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第2章 微生物叢と妊娠合併症6

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今回は、メルマガ58号(2022.08.01)の配信内容です。

SECTION⒈ Pregnancy and fetal life
Chapter 2. The microbiome and pregnancy complications

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9.腸内微生物

腸内微生物組成の変化が私たちのさまざまな健康問題に大きく貢献することはすでに述べたが、妊娠合併症における腸内微生物叢の役割も知られてきた。

  1. 腸内の細菌は身体内部に侵入することがある。粘膜のバリアーが障害されると細菌は粘膜上皮から侵入して血流に入り、血行性に体内や胎盤に移動する。膣内細菌は血中に入りこむことはく、この点は大きな違いである。腸内細菌の方が健康に影響を与えやすいと言える。

  2. また腸内細菌の作り出す産生物が妊娠中の生理学的プロセスに影響する。例えば細菌が宿主のエネルギー源として腸上皮細胞の栄養源や短鎖脂肪酸(SCFA)を作り出すほか、解糖系、クレブスサイクル、酸化的リン酸化、アミノ酸および脂肪酸代謝などに供給する代謝化合物を産生し、ヒトの代謝系を操る。したがって腸内細菌叢の変調は我々の代謝系を実質的に変化させる。

  3. 肥満に関連する細菌叢が存在する。これは食事からのエネルギー取り込みの増強と低い細菌種性が特徴で、この特徴はダイエット後も持続する。さらに、腸内微生物叢は、2型糖尿病などのメタボリックシンドロームとも関連している。2型糖尿病では酪酸産生の細菌が減少し、非酪酸産生のクロストリジウムが増加する。

妊娠は代謝の変化と体重の増加が関連しているので、腸内細菌叢によってGDMやその他の妊娠合併症が生じることは十分あり得ることだ。


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