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遅めの今日がはじまる

漫画喫茶で仰向けになり知らない誰かのいびきを聞いている。
謎にその日、2度目の漫画喫茶。店員さんがおかえりなさいとホテルマンみたいな対応をしてくれた。帰る家でも無くしたのかと思われそうな頻度。5時間ゴロゴロして1500円。

小さな小部屋が無数に並び、静かにみんなページをめくる。
僕も適当に数冊とって、自動販売機でコーラのボタンを押す。ひどく薄いコーラをすすりながら、手に取った漫画を開くでもなく、少しだけぼうっとする。空調の音がうるさい。

青い提灯が無数に並ぶ細い路地の一角に小さい寿司屋がある。一緒に飲んでいた友人たちとふらっと入ったのが運の尽き。めちゃくちゃうまい。目の前のネタから選んで、一貫ずつ楽しむ。松倉君、時間大丈夫?って聞かれて、いやもう無理っすね。って時計も見ずにビールを飲む。ここは大阪、新地の奥路地。

楽しくてうっかり、カレーうどんまで食べて、みんなと別れる。
これで会いたかった人たちに会いに行くウィークの終了。みんな元気でガハガハ笑って、酒でもなく、飯でもなく、元気でお腹いっぱいだ。楽しい時間をありがとう。

始発まで5時間ほど。漫画喫茶に戻ることになる。そして冒頭だ。
月曜日とあって、意外と空席が目立つ。同じように終電を逃した人が漫画を物色している。不思議な空間だと思う。壁一面に漫画。日本が生んだ新しい文化の側面だなと思いながら、何を真面目にいうてるのかと冷静になる。

ゴロゴロできる部屋をお願いしたので足を伸ばして寝っ転がる。
ペラペラと漫画をめくり、なんだか学生の頃のようだ。
ふらっといった東京でホテルは高く、金もなく、渋谷の満喫で過ごしたことが何度かある。なんだかあの頃のようだなと思い、どうにでも生きていけるかもなと天井を仰ぐ。東京ではその後、馬喰町で1ヶ月ほどホームレスをしていた。あの時も、出会った人たちのおかげで生かされている。

先週、今週とあった懐かしい面々もまた、どこかで偶然出会っただけじゃなくて、お互いの存在があって、今俺はゴロゴロできているのかもしれない。
なんて思って、また真面目なこといってるなと言葉を飲み込み目を閉じる。

早朝の始発に乗ると酒臭くもなく、パリッとしたビジネスマンが通勤してる。その中に混じって酒が抜けないままの自分がいる。みんなどんな仕事をしてるんだろう。そんなこと考えながら周りの顔を眺めていたら急に睡魔に襲われる。気がつけば京都駅。ギリギリ果てしないところに連れてかれずに済む。

家で仮眠をとり、遅くに仕事スタート。遅めの今日が始まる。

いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。