ストリートポートレート、その方法について

画像1 ストリートでのポートレート撮影が好きです。時代の空気を閉じ込めてる感じがして、心踊る撮影のジャンルです。ど〜やって撮っているんですか?という問い合わせが少なく無いので簡単にご説明させていただきます。
画像2 ストリートでのポートレートは、まず撮影場所のセレクト。普段からロケハンした写真をクラウドサーバーなどにポップとかダーク、地名、色などフォルダを分けてアップ、モデルさんに見てもらって好みの場所を選んでもらう、というのも良いと思います。
画像3 普段、何気なく歩いている時も、気になる背景を携帯などで撮っておく事も大事だったりします。携帯だと位置情報も埋め込めるので後から場所の再確認が出来て便利です。以前は一眼で撮ったものの、撮影場所に二度と辿り着けなかった場所もありました。
画像4 人物を配置した事を想定して撮っておく事も忘れずに、モデルさんや関係者と打ち合わせする時も便利です。お洋服やアクセサリーの色、ポージングなんかのイメトレも出来ますのでロケハンは無駄にならないです。撮影した時間帯や太陽がどちらに沈むか?人通りの少ない時間なども記録しておくと便利です。打ち合わせ無しの撮影の時にモデルさんの雰囲気やお洋服の雰囲気でカメラマン側からロケ場所の提案が出来ると信頼されると思います。
画像5 主役と脇役を決定づける為にボケを使う表現も有効なのですが、僕の場合はボケや開放側のレンズ描写も使いつつ、光と闇だったり、綺麗と汚いをぶつけて、綺麗が際立つようなイメージを目指して撮っています。なのでハイスピードシンクロです。撮影の時間帯に関しては12:00~15:00位の昼間です。レンズは50mmメインです。24-70mmも便利で良いんですが片手でストロボを持って撮っているので潔く単焦点が楽だったりします。
画像6 平日の昼間は人通りも少なく、通行人の方々にご迷惑をかける事も少ない事と、人目が少ない方がモデルさんの集中力が高くなります。カメラマンの視界はファインダーの中にあるので気付きにくいかも知れませんが、モデルさんの視界はカメラマンの背後全てですからギャラリーが多いと大変です。カメラマンが大きなソフトボックスを手に持って撮影って案外目立ちますので、周囲に配慮して平日撮影です。
画像7 撮影手順としては、まず背景の明るさを決めます。好みの暗さになるまでisoを下げてシャッタースピードをあげます。次にメイン被写体。太陽は味方になってくれると素敵なのですが、ほとんどの場合は敵です。都合よくイイ感じの光がモデルさんを照らす事は無いので、僕の場合はストロボを使用して好みの光を補っています。ストロボの光はベアヘッドのままだと硬い感じで自分好みでは無いのでソフトボックスやビューティーディッシュを使用しています。ストロボはオフカメラにしてカメラから離して使用します。
画像8 ストロボは無線タイプのリモートを使用しています。赤外線タイプだとカメラとストロボの間に遮蔽物があったりセンサーの向きの関係で発光しない、という事が多々あり撮影のテンポを狂わすので個人的には無線タイプをおすすめします。
画像9 ソフトボックスはスタンドに装着せず手で持って撮影しています。片手にカメラ、片手にソフトボックス付きのストロボです。ストロボは発行パワーがなるべく大きくてチャージ速度が早いものの方がおすすめです。操作が煩雑になるのも面倒かと思いますのでシンプル操作のモノがオススメです。PROFOTOのストロボはハイブリッドモードになっているのでTTLでとりあえず光らせて、それからマニュアルモードにするとTTLの測定値そのままにマニュアルで微調整できるのでオススメです。
画像10 右手にカメラを持ったまま、左手でソフトボックスを装着したストロボを持って撮影です。左手をカメラを持つ右手側に持っていき自分の右頭上やカメラ右側のポジションに持っていったりして撮ってます。ソフトボックスのサイズは大きいと光が柔らかくなるだけではなく、キャッチライトも大きくなるので瞳がキラキラしてイイですよね。
