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Cosmic Frog "Dendro"エンジンを用いた在庫戦略デザインアプローチ


Optilogic社について

Optilogic社は2018年にLLamasoftの創業者・元CEOであったDon Hicks氏によって創設され、財務・サービス・リスク・サステナビリティのバランス化を実現するサプライチェーンデザインテクノロジーの提供によるサプライチェーンデザインに携わる人々や組織の成功に注力をしている企業です。Optilogicが提供する100%クラウドネイティブ・サプライチェーンデザインソリューションCosmic Frogを世界に展開し、米国・英国・クロアチアにオフィスを構え、日本市場においては、BigM株式会社と2022年よりパートナーシップを締結しテクノロジーとサービスの提供を行っています。

これまでの在庫最適化手法

従来、在庫最適化と言えば安全在庫や多階層安全在庫最適化等の分析手法が用いられてきました。

コスト最小化等の目的を達成するための安全在庫数量を導出することが可能ですが、最適化では現実世界におけるサプライチェーンの振る舞いを十分に反映しきれず、結果として過剰在庫・サービスレベルの低下、また利益損失等といった事態をもたらす可能性があり、また「安全在庫」という一部在庫領域のみに対応できる分析となってしまうことも課題として認識されてきました。

Cosmic Frogの在庫最適化エンジンDendro:次世代型在庫最適化アプローチ

Optilogic社は新たな在庫最適化エンジンして、Dendroをリリースいたしました。DendroはAI(遺伝的アルゴリズム)を駆使したメタヒューリスティック手法とCloudのハイパースケーリングを組み合わせ、サービス・コスト等のトレードオフバランスを最大化することが可能である革新的な在庫最適化アプローチです。

 Dendroの主な特長

シミュレーションベースドアプローチ

従来手法では、需要変動等の概算値等に基づき、数理計画法を用いて在庫数量の最適解を導出するのに対し、Dendroではシミュレーションをベースとして実行します。最適化アプローチでは、対象期間の需要を総量として捉える等と時間軸の意味合いが低くなる傾向にあり、また需要の変動性等の再現が困難ですが、シミュレーションでは現実に近いトランザクションベースの需要量を用いることやポリシーベースで一定のランダム性を表現することができ、より現実世界に近しい環境再現が可能です。

AI(遺伝的アルゴリズム)の活用

Dendroの最大の特徴ともいえるAI(遺伝的アルゴリズム)は、より良い解(在庫最適化のケースでは、発注方式や発注点)を探求するアルゴリズムとして活用されています。ユーザー側が指定する変数を変化させた仮想シナリオをDendroが自動生成・実行し、ユーザーが定義したKPIに対するパフォーマンスを適合スコアとして採点し、より優位性を有する発注方式・発注点等を選定します。

遺伝的アルゴリズムを活用する上では、多数のシミュレーションシナリオを実行することが求められ、ローカルでのモデル実行を主とする従来サプライチェーンデザインソリューションでは膨大な数のシナリオ実行が困難ですが、CloudベースソリューションであるCosmic Frogでは、複数シナリオを並列処理することが可能でありハイパースケーリングすることでシナリオの自動生成・実行・評価までを一気通貫で行うことが可能です。

Dendroで活用する新たな入力テーブル等

  • InputFactorsテーブル

    • 遺伝的アルゴリズムにより変化をさせる対象となる変数とその範囲設定

    • 例) 変更対象:Inventory Policiesテーブル上の〇〇製品の発注点、  変更範囲:最小値:500、最大値:700、変更間隔:10

  • OutputFactorsテーブル

    • 分析の中で達成させたい値・KPIを持つアウトプットデータ項目について、1~100の値を効用曲線(Utility Curve)として定義

    • 例) KPI①:サービス率、効用曲線①:0~70% = 0、98~100% =100(71~97%は比例的に上昇)、KPI②:在庫コスト、効用曲線②:50,000 = 100、215,000 = 0(50,001 ~ 214,999は比例的に降下)

  • パラメータ

    • 仮想シナリオ数等を定義するための各種設定

ユースケース

例えば、サービス率と在庫コストといったKPIのトレードオフを評価しながら、とある製品に関する最適な発注点を探求するとします。

なおサービス率については95%以上を高く評価、在庫コストについてはベストコストの40%以内ではほとんど差はないものの、それ以下は望まないものとします。各KPIについて、1~100の範囲内でスコアを付与します。これを効用曲線(Utility Curve)の形で範囲を指定します。グラフ上では、下記の様な曲線として表すことができます。

サービスとコストの効用関数

Dendroにおける仮想シナリオでは在庫ポリシー・発注点に変更を加えながらその結果としてサービス率・コストがどのように推移するかを評価するのですが、この過程にてOutput Factorsテーブル上定義した適合スコアを活用します。設定したKPI項目(この場合、在庫コスト・サービス)につき、上記ルールに基づいてスコアリングを行い、両KPIの合算を適合スコアとして導出します。

仮想シナリオを遺伝的アルゴリズムが選択・交叉・変異させながら、一定シナリオ数まで当該プロセスを実行し、適合スコアがより高い解を導出していきます。

X軸にサービス率、Y軸に在庫保管コストをプロットした各仮想シナリオの実行結果。最も適合スコアが高いシナリオが最もコストとサービスレベルのバランスが良く、高いスコアとなる。

さいごに

Cosmic Frogの在庫最適化エンジンDendroは、これまでにない革新的な手法を通じて在庫最適化を実現する大変強力なソリューションです。従来アプローチでは課題とされてきた現実世界のサプライチェーンの振る舞いの再現、また当該事象を踏まえた最適解の導出をシミュレーション・AI(遺伝的アルゴリズム)・Cloudのハイパースケーリングを組み合わせることで実現しています。

BigM株式会社は、日本におけるOptilogic社の唯一のパートナー企業としてOptilogic社のテクノロジーを日本の企業様に活用いただくためのサポート、活用支援、コンサルティングサービスを提供しております。

Dendroに関するデモ実施、トレーニング開催等も対応しておりますので、ご不明点・ご要望等ございましたらお気軽にinfo@bigm.oneまでお問い合わせください。

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