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19 火力発電と土佐づくり

サイエンスエッセイ 19
火力発電と土佐づくり
 
 土佐づくりは「たたき」とも言われる。カツオの柵を火であぶって外側を薄く加熱し、刺身のようにいただく。藁の炎で焼くのが本場だそうだ。以前、ガスバーナーであぶってみた。お味は不評だった。
 
 うなぎは木炭で焼く。飲み屋では電気で熱することが多い。ガスではダメなのか。都市ガスの主な成分はメタンCH4。つまり水素を含む。水素は燃えれば水になる。つまり、ガスであぶると水蒸気が素材に当たって水っぽくなるということ。もう一つは、木炭や電気で熱すると、主な熱の伝わり方は赤外線で放射熱ということになる。一方水蒸気は、熱い水蒸気が直接当たる伝導になる。
 いずれにしても、ガスで焼くとは水っぽい焼き方ということだ。藁の場合はセルロースだから水素を含むがC6H10O5だから、炭素原子1個に水素4個のメタンに比べれば水素の割合は低い。
 
 ところで日本の火力発電の燃料は石油、石炭、天然ガス、あと少量の直物由来のバイオ燃料があるが、最多は天然ガス、次いで石炭だ。同じ量の電気を作ると、石炭は天然ガスのおよそ2倍の二酸化炭素を出す。だから石炭より天然ガスを使った方が気候変動への影響は小さい。ただ、石炭の方が値が安いということで盛んに使われている。気候変動による被害の復旧などのコストを考えると、果たして石炭の安さは意味があるのかという論もある。ただ数値化することが難しく、結論は出せないでいる。

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