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なぜ仕事以外で、趣味で音楽つくるのか。

こんにちは、スキャット後藤です。フリーランスの作曲家です。

先日、「マカロンくん」という楽曲の配信がはじまりました。6歳の男の子(現9歳)が書いた詩を元に作った曲。約1分という短い尺の中に、ちょっとした子供の小さな疑問が最終的に壮大になると物語を描いてます。そして、この詩があったからこそ出来上がった曲。詞先で音楽作るのが好きなのは、自分が気づいてない能力が引き出されるのが楽しいから。コンテもそう。時間軸にすでに制限があって、その中で工夫して良いものをつくる、それが面白いです。この「マカロンくん」は、今までCM音楽をたくさん作ってきたのも生かされてると思います。あと、聞いた時に映像が浮かぶ視覚的な楽曲というのも僕は意識していつも作曲してます。

ボーカルは、人気子供番組『シナぷしゅ』のOP・ED曲など歌ってる彩夏子さんです。『来世ではちゃんとします』をはじめ、僕の曲も今までかなり沢山歌ってくれてます。ステキなボーカリストさんです。ぜひ聞いてみてください!!

→配信先 
big-up.style/iz5O42A80X

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さて、今日は

なぜ仕事以外で、趣味の音楽をつくるのか?」

について書こうと思います。答えは簡単です。作品をつくる理由は「つくりたいから」です。いきなりつまらない答えを書いちゃいました。まぁ、こんな答えでは意外性もないので、その「つくりたい」という気持ちをさらに分解していこうと思います。では、今から4つ書きます。


①自分が好きな人たちと音楽を通じて遊びたい

まわりにはプロアマ問わず音楽を楽しんでる人がたくさんいます。音楽つくってるからこそいろんな人と仲良くなれるってありますよね。SNSを通じて、お互いの作品を聞きあったり、好きな音楽には「この曲好きです!」とリプ送ってみたり、他の人にもおすすめしたいから引用リツイートしたり。音楽はコミュニケーションを生みます。

「音楽やってなかったら、こんなにいろんな人と知り合えたのかな?」とたまに思います。世の中見てると、歳を取れば取るほど決まった人との交流しかなくなる...という印象があります。決まったコミュニティの中だけで生活する方がたぶん多いと思います。新しい人と交流するのは結構精神力とか体力とかいるんじゃないかなと。大人になると気遣いも必要になってきますし。共通の話題がないと盛り上がらないし。そもそもそんな人と会っても楽しくないし。でも、僕は音楽という共通言語のおかげで、いろんな人と知り合って交流できてます。なんとなくSNSを通じて「一緒に何かつくろうよ!」って声かけて共同作業がはじまって、新しい音楽が生まれたことが何度もあります。はじめての人と食事に言ってワイワイするのも楽しいですが、一緒に音楽をつくるというのはまた別次元の特別な楽しみだなーと思います。

そして、自分自身プロとして長年やってきたおかげで、まわりにいるプロたちも「一緒に何かしよう!遊ぼう!」って言ってくれて、それがキッカケで新しい音楽が生まれたりもしてます。プロ同士で本気で遊べるってのは楽しいです。


②仕事では作れない曲がつくれる

仕事で依頼される曲ってすごくジャンルが限定されてると思います。広告系の仕事ばかりやってると、不快な音が鳴ってる音楽や暗い曲は作れないし、暴力的で激しい音も出番があんまりない。ドラマの劇伴やってるとテクノ作れる作品ってほとんどないし。音楽にはいろんな表現があるはずなのに、オーダーされるものってある範囲内の音楽がほとんどだと思います。マニアックな音楽の出番はほとんど無いです。たとえばノイズがやりたいって思っても、商業音楽ではなかなか難しいです。かつて朝ドラ『あまちゃん』を手がけた大友良英さんだって劇伴の時はノイズの出番がすごく少ないです。大友さんといえばノイズだと思ってたので『あまちゃん』の劇伴聞いてビックリしました。アーティストと職業作曲家では出来ることが違います。さらに言うと「売れなきゃいけないアーティスト」と「売れなくてもいいアーティスト」では、表現できるものが全然違います。沢山の人が好きにならないといけない曲、とにかく自分が好きならそれでいい曲。

仕事でも、なるべく世の中にない音楽を作ろうと日々努力はしてます。作曲家の数だけいろんな作風があって、それが世の中に溢れる方が豊かで楽しいなーと思ってます。実際は、流行ったものをマネする二番煎じなものや、ステレオタイプな感じの曲が多いです。これは発注側がそういうのをリクエストするから作らないといけないって現実もありますし、たとえ「おまかせで!」って言われても完全に自由に好きに音楽を作ることが出来ません。まぁ、当たり前の話だし、クライアントワークは自己表現の場所ではないし。(それでもやりたいと思ったことは提案してます)

仕事で作れないようなモノもどんどん形にして、「こういう音楽もあるんだよ」ってみんなに紹介できたらと思ってます。仕事と違ってクライアントやディレクターの顔色伺ったり世の中の反応意識したりしなくていい作風って面白くていいですよね。作曲家それぞれが「好き!」って思って作る曲がたくさん増えて欲しいし、そういうのが聞いてみたいと思ってます。

この話は③に続きます。

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