detective TAKEI FUMIRA.

探偵タケイフミラ.

その登場人物のほとんどには
特定のモデルはなく
想像上の人物だ。
当然。

イセイは遠い違う星からやってきたからイセイだし
チクワデカは元刑事の竹輪が好物の男だ。

なかなかそんな人はいない。

でも
ネコザメルセデスにはモデルがいる。

15年ほど前
ぼくらの『studio75』の近所に
とある相撲人所有のベンツが停まっていた。
そしてその周りやボンネットや車体の下に
黒ブチ模様の猫が住みついていた。
大家族で。

かなり強面の集団で迫力があった。
そばを通ると睨まれているようで（実際睨んでたのかもしれない）
ちょっと怖かった。
毎晩ケンカしている様子が聞こえる。

何処かの家で世話になっていたのかもしれないが
遠目にはノラ猫家族に見えた。

そんな黒ブチ猫さんたちを
サツキさんと僕は『ベンツ猫』と呼ぶ。

タケイフミラ.の1stアルバムを作っているときに
自然と当たり前のように
『ベンツ猫』を登場させる。
ネコザメルセデスという名前で。
そしてそのパーソナリティは
僕らにとってはリアリティがあり
特に脚色せず書く事が出来た。

タケイフミラ.と話す（実際には心を読み合っている）以外は。

ミヤナガリサさんが描く
タケイフミラ.の物語に登場するネコザメルセデスの
そのキャラ立ち具合は主人公を凌ぐ程だと思う。

いつしかベンツ猫家族を見かけなくなった。
どこにいったのか。
ちょっとさびしい。
近所もだいぶ様変わりした。

鈴虫が鳴いている。