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アマチュアミュージシャンはSNSで自分を見失う

ミュージシャンを目指し活動する多くの人が陥る危機的状態

それが「自分を見失う」です。

従来は無名のミュージシャンが一般の人と接する事が出来たのはアンダーグラウンドなライブ位でしたが、昨今はSNSなどの発展が進みfacebook経由、twitter経由、youtube経由などで認知されたり、メッセージ機能やコメント機能によりコミュニケーションが比較的容易なため、身近なアーティスト的な形で交流が進んでいるようです。

でも、このSNSの世界に溺れていく人も少なくないようです。

錯覚の中で生きている

アーティストを目指している、まだ、その途中なのに、まるでアーティストになったような錯覚の中で生きてしまっている人が多いですね。

この要因としてSNSが挙げられると思います。SNSは様々な人が利用していますので特異な人同士でも需要と供給が成立します。

そうなるとアーティストとファンという図式が比較的早く成立します。ここからは特殊なコミュニティの中でのお話としてご覧ください。

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ファンという需要側はアーティストとの関係性を強くしたい理由で

「なんでも褒める」

「否定的な意見は言わない」

「投稿にとりあえずイイねをつける」

といった肯定行動をします。

時代的な流行というか風潮として他者を受け入れる事が美徳とされていますので仕方ないのかな、とも思いますが、この関係が相互依存や自分を見失うミュージシャンの温床になっているのかな?と見ています。

アマチュアミュージシャンという供給側はファンへの発信として「曲の発売」「ライブ開催」「動画などの発表」といった行動となります。

しかしながら極めて少数の中で形成された世界という事と、ある種、この世界の統治者はアマチュアミュージシャン本人という事もあり暴走が始まるのです。

アマチュアでありながら活動内容や規模は別として、プロと同じ活動が出来ている事から、自分がまるで、すでにプロである錯覚に陥るのです

本来ならば、ブラッシュアップして更にファンを増やす、需要を分析して更に楽曲(商品)を増やす。ミュージシャンとして生活できるように土台づくりをする。などの行動が必要となってくるのですが、ミニマムな世界が出来上がってしまうと、なかなか脱出できなくなってしまうアマチュアミュージシャンが多いようです。

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プロの世界は契約で成り立っています。2年でアルバム2つ、シングル5つ発売などなど色々ありますが、発売時期や内容、プロモーション行動、重点プロモーションエリアなどを検討します。大体、半年先の行動となりますので夏に冬の曲、冬に夏の曲をレコーディングしたりPVを作成します。セールスが不調な場合は早期の契約終了、不祥事など起こせば一発契約解除もあり大変にシビアな世界です。

これに対してアマチュアミュージシャンは?というと

楽曲制作に締め切りなし、

思いついたら制作、

発売時期も適当

「夏には新曲、出したいなぁ」

「秋になったから曲作らなきゃ」

「イイ曲出来ちゃったからレコーディングしました、今月発売します」などなど、とにかく思いつきです

「アルバムは曲が沢山出来たら作ります」アルバムのコンセプトも無く、ただただ曲を詰め込んで形式的にはアルバム、あるいは楽曲制作数も少ないので多くはミニアルバムとして発表しているパターンが多いです。

この流れだと良い作品、人に買ってもらえる、共感してもらえる作品が生まれるのは難しいと思います。

成功したミュージシャンの方々はシングルのために100曲程デモを制作させられて、そこから1曲を選び、そこから更にビルドアップしてレコーディング、ミックス、マスタリング、デザイン制作などをして作品を完成させています。

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思いつきで作った1曲に神様が舞い降りて、ヒットする。

というのは奇跡だと思います。

そして、その奇跡が起きた後に、また奇跡が起きる。

またまた奇跡が起き続けるなどという事は無いのです。

なので、楽曲を多数作りストックしておく事はアマチュアの時代、時間が沢山ある時にすべき事の一つです。色々なテーマを色々な挑戦で表現をして、多数の楽曲を作っておくと後から助けられます。

レコーディングもセルフで行う訳ですが、そこで、いつもと同じマイクセッティングや、いつも使っているサウンドプリセットを使っても前進は無いでしょう。

プロが行なっているレコーディングはアマチュアの皆さんが考えているようなモノでは無いのです。もっとサウンドデザインを考えて深く音を追求して制作されているのです。そこを勘違いして、pc任せの制作を続けても、そのサウンドには新鮮な驚きは無いのです。

聴いてくれる人は新鮮な驚きを音楽に求めているのに、カップラーメンにお湯を注ぐような制作をしたインスタントな音楽を誰が買ってくれるというのでしょうか?

