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Optilogic社年次イベントOptiCon2023レポート

BigM株式会社からのご挨拶

BigM株式会社は日本産業がこれまで培ってきた高度で精確なサプライチェーン・ロジスティクス分野が飛躍し変化に対応する柔軟性を獲得し競争力の源泉に昇華すべく、現実世界のサプライチェーン・ロジスティクスとデジタルテクノロジー融合の実現を支援しています。この度、当記事を皮切りに、BigM株式会社のnoteを始めました。最先端のサプライチェーンテクノロジーやベストプラクティスを共有するために活用していきたいと思いますので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。

Optilogic社の概要

Optilogic社は2018年にLLamasoftの創業者・元CEOであったDon Hicks氏によって創設され、財務・サービス・リスク・サステナビリティのバランス化を実現するサプライチェーンデザインテクノロジーの提供によるサプライチェーンデザインに携わる人々や組織の成功に注力をしている企業です。Optilogicが提供する100%クラウドネイティブ・サプライチェーンデザインソリューションCosmic Frogを世界に展開し、米国・英国・クロアチアにオフィスを構え、日本市場においては、BigM株式会社と2022年よりパートナーシップを締結しテクノロジーとサービスの提供を行っています。

OptiCon2023

創業者兼CEO Don Hicks氏のプレゼンテーション

Don Hicks氏のプレゼンテーションにはいつも、心を揺さぶられ、多くのインスピレーションとそしてそれだけではなく多くの笑いを共有してもらえます。今回の講演では、彼とOptilogic社のサプライチェーンデザイン領域における現状認識とその現状を打破していかなくてはいけないという強い思いが伝えられました。
Optilogic社はクラウドテクノロジーを用い、求める人すべてが容易にアクセスを可能なサプライチェーンデザインテクノロジーCosmic Frogを2022年11月から提供を開始し、既に多くの企業での活用がスタートしている点、また継続的な革新的テクノロジーの提供を行っているとの現状の共有が行われました。テクノロジーの中でも重要視している観点として、すべてのサプライチェーンデザイン分析にリスク分析を織り込むことで、コスト・サービスといった従来のサプライチェーンデザインの意思決定をギャンブルではなく裏付けとリスク考慮を行ったものにする必要があることが強調して説明されました。
また、サプライチェーンデザインはアイデア、テクノロジー、人、チームを必要とする"人間"の活動であることを強調し、サプライチェーンデザインコミュニティの維持とテクノロジーを必要とする人々にテクノロジーへのアクセスを容易に可能とし、その人・企業の成功に応じたコストによる価値提供を行うことがOptilogicのフィロソフィー(哲学)であると熱く語っていました。この哲学は彼らのテクノジーの提供形態にも反映されています。

Don Hicks 氏(Optilogic 創業者)

サプライチェーンデザインプラットフォームCosmic Frogの最新アップデート

続いて、Product Management Team・Applied Researchチームより最新のプロダクトアップデート・プロダクトロードマップの説明がありました。
以下にその概要をまとめます。

ネットワークリスクスコア

リスク許容度は、文化、個人の経験、教育、個人差など、様々な要因によって影響を受けることがあります。Cosmic Frogの最新バージョンAnura 2.6では、ユーザーからの要望が多かった「リスクプロファイル」と「インプット」を導入しました。このアップデートにより、ユーザーはネットワーク分析において自分のリスク評価をパーソナライズすることができ、好みに応じてリスク設定をカスタマイズすることが可能になりました。Anura 2.6 のリスクプロファイルとインプットにより、ユーザーはリスク評価をカスタマイズし、強化されたリスク出力テーブルを活用して、地理的リスクと利用リスクについてより深い洞察を得ることができるようになりました。

リスクスコア評価

Cost to Serve

Cost to Serve機能により、ユーザーは、顧客や市場セグメントにサービスを提供する際の収益性と効率性を評価することが可能となります。これは、従来の生産コストに焦点を当てたものではなく、製品やサービスの提供に関連するすべての費用(生産コスト、輸送コストなど)を考慮したものであるため、企業が製品やサービスを顧客に提供するために発生する供給コスト分析をユーザーに提供します。

Sequential Optimization

サプライチェーンネットワークの構成とパフォーマンスを改善するためのアプローチです。この手法では、コストの最小化や利益の最大化だけでなく、それ以上の目標を設定することができます。モデルを解く際に、追加の目的や制約を設定する柔軟性を提供します。例えば、二酸化炭素排出量を最小化しつつ、利益も出すように解きます。これを実現するために、まず第一の目的としてコストを最小化します。次に、カーボンフットプリントを軽減するために、コスト制約を一定の割合で緩和します。前のステップの緩和により、解を次の重要な目的に適用することができます。

ユーザコミュニティ

サプライチェーンデザインに携わる人々がベストプラクティスやテクノロジーへのフィードバック・改善要望を共有したり、プロジェクトに対するサプライチェーンデザイン人材やテクノロジーのやり取りを行うマーケットプレイスをユーザコミュニティとして構築しました。ユーザーコミュニティを活用することで組織の壁を越えて、サプライチェーンデザインに携わる人材のナレッジ・経験が共有され、ますます重要性が増すサプライチェーンデザイン領域における人々のプレゼンス向上に寄与します。

