折り紙の宇宙

ここ数年、地味に取り組んでいるのが折り紙。広島県人なので、鶴を折るのは昔から得意なのだが、他の折り紙となると子供の頃に作ったパックンチョだったり、やっこさんだったり、あとは精々会社で机の上のゴミを捨てるための小箱くらいしか作ったことがない。ではなぜ突然始めたかといえば、単に人の影響である。「子供の頃のバイブル!」なんて言われたので気になったのが、上の「ビバ!おりがみ」。図書館にあったので、借りてパラパラと眺めたところ、どう考えても4歳時のバイブルにはなり得ない(つまり、その人はよっぽど早熟だったか、変態だったのだろう)のだが、せっかくだし・・・と、折り紙を買い求め、一番最初の流れ星を折ってみた。この時点でわかったのが、私は意外と手先が不器用だということ。毛抜きですいばりを一発で抜けるので器用な方だと思っていたんだけど、どうも違うな・・・と少しショックを受けたりした。(そして、変態さんには笑われた。)「リスなら簡単ですよ」と言われて、チャレンジしてみたが、何度やってみても手の部分の折り方がわからない。最終的には「紙の声を聞くんです!」とか、全く役に立たないアドバイスをされる始末で、これじゃ悪魔なんて絶対無理ね・・・と失望しつつ、期限が来たので図書館に返却したのが「ビバ!おりがみ」だったのだ。

しかし、ここで止めてしまっては、変態氏のなかで「リスの手も折れない女」という評価になってしまうし、何より買った24センチ四方の折り紙をムダにしないため、もう少し入門編からチャレンジしようと(そして地道に時間をかけれるように)「本格折り紙」を購入したのだった。少し折り方が違うが、リスも折れ(手もちゃんとある!)、気を良くしたので一気に中級編の「立ち姿の鶴」に手を出したが、これは私にはまだ難しかった。反省して、入門編に戻って修行しているところです。

さて、そんな中、タイムリーにTwitterで流れてきたのがNOVA DocumentaryのThe Origami Revolutionという動画である。もともと、折り紙の話をしている中で(つまり、なぜ私はリスを折れないのか?という話の中で、ということなのだが)、折り紙は工学系に応用されていることが多い、例えば人工衛星など・・・と言うことは教えてもらっていた。DNAの話もした気がする。が!今回の動画ではその他にもとても面白く感じた点が何個かあったので、ここで共有したいと思う。


1)脳の構造理解への応用

あのシワシワの脳、シワシワの方が表面積が増えて云々というのは、昔から知っていたが、それが視覚的に見れたのが面白かった。人工衛星のソーラーパネルと同じように、小さな場所に大容量のものを容れようとすると折り紙の原理が使われるということだといえばその通りなのだが、そういうものの見方の転換というのが、新しいことを知る醍醐味だったりするのです。


2)自然界における「折りたたみ」

これも同じく、例えば木の芽の中に葉っぱがどのように折りたたまれているか、という話なのだが、実際の馴染みのある、葉っぱの葉脈のあの構造が折りたたむためでもあるというのは新鮮だった。


3)宇宙の構造理解への応用

これが私にとって一番の驚きというか、まさしく「エウレカ!」な発見だった。宇宙がビッグバン(正確にはインフレーション?)から始まったこと、これは知っている。宇宙はそれ以降拡大し続けていること、これも知っている。宇宙に存在する銀河系の構造、これも知ってる。この宇宙において、人間が判別できているのはわずかしかなく、ダークマターと呼ばれる、謎な物体(天体?物質?)が存在しているということも知っている。なぜならば、私はもともと宇宙論専攻志望だったからだ。しかし、折り紙の応用でビッグバンもダークマターも説明できるかもしれないことが、この動画を見てわかった。ビッグバン以降宇宙は折りたたまれていた折り紙が開いていて(だから宇宙は拡大している)、まだ折りたたまれている部分がダークマターなのだろう・・・と、実際に動画の中での解説が始まる直前にピーンときたのです。まぁ、動画は英語ですし、専門的な単語まで聞き取れてはいないので、本当にそう説明されていたかどうかはわからないんですが、少なくとも私の中ではとても腑に落ちたのだ。もちろん、私の頭の中での折り紙の展開は二次元というか平面への展開でしかなく、本来宇宙は三次元、もしかするとそれ以上の次元にも展開が必要なのだろうから、イメージとして不十分なのは承知している。でもいいの、私の中ではとても納得できたから。


まぁ、動画全体を通して言えるのが、「こいつら、変態級に頭がいいな・・・」ということで、よくまぁ、一枚の紙からあんなものを作り、それを理論的・数学的に考えられるなぁと呆れることしかできない。ということで、私の最終的な結論として、ひとつ確実なのが「折り紙好きは変態である」。これは間違いなかろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?