もし買ってもらえたとしても、3日で飽きられてしまうでしょう。

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自分はミュージシャンです。という多くのアマチュアミュージシャンは、ニートでミュージシャン、もしくは働きながらミュージシャンという2形態になると思いますが、両者ともに様々な理由で活動資金は多く無いのです。

ファンの数が少ないのですから売り上げ金額が伸びる訳はないのです。なのに、新規顧客を獲得しようとしないのです。

なぜなら、すでに出来上がった小さなコミュニティの居心地が良いのです。もしくは、自分の世界について来てくれる人が本当のファンなんだ!という妄想を抱きはじめ、世間とは違ったルールや価値観を持ち始めるのです。ちょっとしたカルトに似ています。

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余談ですが、以前、札幌のアマチュアミュージシャンの女性から撮影依頼が来たのですが、「痩せたらお願いします」と言われ、現時点で、はや、4年経ちますが呼ばれません。「お腹が減ったら呼びますね」って、あなたはラーメン屋に電話するのでしょう。もはやイタズラ電話と同じです。そしてダイエット、、、大変なのですね。健康状態は大丈夫ですか?と心配になります。撮影依頼を受けたのですが、打ち合わせが永遠に行われないというアマチュアミュージシャンの方もいました。当然、売れる事もなく誰にも知られる事もなく自称シンガーソングライターとして年齢だけを重ねて生きているようです。

札幌はアマチュアミュージシャンが案外多く活動しています。ほとんどがミュージシャンというには程遠く、どこか勘違いした感が強い人たちが多いのですが、時々撮影依頼が来ると怖くて仕方無いです。何故かというとアマチュアミュージシャンの方々は、普通の事を、普通には出来ない人が多いからです。依頼をしておきながら、連絡が突然途絶えるなんて日常茶飯事です。撮影させておいて料金を踏み倒すなんてのも多いですね。普通に考えて、社会人としてダメな行動を出来てしまう人は、社会でも受け入れられないのでは無いでしょうか?

実質的に誰が徳をしたのか?

をお金の流れで考えると世界は解りやすく見えてきます。

アマチュアミュージシャン達で徳をしている(純利益がある)のはライブハウスの運営会社、レコーディングスタジオ、ボイトレなどのスクール、楽器店などなど、本人ではなく関係者なのです。実はミュージシャンもファンも利益の無い不思議な世界だったりします。多くのミュージシャン志望の人たちは関係者に搾取されているだけなのです。

毎年、ミュージシャン志望の人は、見えていないだけで、実は大量に生まれ、メジャー契約には至らず、毎年どんどんと増えているのです。途中でミュージシャンを諦めるまで20年近く必要とする人もいますので、なかなかの数の人がアマチュアミュージシャンとして存在していますね。ちなみに1年間でメジャーデビューするアーティストは大体300~400位です。このペースが10〜20年だとするとメジャーでも自分のライバルが毎年凄まじい数で増えていくのが解ります。これがアマチュアミュージシャンの数として考えると、少なく考えても、おそらく100倍以上となりますので毎年3~4万人がミュージシャンとして生まれている事になります。

さらにレコード会社の事情により、メジャー契約期間が年々短くなっていますので、メジャーレーベル所属ミュージシャンが1年後にはフリーになっていたりします。実力のあるフリーのミュージシャンが現在の日本で行き場がなく溢れているのです。

そんな日本で職業ミュージシャンになるのは、決して簡単な事では無いと思うのです。

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プロモーション行動としてのターゲット層設定も無く、「誰か買ってくれたらイイな」程度ですから田舎の道の駅で並ぶ、お土産レベルです。変わりばえのしない箱入りのお菓子、全くの無名で味もわからない、試しに買って食べてみたら、あぁ、あの有名菓子のパクリだな。次は買わないな、、。というお粗末なお土産と同じレベルです。ヒットするお土産は市場を分析してターゲット層を明確にし、企画、制作されています。なので当然、購入したお客様の納得度合い、満足度合いが高いのです。リピート率も高く口コミが強いのです。他の人にもオススメしますし、オススメされた人も納得するクオリティなのです。誰でもいいから買ってほしい商品は、残念ながら誰も買ってくれない商品になるのです。