画像11 レンズを選ぶように、ストロボに装着するライトシェーピングツールを選びます。ソフトボックスの形状やサイズ、材質で好みの光を作り出します。時間に余裕がある時は2灯使用するのも素敵だと思います。夜だとカラーフィルターを使って背景に色をつけるのもオススメです。自分はビューティーディッシュも使うのですがメタル製のガチ仕様なので、ロケに連れ出すのは稀ですが、ロケ用の折りたたみタイプのビューティーディッシュもPROFOTOから発売されているので欲しいなぁ、、なんて羨ましくサイトを見ていたりします。。
画像12 ハイスピードシンクロでの世界が好きなので、シャッター速度は早めです。ちなみに一般的なクリップオンのストロボでハイスピードシンクロをした場合はシャッター速度が160とか250程度なので背景の明るさが落ちきらない、発光パワーが小さいのでメイン被写体を好みの明るさに照らせない。発光面積が小さいので光の質が硬い。連写していたらストロボが熱で壊れた、、といった状態になると思います。予算のある方は大型ストロボをご自身の撮影スタイルの新しいツールとしてご検討していただいても良いと思います。
画像13 ソフトボックスは手持ちで使えて可能な限り大きいモノを使っています(PROFOTOのOCFシリーズ60X90を愛用しています)。ストロボはPROFOTOのB2をメインで使っているのですが理由はヘッドが小さくて軽い、フルパワーでのチャージ速度が待ち時間ゼロのフリーズモードという点です。モデルさんに動き続けてもらって、カメラマンが一瞬を切り抜く方が、自分の好みの写真になるので、こんなスタイルで撮ってます。
画像14 背景の色や材質も良いアクセントになります。コンクリートだったりメタルだったり、反射する光の質も変化してイイ味を出してくれます。ストロボの照射角度も色々と試すのがオススメです。自然光では絶対に存在しない光を作れますから、みんなが撮ってる場所でも、みんなとは違う写真が撮れます。
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画像19 メイン被写体と背景を、いかに切り離すか?という部分でボケを使うのがセオリーですが、一歩進んで光をコントロールすると同じ場所でも違った写り方に出来ます。この撮り方では太陽の強い逆光でシルエットを光らせつつ、背景は暗く、でもメイン被写体はソフトボックスの柔らかい光で照らす。という撮影です。スタジオなんかだとライトスタンドにストロボを設置出来るので、最低でも、もう1灯ストロボを追加してお顔の右側の影を無くすと、さらに良いですね。
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画像21 モデル:れいにゃんさん  札幌在住フリーモデル。キレのあるポージングとお洒落な私服、私物が素敵なモデルさんです。ネイルの格好良さも神レベル。https://twitter.com/reinyan7427
画像22 番外編:ストロボを使って光を自由にコントロール出来ると、写真の幅が広がります。こちらはストロボ光を壁にバウンスした写真です。なんだか右側に窓があって、柔らかく光が入って来ているようになります。
画像23 こちらストロボ無し。実は窓の無いところで撮ってました。お店の照明も暖色系、位置も左側や上が明るいです。こちらも悪く無いと思いますが、雰囲気があってストーリーを感じるのは、光と影に意味を込めた写真なのかな、と思います。
画像24 上の写真の光のイメージを見ていただいた後、イメージを共有してからパチリ。なんだか、ゆったりした朝のコーヒーを飲みながら窓の外を見ている感じの写真になりました。モデルさんに実際の発光イメージを見ていただいて、それから写真を撮ると良い感じになりますので撮影中は、どんどん写真を見てもらってイメージを共有するのがおすすめです。
画像25 色味の調整に関しては個人の好みなのですが、何種類か作ってみるのも良いと思います。時間と共に写真に対するイメージが変わったりもしますので、、、。色味を若干黄色側に振ると朝日ではなく夕日?な感じになります。1年後、2年後に見返して見て、色々と調整してみるのも良い事だと思います。

「売れないカメラマンにコーヒーを一杯飲ませてやるよ」っていう心優しい方、サポートおまちしております。コーヒーは我慢して交通費や制作費に充てさせていただきます。