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【外国語マニアとしての所感】たった一語をめぐる日中の緻密なすり合わせの話

残念至極ながら、東アジアの情勢がよろしくないです。

こういう時こそむしろ過去の「外交の成功例」の話をしたいですね。

私が好きな「添了麻煩」の話です。

日中国交正常化交渉の時の話ですね。

田中角栄さんが北京に着き「先の戦争では中国国民の皆様には迷惑をおかけしました」という謝罪スピーチをしたところ、最初は歓迎ムードだった中国側がピタリと固まった。

後でわかったことだが田中角栄の「迷惑をおかけしました」を、通訳が添了麻煩(ティエンラマーファン)と訳したのがまずかったらしい。

中国側にしてみると「添了麻煩とは『おっとスマンね』くらいの気軽な謝り方だ、なんて失礼なんだ!」と。

ここからなんとか田中角栄が盛り返し、日中国交正常化は成功するのですが、一時は決裂かとヒヤリとした、というお話。

かつてこの話を聞いた私、「たった一語の訳し方で、国と国が仲良くもなれば、険悪にもなるなんて、言葉というのはなんて素晴らしく同時に怖いものなんだ!」と感心したものです。

ただし、この添了麻煩の話、今調べてみると、「実は事前に周恩来とすりあわせていたはずだった言葉なのだ」とか、「実は通訳のミスではなく田中角栄も認めていた訳し方だった」とか、「日本側も国内世論があるので、これ以上の謝罪の表現ができなかった、中国側も国内世論があるので、それをそのまま受け止めることは出来なかった、それゆえの出来レースのケンカだった」とか、いろいろな異説・裏話もあるようでした。

一語の選択でここまで「ああだこうだ」の裏話が盛りだくさんになるとは。あらためて、言葉とは素晴らしくも恐ろしい。一語一語を大切にするクセを自分もつけようと自戒。

子供の時の私を夜な夜な悩ませてくれた、、、しかし、今は大事な「自分の精神世界の仲間達」となった、夢日記の登場キャラクター達と一緒に、日々、文章の腕、イラストの腕を磨いていきます!ちょっと特異な気質を持ってるらしい私の人生経験が、誰かの人生の励みや参考になれば嬉しいです!