女性のために作った曲を、大勢のおじさん達の前でライブ披露ですからターゲット層に響いていないワケですが、ここに問題点を感じないのも凄い事です。誰かの心に響いて欲しい。という願いを込めて作った曲がターゲットである層に届いていない。この問題点の解決をせずに活動を続けても、それは時間の無駄になる事でしょう。制作した楽曲と実際のファン層が違っている場合は楽曲のファンでは無く、あなたへの応援でしか無いのです。この状態から、もう一歩先に進む努力をしない限りライブの来場数もセールスも伸びる事は無いでしょう。応援してくれるファンの好意の中、アマチュミュージシャンは自分を見失ってしまうのです

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バンド編成で大所帯では無いのならライブ会場でやる必要も無いような気がします。ギター弾き語りならストリートで歌えば良いのです。実際コブクロさんはアマチュアの時に、ストリートで歌っていました。彼らが歌うと手焼きのCDが100枚以上売れる程お客さんが集まっていたのです。多くの人の耳に届いて欲しい、CDを売って活動資金にしたい。というシンプルな目的ならストリートで十分なのです。え、コブクロさんに勝てない?そんな事を言っているならミュージシャンをヤメた方が良いです。音楽の世界は椅子取りゲームに似ています。売れないと生きていけないんですから、売れている人を超えないとダメです。

音楽を買ってくれている人の多くは名曲達を買い続け、聴き続け、時に歌い、涙したり、人生の1ページに音楽を刻み込んでくれた人たちです

ズバリ、自称ミュージシャンよりも耳が肥えてます

難しい事は抜きに、お金を出して音楽を買う事が出来る人は多くは無いのです。お客様を納得させ、お金をいただく意気込みが無いのなら、さっさと音楽をヤメた方が良いです。(ちなみにドリカム吉田美和さんはアマチュア時代「ユーミンに負けない」が口癖でした。壁は高ければ高いほど良いのです。)

以前、とあるメジャーアーティストさんと世間話をしていた時「上に登り詰める事ができる人間は少ないんです。一歩づつ、着実に進んで行く事に全力をかけているんです。」と仰っていました。その通りなのです。多くのアマチュアミュージシャンが階段を一段登ったところで、あるいは二段目で満足してしまうのです。ちょっと休憩のつもりが、そこから上に進む事が出来なくなってしまうのです。

では階段とは何なのか?考えるべきだと思います。

ミュージシャンの価値は音楽商品自体の売り上げ金額、ライブ動員数、グッズなどの物販売り上げ、の3つが柱です。

店を持たない個人商店みたいなものです。なので階段として考えるべきは「売り上げ金額」「ライブ動員数」です。

30人程度から100人程度、そして200人、500人とステップアップしなくてはダメです。動員を増やすという事は新規顧客を増やし続けなければならないというシンプルな答えが待っています。友人知人だけでは無理なのです。そして移り気なファンの心を掴み続けなければいけない。という事実が待っています。

ライブ出演の条件であるチケットノルマを自腹、なんて人は無理です。まして自腹のチケットを手渡した友人すら来てくれない、なんて人は完全にダメでしょう。

SNSでファンになってくれた人が楽曲を購入してくれる。そんな割合は1~2パーセントあれば良いトコでしょう。ライブに来てくれる。なんて人は極めて少ないと思います。SNSの中、フォロワーの数や応援コメントに甘く酔いしれても意味はありません。

そんな事に一喜一憂するよりも、期間設定をした楽曲制作や販売計画、動員目標を立てるべきなのです。

アマチュアミュージシャンは無計画に気分のまま生きていけますし、自主ですから、そもそも契約自体存在していません。事務所にも所属していませんから注意してくれるマネージャーもいないのです。好き勝手、思うがままです。SNSでの意味不明な言葉も、パフォーマンスの低い動画も、イマイチな楽曲を発表し続けても、それでも、暖かく迎えてくれるファンがいるのですから、自分がアーティストである。認められているという錯覚は止まりません。どんどん、アマチュミュージシャンは自分を見失って行くのです

