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記事一覧

【漫画】今年面白かったマンガ 2022

まったく予測のつかない怒涛の2022年が終わろうとしている。 今年も読んで面白かったマンガについて書いておく。 「SANDA」 板垣巴留(既刊6巻) 少子化が進んだ近未来。超常の存在であるサンタの末裔を巡って起こる事件を描く学園もの。ぶっとんだ設定に重めのテーマながら軽やかな作品になっている。マンガがうまい。 「住みにごり」たかたけし(既刊2巻) 仕事をやめて実家に帰ってきた弟を待ち受ける家族に漂う、不穏な気配が不気味。何かとんでもないことが起こりそうな予感だけはヒシ

【漫画】今年面白かったマンガ 2020

思わぬ年になった2020年も終わろうとしているので、今年読んで面白かったマンガについて書いておく。 「鬼滅の刃」吾峠呼世晴(全23巻) 言わずと知れた今年最大のヒット作。 遊郭編あたりから加速度的に面白くなっていった。原作と比べると、アニメ版は丁寧に隙間を埋めるように再編集されていて、ストーリ展開がよりスムーズになっていたように思う。アニメ版の続編も楽しみ。 「チェンソーマン」藤本タツキ(既刊9巻) バイオレンスに加えセクシャルな描写があるので、親だったら鬼滅より子供に見

【漫画】今年面白かったマンガ 2021

「今年は全然更新できなかったので、来年はもうちょっと書いていきたい」という抱負を込めて今年良かったマンガの紹介をする。 「九条の大罪」真鍋昌平(既刊4巻) 「闇金ウシジマくん」の真鍋先生の弁護士を主人公にした新作。 有能だが犯罪者や反社でも弁護する姿は「法の下の平等」を体現している。現代社会の救われないものたちを描いたダークヒーローもの。 「鬼ゴロシ」河部真道(既刊5巻) 北九州の町を舞台にした復讐劇。 ギチギチに詰め込まれた暴力はページをめくるごとに過激になり、吹き

【漫画】今年面白かったマンガ 2019

2019年もあとわずかなので、今年読んで面白かったマンガについて書いておく。 「王様たちのヴァイキング」さだやす(全19巻) 天才ハッカーの成長と活躍を描き、「才能とは何か」について考えさせられるよいマンガ。最後はまくった感じもあるが、ラストは美しかった! 「ドラフトキング」クロマツテツロウ(既刊3巻) プロ野球のスカウトマンを描いたマンガ。地味ながら非常に面白い。 才能を見つけ育てる人々のプライドと、プロの世界の厳しさが垣間見える良作。 「天竺熱風禄」伊藤勢(全6

【漫画】「王様達のヴァイキング」

「誰からも必要とされない才能を持つ人ほど不幸な人間はいない」 「王様達のヴァイキング」は、天才だが社会性とコミュケーション能力が破綻している18歳のハッカー・是枝が、ベンチャー企業へ出資するエンジェル投資家・坂井に見いだされ、サイバーセキュリティの専門家として成長していく物語だ。とても面白い。 「王様達のヴァイキング」を読むと、有能と無能の区別は自分の持って生まれた能力だけでなく、社会のありようによって決まるのではないかという気がしてくる。 才能には天地人がそろう瞬間の

【漫画】「不死身のパイセン」

異色のホラーマンガ「不死身のパイセン」が良かった。 怪異を引き寄せるようになってしまった先輩と、怪異が現れても動じない後輩の掛け合いが面白く、コメディとホラーを行ったり来たりする妙なバランス感覚もうまい。 やはり笑いと恐怖の距離は近いと実感する。 ちゃんと絵が怖いし、話がまとまっているのも好印象だった。 なぜ怪異が先輩の前に現れるのか。 なぜ先輩は不死身なのか。 それは―――

【漫画】今年面白かったマンガ

 劇画狼さんのブログに触発されたので、今年読んで面白かったマンガの感想を書く。40本はさすがにないけど。 木城ゆきと「銃夢火星戦記」(既刊6巻) 「銃夢LO」の続編であり「銃夢」の前日譚でもある本作。火星での覇権を巡る争いと陽子の幼少時代が描かれているが、特に6巻が良かった。ムスターの復讐の完成、陽子の出生の秘密、火星権力の崩壊と第一部完結といってもいい完成度だった。やはり「銃夢」は面白いと再認識した。 山田しいた「乙女文藝ハッカソン」(既刊1巻) 地方大学を舞台にチーム

【漫画】「銃夢火星戦記」読んだ話とか

 木城ゆきと先生の「銃夢」シリーズ最新作「銃夢火星戦記」の6巻がとても面白かった。悪を、復讐を成し遂げたムスターの最後、陽子の出生の秘密、火星秩序の崩壊の始まりが描かれており、「火星戦記」第一部完結といってもいい巻で大変満足。  「銃夢火星戦記」6巻発売と共に、最初の「銃夢」の新装版が全5巻で刊行される。正直「何度目の新装版なのか」という感じだが買ってしまった。なぜ何度も新装版だの完全版だのが出るのか。「銃夢」の連載中に紆余曲折があったからである。 「銃夢」の新装版が複数

【漫画】崇山祟「恐怖の口が目女」

あらすじ:清心学園新聞部部長・美空すずめは、部員の吉永百合子が見たという「口が目女」を探すうちに、世界を支配しようとする陰謀へと巻き込まれていく……  すごかった。脳への刺激がビシビシ来る。  まず主人公の美空すずめの言動がどうかしちゃってる。 https://note.mu/tateyama_kidkut/n/n8c1e23059d00  「恐怖の口が目女」は美空すずめが、口が目女の陰謀と対決するというストーリーだが、1章はこの異常なテンションのギャグ(?)が連続するだけ

【漫画】川路智代「ほとんど路上生活」

あらすじ:“昼逃げ”した川路一家は、実家の宴会場で暮らすことになる。玄関に扉がない宴会場に次々と侵入してくる不審者、すぐうんこまみれになる妹、そして昼逃げにいたる母の半生。変態たちと死と暴力を笑って振り返るエッセイコミック。  コココミで連載していたときから読んでいたが、まとめて単行本で読むとあらためすごい人生だ。昼逃げ前も昼逃げ後もあとひとつ不運があれば、もし助けてくれる人がいなければ、家族は崩れてバラバラになってしまっていたのではないかという危うさがあるが、喜劇と悲劇の