれないようにつけたストッパー。
5ー6年ほど前の風景が急にフラッシュバックして、
妻と「これ懐かしいね」と、かつての子育ての思い出をはなしていた。

過去はいつも、そのとき一瞬の美しさを思い出させてくれる。
多少美化されてるのかもしれない。でも、なんてことない今この時の大切さをふわっと心に思い出させてくれる。

休みが開けると慌ただしくなる。
お盆は故郷に戻り、故人に想いを馳せて、かつていた風景を眺める。
日本には一斉に足を止めて、ゆっくりと過去を振り返る機会があるのだな。
その過去から得たもので明日を生きるのだろう。

前へ進む。進めば進むほど愛おしい過去が増える。
思い出銀行にたくさん溜め込んで、また来年のお盆を待つ。

いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。