ずっと何かを考えている。

聞こえは良かったが10連休は長すぎる。慌ただしいまま連休に突入したこともあり、色々並走したままあらゆるプロジェクトは電波が徐々になくなる電話みたいに事切れいった。しかし、切ぎわに言い残していった遺言みたいなものがずっとひっかかる。休むのも飽きてきたし、仕事しようと出社する。

そもそも僕はこの仕事が好きだ。本当のことをいうと仕事という認識はあまりない。気付けば今の仕事だったし、憧れてこの仕事についたわけではなく「お前向いてるかもな」くらいの感じで始まっている。僕の人間性を見て、アイデア考えて〜みたいな一声から今のキャリアに至っているわけだ。

木屋町の事務所について、窓を開ける。
ちょうど雨が降ってきて、ちょうどいいなとタバコに火をつける。
雨の音が好き。特に考えるモードの時は最高のBGMだ。
パラパラと、そして少しずつ強くなる雨の音に「がちゃがちゃ」と雑音が混じる。雨宿りにきたカラスがベランダに止まっている。こんな近くで見たの始めてた。ビー玉みたいな色をした真っ黒い目。魅了される。

人より、動物に近いのかもしれない。
魂的に人の回数がまだ少ないのかもしれない。
カラスをまじかで眺めながら仕事のことを考えた。
動物が生きるためにコードされた行動で生きてるようにヒトになって初めて覚えたコードがこの仕事なのかもしれない。メール1通書くまでに3つのアイデアが出て雑文で送りつける。手書きの時もあれば、文字の時もある。

僕のこのような性格を知っている人は、「経営とか嫌いそう」と口を揃えていった。僕も最初は面倒だった。数字、ルール、呪文のような書類の山。難解すぎるテキストに人類は大幅に後退したのかもしれないと危惧するほどだ。後退してるのは僕だったけど。

でもあるとき、これも一つの課題だと思った。
面白い会社を考える課題と見ると、経営は急に面白くなった。
シンプルな思考回路と感情設計なので簡単に騙せる。経営をアイデアで変えていけばいい。そっからはだいぶ身軽に動けている。

考えが事務所の中を舞って、あっちの思考とこっちの思考を行き来しながら、気付けば昼飯何食べように着地する頃。雨はもう止んでいた。さっきまでいたカラスももういない。「飛ぶ鳥跡を濁さず」ってこのことか?あってるのか?わからず昼飯に出かける。

ずっと何かを考えている。
ずっと何かを読んでいる。
ずっと誰かと議論している。

そういうこか!
それはなぜだろう。
その世界は知らなかった。
もしかして、こういうことかもしれない。

ずっと思考の中で生きている。温水プールに浮かんでるような心地よい状態が僕の仕事であり、暮らしなんだと思う。

僕はずっと何かを考えている。

いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。