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矛盾の中で錯覚に生きている

自己肯定と自己承認欲求で突き進み、SNSの世界には肯定してくれるファン、ライブ会場には少数のコアな妄信的なファン。しかし、現実としては、説得力に乏しい楽曲、お世辞にも上手とは言えない演奏、一般人のカラオケ程度な歌唱力、冴えないルックス、売れないCD、そんな活動を反対する家族兄弟。あなたをアーティストとして誰も見ていない。そんな矛盾の中、アマチュアミュージシャンはSNSを中心とした錯覚に生きているのです。

アーティストイメージと本当の人格が別だと心のバランスは保ちやすいのですが、多くのアマチュアミュージシャン達は居心地の良さから、アーティストイメージと本人との人格を融合させてしまいます。こうなると、かなり深刻に自分を見失います。それは、そうです。現実の自分は、誰も認めてくれていない、あるいは認めてくれる人が少ないのに、SNS発信の小さな世界、あるいはライブ会場ではアーティストとしての自分は認めてくれている人がいるのですから。いつしか矛盾を拒否して居心地の良い自己陶酔の世界に逃げ込んでしまうのです。ここで、自分自身を冷静に見つめ直し、しっかりと分析をして、販売計画や制作計画をたて、それを実行できる人だけが本当の意味でアーティストになれるのです。音楽で生きて行くという事はギャンブルでは無いのです。農家さんが毎日汗して畑で作物を作り、そして自分自身で作物のブランディングをして販売をしている事に似ているのです。大変な作業です。

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余談ですが、自称アーティストさん達に多いのが、作曲の時に使っているPC作業環境を見せていただくと、違法コピーされた楽曲制作ソフトや、ドングル無しに動く高級プラグインソフトを見る確率が高くてガッカリします。それ違法です。そしてプラグインは違法とはいえ高額な一流メーカーを使っているのに、マイクやインターフェースには気を使わない。そのアンバランスさが、その人の全てを物語っている気がします。

一流ミュージシャンやエンジニアが使う総額数百万円のプラグインを違法でコピーして使い、PCの画面を見た時、気分だけはアーティストに浸りたいんですね。でも録音した時にマイクの音やインターフェースの音質、自分の音楽の説得力の無さや世界観の乏しさには気づく事も無いのです。

高級プラグインやプロツールズを使っても、良い音楽は生まれません。良い音質と良い音楽は別なのです。

楽曲の制作や発売、ライブ、グッズの発売などなど、メジャーアーティストと見た目、同じ行動が出来て気分が良いのでしょう。でも、第3者から見ると、ちょっと、いやいや、かなり違います。

グッズなどは丸パクリなものが多いですね。ロゴデザインなどもデザイナーさんやブランドの丸パクリをしているものが多くて唖然とします。全く買う人の気持ちを考えていないような酷い物も多いです。売れないので長期在庫となり、古さもあって、もはやビンテージ品も多いです。ミュージシャンとして成功したいのならグッズでは無くて、良い音楽を作ってください。

でも、優しく迎えてくれるファンがいるから錯覚は止まらないのでしょう。

言葉は使いようでアーティストという言葉は自称で良いと思うのですが、自分が思う世界と、他人、世間から見た世界は随分と離れているものです。客観的な判断をしてくれる誰かがいないとアマチュアミュージシャンは自分を見失いがちです。ライブ会場のオーナーやレコード会社のスカウト担当さんと、じっくりお話をして自分を見失わないようにして欲しいものです。

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良薬は口に苦し

自分では気づいていないかも知れませんが、甘やかされすぎていませんか?時に耳の痛い話をしてくれる人や、批評してくれる人の話に耳を傾ける事をしましょう。本当に実力があって、あなたが天才なら、とっくに大きなお話が来ている筈です。

今となっては伝説になっているモータウンレコードは事務所も無く自宅を会社にして始まりました。販売前の楽曲はスタッフ全員で聴いて、全員で意見を出し合い、というよりも徹底的にダメ出しをして改良改善後に発売をしていたのです。全員がイエスマンだったなら成功は無かったでしょう。みんなで褒めちぎるのは簡単ですが、良い物を作る為に議論する事や衝突する事は良い事なのです。

恐れず意見を述べる事、

そして聞く耳を持つ事、

ベストを尽くす事と諦める事は別

という事を理解すべきでしょう。

え、苦いのは嫌?大丈夫です。オブラートに包んでお話してくれる人を探しましょう。

「売れないカメラマンにコーヒーを一杯飲ませてやるよ」っていう心優しい方、サポートおまちしております。コーヒーは我慢して交通費や制作費に充てさせていただきます。