ユーザコミュニティサイト

サプライチェーンデザイン・プラットフォームCosmic Frogのロードマップ

AI/ML/遺伝的アルゴリズムを活用した最適化・シミュレーション機能の拡張

Optilogicが提供するクラウドを用いたスケーラビリティは最適化・シミュレーション機能におけるAI/ML/遺伝的アルゴリズムの活用を促進させるビジョンが共有されました。特に自然進化や遺伝的アルゴリズムに着想を得た進化型アルゴリズムは、複雑な最適化問題に取り組むための強固なアプローチを提供します。このアルゴリズムは、新しい子孫の解を生成するための基盤として、遺伝的親解に依存しています。子孫の解は、親世代の解を組み合わせたり、修正したりすることで作成されます。世代が進むにつれて、アルゴリズムはより高性能なソリューションへと徐々に収束していき、顧客へのサービス提供を向上させます。このアルゴリズムは、様々な遺伝子の組み合わせと解決策を繰り返し探索することで、最適または最適に近い解決策を発見しようとします。これらの機能を用い、例えば従来のアプローチと異なる画期的な在庫最適化を実現することが可能になります。遺伝的アルゴリズムにより在庫ポリシーを変化させながらサービスレベルとコストバランスを最も適した値となるよう、シミュレーション機能により非常に多くの試行を自動的に実行し、その結果を得ることができます。

ネットワーク最適化におけるルート最適化機能の考慮

ネットワーク最適化を実行時にラストマイルのルート策定を可能にする新たな最適化機能の実装を予定していることが発表されました。この機能が実装されることにより、ユーザーはラストマイルの経路にかかるコストをより高い精度で再現することを可能になります。

ネットワーク最適化とラストマイルルート最適化結果

John Ames Jr.氏(VP of Business Developpment)のサプライチェーンデザイン4.0におけるCoEチームの在り方

日本のイベントにも来日いただいた、VP of Business DevelopmentのJohn Ames Jr.氏からは最新の調査に基づく、サプライチェーンデザインCoE(Center of Excellence)チームのあるべき姿としてE2Eでのコーディネーション、組織への決定権、パフォーマンスメトリクス・能力開発/キャリアパスの形成がこれまでのCoEに加えられて求められているという洞察が共有されました。またサプライチェーンデザインは第四世代、Supply Chain Design4.0を迎え、プランニング領域と共存するデザインの融合が可能となったとの見解が共有されました。

サプライチェーンデザイン4.0への進化

先進事例の紹介

今回のOptiConでも複数の企業より、Optilogic社のCosmic Frogを活用した先進事例が紹介・共有されました。その中でもここでは日本発でスタートいただいた2社の事例をご紹介します。

ロジスティード様:ロジスティードが推進するサプライチェーンデザイン4.0のビジネス実装

アーリーアダプターとして、世界でも最も先駆けて推進されたロジスティード様、Optilogic、BigM社のコラボレーションにより実現された日本におけるサプライチェーンネットワーク分析事例を3社の視点から、世界のサプライチェーンデザインに携わる人々に発信しました。日本におけるサプライチェーンデザインのチャレンジやトレンド、日本の3PL企業におけるサプライチェーンデザインの位置づけ、ロジスティード様におけるサプライチェーンデザインの先進的取組と体制の共有を皮切りに、Cosmic Frogのクラウドコラボレーション機能を活用し分析から実際のビジネスへの実装を実現した日本におけるサプライチェーンネットワークデザインプロジェクト事例の取組とそのアプローチをご紹介しました。参加者の方々からは、日本におけるサプライチェーンデザインに対するコメントやコラボレーションの枠組みに関する活発なご質問をいただきました。

Sumitomo Corporation of Americas様:Inventory Simulation Optimization: The Best New Inventory Strategy for 2023

Sumitomo Corporation of Americas様からはOptilogicのProfessional Serviceチーム・Aplied Researchチームと共に、シミュレーション機能・遺伝的アルゴリズムを用いた在庫最適化プロジェクトのご紹介がありました。ネットワーク最適化機能を用い、新たな供給ネットワークを明らかにした後、遺伝的アルゴリズムを用い、各拠点・製品の在庫ポリシーのパラメータを2,500回以上のシミュレーションをCloud環境上で実行・評価し最もサービスと在庫保管費用のバランスがとれる在庫補充ポリシーを明らかにしました。Sumitomo Corporation of Americas様からはこれまでの在庫最適化アプローチと異なり、安全在庫レベルに留まらない、在庫ポリシーを含めた真の在庫最適化を実現し、ビジネスへの適応を推進中であるという先進事例が共有されました。Optilogic社がビジネス課題をしっかりと理解した上で最も適したアプローチとテクノロジーの提供を柔軟に行ったことに対する感謝が伝えられました。

最後に

BigM社では、今回取り上げさせていただいた、2社様をはじめとして、多数の企業様に国内で唯一日本語でOptilogic社のテクノロジーとサービスを提供しております。当記事内に記載しきれない詳細内容、またそもそものOptilogic社のCosimic Frogの機能について、ご興味をお持ちの皆様に是非、ご説明の機会を設けられればと考えております。ご質問やご意見などございましたら、info@bigm.oneまで何なりとご連絡いただければ幸いです。


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