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【漫画の海外展開の話のつづき】アスキーの記事「フランスで日本のマンガはなぜ受け入れられているのか」から見えてきた『今やるべきこと』

前回まで経産省レポートやら市場データやらから、「EU圏での日本マンガ」について扱ってきましたが、今回は定性的な話となります。

週刊アスキーが出していた、今回の参考記事はこちらです。

角川アスキーの研究員が、フランスにおける日本マンガ輸入の泰斗、ドミニク・ヴェレ氏に取材をしたものですが、これがとても面白い!

以下、私が拾った概要を掲載しますね。

意外な人物の名前が!ヴェレ氏が敬愛する日本の漫画家は平田弘史先生!

さりげなく言及されているのですが、このドミニク・ヴェレ氏が平田弘史先生を賛美しているところを読んで、私もなんだか開眼してしまいました。要約すると、

・フランスではなんでもかんでもが合理性と市場論理に飲み込まれ、「魂」を語る機会が少なくなっている

・しかし日本のマンガには「魂」をめぐるテーマが描かれている。かつてハリウッドに対抗したフランス映画が得意としていたような「繊細な心の動き」の表現が、映画より敷居の低いマンガという表現の中で生きている

・特に「武士道」などといった、日本の精神世界のテーマに興味があり、平田弘史先生に行きついた

・(ヴェレさん自身が)日本を訪れたとき、平田先生と飲む機会があったが、そこで「切腹とはなんですか?」と聞いたところ、具体的なやり方を教えてくれた。あれは感動した。

最後のところは、日本人でも「さすがは平田先生・・・」と絶句するインパクトですが、それはともかく、

何でもかんでもが(つまりはアメリカ流の)マーケティングの論理に飲み込まれている中で、それには乗らない精神性を語るメディアとして日本マンガが期待されている、というのは、とても興味深かった。

データを見てても気づくヨーロッパでの漫画受容の弱点。結局DB、ナルト頼み?

ところで以前の記事で、

ポーランドでは、ドラゴンボールの全巻を出版し終わった途端に、日本漫画の売り上げは四分の一に縮小した

という話をしましたが、フランスでも似たようなことがあったそうです。

・ナルトの連載終了をもって、フランスでの日本漫画の売り上げがガクンと落ちたそうです

これをつまり、「ドラゴンボールやナルトの人気頼みであって、日本マンガそのものの人気の確立はまだまだこれからだ」と総括する記事も多く、

かくいう私も、以前にそんなことを書いていますが、

でもよく考えると、当たり前ですよね。

世界のどこの国の人も、「面白い作品」を求めているわけであって、「マンガと映画と小説のどれがいいか」と議論しているわけではないし、

「アメリカのコミックとフランスのバンドデシネと日本のマンガの、どれがいちばん良いか」なんて議論をしているわけではない。

どこの国の作家の、どんなスタイルのものであっても、「面白ければお金を出すし、面白くなければ買わない」、という当たり前の話です。

「クールジャパン」というスタイルを云々するのでなく、「世界に感動体験を与えられる」名作を継続的に育てられるか?

そう考えると、「クールジャパン」という霞ヶ関な標語は、少なくとも日本マンガを考えるときにはあんまりよいキーワードではないかもしれない。

私も気をつけないといけない点ですが、「日本漫画はよいものだから、もっと海外の人に読んでもらおう」とうっかり言ってしまうことが多いのですが、これはおかしいですよね。

日本漫画にある名作をもっと海外の人に読んでもらおう」ですよね。

ということは、過去の日本漫画の歴史から、「この作品は海外の人たちにも感動を与えられる普遍的な名作だ!」と言えるものを見つけて紹介する努力をするのと同時に、

今後の日本漫画の作家たちからも、そのような「海外の人にも深い共感を与えられる」名作が継続的に出てくるように、育成システムをしっかり作り上げなければならない。

その辺りが、今、やるべきことなのかな、と思わされた記事でした。

大きく出るならば、シェイクスピアやゲーテやセルバンテスといったヨーロッパの古典名作にも(ある程度)匹敵する、人類普遍のテーマを扱っている作品が、日本漫画の中にはあるのだぞ!と、言い切れるか?

私は、ハイ、言い切れますね。それくらいの扱いを受けても恥ずかしくない名作がまだまだ日本漫画には眠っていると、これは自信を持って言えます。

今後もそのような作品を継続的に生み出す力があるかどうかは、、、これからの日本の在り方しだい!?

子供の時の私を夜な夜な悩ませてくれた、、、しかし、今は大事な「自分の精神世界の仲間達」となった、夢日記の登場キャラクター達と一緒に、日々、文章の腕、イラストの腕を磨いていきます!ちょっと特異な気質を持ってるらしい私の人生経験が、誰かの人生の励みや参考になれば嬉しいです!