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フランス×クロアチア 2人のストライカーと守りの要に対するデシャンの決断

フランス×クロアチア 4-2でフランス勝利。残念ながらスラヴ圏の代表が胸に一つ星を刻んで帰国することはできなかった。

天候があれたこともあったとは思うけれども、ここまで波のある試合になるとは恐らくだれも予測していなかっただろうと思う。試合の分かれ目になる個所はいくつかあったように感じた。

①フランスの1点目がセットプレーからのマンジュキッチによるオウンゴール(とはいえ不運というレベルだった)で、クロアチアのセットプレーでの弱点がもろにつかれてしまったこと

②クロアチアの1点目、ペリシッチが難しいバウンドを左ハーフボレーで豪快に決め切ったあとで、その後CKでのペリシッチに自身によるファールでPKをとられたこと。

③そして前半2点目もまたセットプレーからのミスで失点してしまい、弱点を修正できなかったこと。結局ペリシッチ・マンジュキッチの双方が失点の直接の原因を作ってしまったことで、相応の動揺があったのではないかと思われたこと。

④(③と前後するが、)前半終盤にかけて、カンテがPA前でカードをもらい、守備のかなめに大きな足かせを付けたことでクロアチアが優勢となったこと

⑤④を受け、恐らくデシャンはカンテが機能していないことも含め、守りのかなめであるカンテを外したことでクロアチアの中盤の展開力が一気に上がったにも拘らず、フランスの2点目を許してしまったこと

点差を考えればフランスの3点目、4点目、そしてクロアチアの2点目もあるけれども、両チームの力関係と長短はここまででほぼすべて出たように見えた。クロアチアの集中力が、フランスの3点目以降、不可避的に落ち込んでいったのが伝わってきた。後ろ向きということではなく、体力的にもギリギリな状況の中で追い込まれ、激しく消耗したというのが妥当な見方だと思う。

クロアチアはこれまで1点を先制され追いかける試合が多かったものの、さすがに2点追いかけるのは相当堪えたのだろうとは思う。後半25分頃からのクロアチアは、フランスが守りを固めに入ったこともあって厳しいムードが漂っていた。30分以降になるとPAでシュートを撃つこともままならなくなっていた。

全体の流れとして、いつものクロアチアの勢いが出たものの、セットプレーで2失点してしまったことがいつもと違う展開で、それでも押していたクロアチアがカンテを崩し、デシャンはカンテを交代させ、さらにクロアチアの勢いが出たにもかかわらずポグバが3点目を決めたことで止めを刺した、という、テクニカルな面というよりは、クロアチアの心理的動揺と、デシャンの戦術的な意思決定がもろにゲームに影響を与えた、という意味で、意外な展開をたどることになったのだと感じた。

選手一人一人は力を出し切ったという気持ちがあるとは思うものの、両チームの選手とも、こんな絵は想像していなかったに違いない。

フランス優勝おめでとう。それ以上に悔しかったであろう、クロアチアの準優勝おめでとう。死ぬほど難しいと思いますが、せめてサッカーだけは旧ユーゴスラビア代表として統一して出場してほしいなとも思いました。クロアチアはあまりに過酷な戦いを強いられた末の偉業だと思います。

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