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教育・学びの未来を創造する教育長・校長プラットフォーム2023年総会イベントレポート (後半)

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※当日のボランティアスタッフによる記録をもとに作成した概要ですので、詳細な表現やニュアンス等については実際のやりとりと異なる部分があるかと存じますが、ご容赦いただきますようお願いいたします。

"未来の答えは現場にある"

6月24日(土)に株式会社リクルートの九段坂上KSビルにて、「教育・学びの未来を創造する教育長・校長プラットフォーム2023年総会」が開催されました。「未来の答えは現場にある〜こどもたちと私たちの未来予想図〜」というテーマを掲げ、4年ぶりの対面開催となります。北は北海道から南は九州まで、総勢約130名が参加し、質量ともに充実した熱気溢れる議論を行いました。

3.テーマ別講演・ディスカッション

このセッションでは、「「学校への行きづらさ」への答えを増やしていくために〜NPO ・教育長・校長の立場から考えるアプローチ〜」「学習者中心の学びを”組織”として実装するために~ 教育委員会と学校の立場から考える実践の進め方~」「若者と一緒に教育の未来を考える」といった3つの分科会に分かれて、それぞれ登壇者から話題提供をいただき参加者も交えた意見交換を行いました。
どの分科会も登壇者からの話題提供をめぐって、参加者から活発に質疑応答や意見・感想共有が行われ熱量の高い時間となっていました。

3-1.「学校への行きづらさ」への答えを増やしていくために〜NPO・教育長・校長の立場から考えるアプローチ〜

「学校への行きづらさ」をテーマとした分科会のゲストのみなさま

この分科会では、認定NPO法人カタリバの今村代表理事と大阪府大東市の水野教育長、国立市立国立第二中学校の黒田校長の3名に登壇いただきました。
今村代表理事からは、不登校解消の取り組みとして、「地方では公共サービスが限られているため、教育支援センターが司令塔になりながら、学校が良い場所になるように先生方と一緒に取り組んでいる。一方東京の自治体でも、こどもたちがどこに繋がっているかを一覧化して、どこにも繋がっていないこどもには教育支援センターのスタッフが家庭訪問をしている」と話題提供いただきました。
それに対して、水野教育長からは「やはり学校はこどもたちが育つ大事な場所である。ただ、それでも来られないこどもに対しては多様な教育機会が必要。」という声をいただきました。
その後、「学校への行きづらさ」への取り組みとして、登壇者3名が行っていることや工夫している点が共有されました。黒田校長からは「先生方に、こどもの実態や課題をデータベースで伝えながら方向性を示している」、水野教育長からは「一人ひとりにあった支援を展開するため、こどもの状態と家庭の状況を掛け合わせて100個くらいのマトリクスの中に子どもを当てはめてリーチ方法を考えている」、今村代表理事からは「全国に支援を拡充するため、メタバースで全国の方がこどもたちとカウンセリングを行っている」といったお話を提供いただきました。
参加者からは、自地域での取り組みの共有や不登校の捉え方についての意見交換が活発になされました。

3-2.学習者中心の学びを”組織”として実装するために~ 教育委員会と学校の立場から考える実践の進め方~

「学習者中心の学び」をテーマとした分科会のゲストのみなさま


この分科会では、広島県廿日市市立廿日市小学校の中谷校長と広島県教育委員会義務教育指導課の村田主任指導主事の2名に登壇いただきました。
お二人からは、宮園小学校での自由進度学習の取り組み内容や推進のポイントを、それぞれの立場から話題提供いただきました。冒頭「自由進度学習を進めることが目的ではなく「自立した学び手を育てる」ことが目的である。」と前置きいただき、「こどもでもわかるように、先生方が単元のゴールや何に取り組むかをこどもたちに伝え、そのうえでこどもたち自身が学習計画表に基づいて学習を進めている」、「はじめは教師も自由進度学習のイメージがつかなかったため、中谷校長自ら授業を実践し取り組み方を示した」、「自由進度学習に懐疑的だった先生方が実際にこどもたちが主体的に学ぶ様子を見て、どんどん取り組みへの熱意が変わっていった」といったリアルな実践の様子を共有いただきました。また、3年間の取り組みステップとして、1年目は学校と教育委員会の試行錯誤により教師のマインドセットづくりに注力したこと、2年目では外部講師も招聘し、教科書・プリントなどこどもの学習手法の自由選択の導入や学習内容の発揮の場の整備など取組を進化させたこと、3年目では、持続可能な足場づくりをキーワードに、使用教材のストックや公開授業による外部発信に取り組んだことを紹介いただきました。
参加者からは様々な質問が飛び交いました。「教師にどのように納得させていったか」という質問に対しては、「全ての時間を自由進度学習に変えるのではなく、1割のみ導入するのがこどもにとっても教師にとっても良かった。また、教師はこどもの姿が変われば自然と納得した」との応答がありました。「学力面で成果があったのか」という問いかけには、「学力を上げることを目的としていたわけではないが、結果として学力テストの成績も向上している」との共有がありました。「評価はどのように行うのか」という質問には、「自由進度学習によりむしろ見取りはやりやすくなった」との答えがありました。議論が白熱する中、時間が来てしまい、セッションは終了となりました。

3-3.“若者”と一緒に教育の未来を考える

「”若者”といっしょに教育の未来を考える」のゲストのみなさま


この分科会では、Z世代である田島 颯氏(暮らしの交通株式会社代表)、佐野 真知子氏(青春基地代表)、石黒 和己氏(青春基地創設者)、三浦 宗一郎氏(HASSYADAI social代表)、久保 直生氏(Kazamidori株式会社代表)に登壇いただきました。
まずは、事業を始めることになった原体験や、なぜここに行き着いたのか、実現したい想いなどを各登壇者から自己紹介を兼ねてお話しいただきました。その後「暇」の話題となり石黒氏からは「もし自由になんでもできるという余白が与えられた時に、不安で仕方なくなってしまう人を育てるのか、それとも楽しさを見つていく人を育てるのか。ここに、これから先教育における本質的な何かがあるような気がしている」と発言いただきました。そこから探究学習の中で余白を創り出すチャレンジをしている田島氏や、こどもたちが自由な発想を発露できるよう時間の境界線をなくす取り組みをしている佐野氏から取り組み内容を共有いただきました。続いて、こどもたちの非言語コミュニケーション能力の高さ(絵やダンスなど言葉だけではない表現の多様さ)や性別や年齢などのカテゴリに分類されない“個”について対話が行われました。
参加者からは「余白をうまく使う人とそうでない人の違い」や「余白をうまく使うために公教育の中で何ができるか」、「探究における評価のあり方をどう考えているか」、「登壇者から教育長・校長への期待は何か」について質問があがりました。
最後は、参加者の「自分は世代は違うものの、教育を通してどんな社会を作りたいか、どんな未来を作りたいかでは共通している。100年後の未来を創るのは教育しかないと思う。」という感想をいただき、終了となりました。

以上で、総会のメインコンテンツは終了となり、最後は参加者から参加者からは「若者とのセッションで、余白を作るとか校長先生が好きなことをやってほしいという話を聞いて来てよかったなと思えた」「やってやろうという希望に溢れた場だと感じた」などの感想を共有いただきました。
その後、地方におけるプラットフォームの取り組みの紹介や新しい活動の紹介があり、一人ひとりの熱意や希望に包まれまま、2023年総会は幕を閉じました。

ご参加頂いた皆様ありがとうございました!
また2024年総会でお会いしましょう。


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