「お安い御用です」がささった話
メールの返信に「お安い御用です」と送ったら、妙に喜ばれました。ことばって大切だな、と思った話について書いてみます。
ことの経緯
しばらく続いているオンラインでのゼミナール。なかなか気楽に雑談ができません。ということで、8月の最終週は、授業後2時間くらいZoomを解放して、希望のクラスで暑気払いをしてもらいました。楽しそうなんだよなぁ〜
で、土曜日のことです。
平日のクラスと違って、土曜日は朝・昼・夜とクラスがあります。なので、朝と昼のクラスは、別のミーティングに入り直さないといけないのです。
これ、Zoom慣れている人には、なんてことない作業ですが、慣れてないとちょっと戸惑います。
そして、ある講師が「暑気払いに参加したいけど、入り方がよくわからない」ということで、「こうすればいいですよ」とお伝えしました。
これ自体は、まったく大したことではありません。
ですが、講師としては、迷惑かけちゃったぁ〜と思ったみたいで、丁寧にメールをくれました。
おかげさまで 生徒たちと雑談会をすることができました。 お手数かけてすみません。 ありがとうございます
メールをもらったぼくとしては、そんなに気を使わなくてもいいのに。と思ったわけです。
なので、
お安い御用です。生徒さんと楽しい時間になってよかったですね!
って、返信したわけです。
「『大丈夫です』じゃなくて『お安い御用です』が嬉しかった」
後日、たまたまこの講師とシナリオ・センター代表の小林が、電話をしていました。その話の中で、ぼくからのメールの話題になったそうです。
その中で、
「かずきさんが、『大丈夫です』じゃなくて『お安い御用です』ってメールくれたんです。なんだか、『お安い御用』っていうのが嬉しくて、娘にも見せちゃった」
と話してくれたとか。
『お安い御用』がささったようです。
「お安い御用です」を使ったわけ
実はメールを返すとき、最初は「大丈夫ですよ!」って書こうとしました。
でも、なんとなく、「大丈夫です」は違うと思ったんです。もらったメールへのぼくの気持ちを入れていくと、
おかげさまで 生徒たちと雑談会をすることができました。
(ぼくの気持ち:それは何より!)
お手数かけてすみません。 ありがとうございます。
(ぼくの気持ち:ここで「大丈夫」って返すと、お手数かけられたことは「うん、まあね」って認めて、その上で「気にしないでね」って言ってる感じがするなぁ)
そこで出てきたのが、『お安い御用です』だったわけです。
ぼくの中では、「気にすんねぇ、こちとら、たいしたこたぁしてねぇぜ!」という江戸っ子っぽいニュアンス。実際、こちとら江戸っ子だし!神輿やらせろ!!
だいたい、迷惑だとかお手数だとかは、かけて当たり前なわけです。誰かができないことは、できる誰かがお安い御用でやればいいわけです。
そんな気持ちが根底にあるので、ぼくの中でも「大丈夫です!」じゃないな、と思ったわけです。
ことばって、大事だな
そういうニュアンスが届いたのかもしれません。というか、そこに反応する講師のことばへの感覚がすごいな、と思います。
ぼくだって、言われなければ、なんで『お安い御用です』を使ったのか、改めて考えもしなかったし。
そして、ことばって大切だな、と思うのです。
当たり前のことだけど、当たり前に使うことばこそ、大切にしないといけないんだと思いました。
こないだ読んだ鴻上尚史さんの『演劇入門 生きることは演じること』にも、生きたセリフについて言及していました。
仕事のうえでも、形式的な言葉使いより、生きたことばを使っていきたい、と思った次第であります!
シナリオ・センターのあらいでした。
シナリオ・センターは『日本中の人にシナリオをかいてもらいたい』と1970年にシナリオ講座を開始。子ども向けキッズシナリオも展開中。アシスト、お願いします!! https://www.scenario.co.jp/project/kids_assist/index.html