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【おすすめラテン語教材】ナツメ社の『基本から学ぶラテン語』は概要をつかむのにピッタリ!

前回は、海外のマンガ翻訳のほうのマガジンで、『聖闘士星矢』のイタリア語版の話をしました。

その中で「聖闘士は設定上、ギリシャ語やラテン語がペラペラであるとしてもおかしくないな」と、勝手な空想をしてしまいましたが、

「本当にそうだったらいいなあ」とその後、妄想が膨らんでしまいました。というわけで、久しぶりに、「外国語教材」のほうの話題です。

ラテン語をやると、そもそも英語の成り立ちがいろいろと見えてくる!

ラテン語、という言語ですが、ペラペラになるほど勉強する必要は、正直、ないと思います。実人生で使うことはまずないだろうし、、、w

ただ、一度概要だけでも知っておくと、とても便利です!いろんな西欧の言語が、ラテン語を先祖にしているため、ラテン語の雰囲気だけでもわかっていると、他の西欧語の仕組みが見えやすい。

たとえば英語に出てくる、triumph(トライアンフ)という単語。英検二級レベルということで高校の英単語帳にも出てきますが、なんでこんな難解な綴りをしているのか、ずっと不思議でした。実はこういう、英語の中の「いかめしい」単語が、ラテン語起源だったりするわけです。

日本語の「曖昧」とか「薔薇」とか「蘊蓄」とかいった漢熟語の雰囲気に似ているかもしれませんね。こういうラテン語起源の英単語は、ネイティブの人でも、スペルを書き間違えがちだし。

その他、フランス語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語といった、主に南欧の「ロマンス諸語」と呼ばれるグループの言葉が、モロにラテン語の子孫です。よって、このあたりの国の言葉をやる場合、一冊でもラテン語の入門書が家にあると、とても便利です!

ざっと概要を知りたいならこの一冊がよいかも!ナツメ社の『基本から学ぶラテン語』

で、ラテン語のテキストをひとつ、ざっと読み通すなら、河島思朗先生の、これがおすすめです。

ひととおりの文法事項はすべて載っている上に、合間に収められたコラムを楽しく読めるようになっています。

さきほど紹介した、「いろんな西欧の言語がラテン語の子孫か、少なくともイトコ関係」という話も、系統図でわかりやすく説明されています。

(河島思朗『基本から学ぶラテン語』/ナツメ社より引用)

そして何をおいても、この本のいいところは、

「ラテン語をやるには修行8年が必要」と明記されている入門書(笑)

である、ということでしょうか。いいですねえ、この飾らない感じ!語学の入門書なのになんて正直なのでしょう!

でも、この「ラテン語は習得困難である」というところこそ、数々のヨーロッパの小説やマンガで「ラテン語の授業」が「苦痛な時間」の代名詞になっている所以のところでもあるわけで、やはり西欧の言語に興味のある方は、一度はラテン語に打ちのめされるのがよいのでは、と思うのでした。

語順が決まっている「英語」という言語が、いかにありがたい存在かを噛みしめよう!

ラテン語の何がそんなに大変か、というと、

英語に慣れている人から見ると恐怖に感じるほど、語順が定まっていない

ちょうど日本語が、「てにをは」の助詞に文意を委ねることで語順が自由になっているように、

ラテン語は名詞も動詞も形容詞もすさまじく語尾活用をすることで、語順から開放されています。

それはつまり、外国人がラテン語を学ぶとき、「文型」みたいな便利なものを頼ることができず、

・ひたすら、活用語尾を丸暗記するしかない

・最後は、ニュアンスから文意を汲み取れるように「慣れる」しかない(日本語の「てにをは」の世界に似てるかも)

ということです。この柔軟性ゆえに、確かにラテン語は文学表現にはとても強いとは思うのですが、

やればやるほど、英語がいかに洗練された親切な言語だったかということを噛みしめることにもなるのでした。

それでも、こういう古典言語は流行ってほしいと思う理由

そんなに大変な言語でも、「一度はかじったほうがいい」と私が勧める理由は、まさに「難解だから」です。

洗練されて、さらに最近は自動翻訳なんかも進んでしまった現代の言語(英語にせよ中国語にせよ)を相手にしているとうっかりと忘れてしまうこと、「コトバとはそもそも多義的で不思議がいっぱいな、もっとも人間くさい記号である」ということを、思い出させてくれる。

ラテン語の世界では、二千年くらい前に書かれた詩で、いまだに「2通りの解釈が可能な文章になっていて、どちらの意味が作者の真意だったのか謎」のままなもの、なんてのもザラにあります。

これが本来の「人間の言語」の面白さと素晴らしさである、ということを思い出す為にも、一度、ラテン語入門書レベルをざっと読んでみる、というのは、とてもよいのではないか、とオススメする次第でした。

あ、でも、本格的にハマってしまうと、「授業8年」という恐ろしい深みになってしまう世界らしいので(私もそこまでのめりこまなかったので本当かは知りませんが笑)、とにかく忙しい現代人の皆様においては、取り扱いには重々ご注意を!

子供の時の私を夜な夜な悩ませてくれた、、、しかし、今は大事な「自分の精神世界の仲間達」となった、夢日記の登場キャラクター達と一緒に、日々、文章の腕、イラストの腕を磨いていきます!ちょっと特異な気質を持ってるらしい私の人生経験が、誰かの人生の励みや参考になれば嬉しいです!