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コミュニティという名の温室

SNSではコミュニティを大切に

「ほかの人とのつながり=コミュニティを大切にする」ということです。

作品を作るという作業は孤独になりがちですが、作品を通じて多くの人とつながっているのだという意識をもち、その関係を大切にすることが自分の評価を高める決め手となるでしょう。

なんて言葉と考え方が美徳とされているようですが、そんな言葉を信じて、コミュニティを大切にしても、アーティストに関しては、良い結果は生まれないでしょう。生まれるモノがあるとするならば、それは温室です。ガラスで覆われ、気温も湿度も快適にコントロールされた完璧な温室です。ある種、宗教的な響きすら感じる楽園を夢見て、アーティストの卵達はコミュニティを作るのでしょうか?

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世界はアートで満ち溢れ、街中いたる所で、様々なジャンルのアーティストの卵達が、個展や展示などをしています。が、正直、良いなぁと感じる物は多くは無いです。良いものであれば、とっくに画商が付いたりしていますから、アンダーグラウンドの個展なんて、そもそも、しないですよね。通常は画商自体がギャラリーを持ち、自らの顧客向け商品として、アーティストにテーマを与えて作品を作らせ展示販売という形ですが、アンダーグラウンドアートの場合は混沌としています。そして悲しい事に、ほとんどのアンダーグラウンド作品は誰かの模倣だったり、焼き直しだったり、もしくはエロフェチ精神の病を患う人の倒錯世界だったりします。作品自体のテーマも曖昧で伝わって来ないモノが多いですが、それにも増して技術面でのクオリティの低さが目立つ、というのが残念すぎます。なんだか小学校の夏休み、自由研究の香りすらしてくる作品が少なく無いです。

細部へのこだわり、があるならば、ある程度アートとして受け入れる事が出来るのですが、技術的な部分も光るモノが無く、テーマもありきたり、となるとアーティストとしては厳しい評価をせざるを得ないです。お話をする機会があれば、なるべくアーティストさんとはお話をするようにしていますが、エキセントリックというよりも意味不明な人が多いのが実情です。アートを材料費や作業時間で価値をつけることは出来ません。が、価格の付け方にも疑問が出て来るアーティストさんが多いです。まるでパートかアルバイトの時給みたいな価格付けをした作品達に、僕は全く興味が湧かなかったです。

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SNS世代のアーティスト

彼ら、彼女らに多い特徴としてSNSをしている、という人が圧倒的に多いです。集客もSNS、作品発表もSNS、まぁ、そんな時代ですよね。でもSNSの世界には見えないコミュニティルールみたいなモノが存在しています。他人を批判しない。他人の良いところを発見して褒める。です。一見すると人間愛に溢れた素晴らしく崇高な世界観ですが、裏を返すと甘ったれ達の作り上げた他人に冷たい世界観なのです。

アーティスト以外の普通の人がSNSをするのと、アーティスト自身がSNSをするのとでは、かなり意味合いが違うのです。その証拠に、数多くのイイね!が付いても、そのイイね!には真実味は無いのです。アーティストとしては認めていないけどイイね!なのです、アートとしては認めてはいないのにイイね!押しちゃうのです。そんなSNSの関係で作り上げられた世界は幻に過ぎません。ですから当然、個展に来る人は僅かで、作品は売れず、誰に認められる事もなく、どんどん生活に困窮するのです。誰かを傷つけないから自分も傷つけないで。この考え方のギブアンドテイクで、アーティスト自身が得られるモノは温室でしか無いのです。普通の人にとっては美しいネットリテラシーの世界ですが、孤独な戦いを続けアーティストとして生きる人間にとっては感性を鈍らせる影響も大きいのでは?と思います。

本物を知らずにアーティストを名乗るという意味不明な自信

アーティストの卵達と話をしていて非常に多いのが、本物のアートを見た事が無い。という事実でした。彼ら彼女達はアーティストを目指しているのに本当のアートを見た事が無いのです。本物のサイズが、どんなサイズなのか。どんな筆使いなのか。質感なのか。肉眼で見た色。その圧倒的な存在感を知らないのです。ネットや教科書や雑誌でしかアートを見た事が無いのに、彼らは偉大なアーティスト達の偉業である作品を「たいした事ない。自分でも出来る。興味がない。」なんて酷評したりしているのです。SNSでのコミュニティルールは他人を批判しない。他人の良いところを発見して褒める。なのに、現実社会では実践してはいないのです。この矛盾点も興味深いところでした。しかも、多くの自称アーティストさん達は技術的な勉強もしていないのです。師を持つ事もなく、教えを聞く耳も持たず、作品を作り続けているのです。そして、模倣はしますが模写はしないのです。

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若い時から僕は、少しでも時間あれば美術館に行っていました。東京だけではなく地方の美術館にも足を運んでいました。地方にはご当地の有名アーティストさんの記念美術館も多いですよね。時にはニューヨークまで絵を見に行った事もあります。地味にアートが好きなんです。なので最近、札幌のアーティストさん達に、少しだけ興味を持ってお邪魔してみたのですが、お世辞にもアートと言ってはいけないモノ達を見て辛くなってしまってnoteを書いてみました。食べ物のオススメと同じで、毎日コンビニ弁当、インスタント食品、ファミレスな人たちの感覚と、本物、上質を知る人たちとは大きな世界観の相違があるのです。なんでもアート、アートと言えて、他者からの意見を排除した温室世界に、本物のアートが生まれる日は来るのでしょうか?

他者からの批判を恐れないで違う世界に踏み出そう

インディーズミュージシャンなんかにも、僕はよく言うのですが、「そんなに人に聞いてほしいならyoutubeにアップしたり、勢いあるならストリートで歌ったら?」です。ダイレクトにあなたの評価が見えるでしょう。ライブなんて大げさな事を言って年に数回のライブで2~30人しか集まらなくて、ほとんど知人しか集まらないライブでの評価なんて、それほど意味がないのです。多くの人に見てほしいならyoutubeです。youtubeでも見てくれる人がいないならストリートです。人に見てほしい、という目的を優先して、手法を変えるべきなのです。

アートを人に見てほしいなら、スペースや開催期日に限りがある個展なんかよりも、noteにギャラリーを作ったりした方が前向きです。何故なら、もしかすると誰かがサポートしてくれるチャンスもあるのですこれは他のSNSでは見られない大きな特徴です。あるいは制作過程をyoutubeにアップしたり、立体造形なんかもyoutubeやリコーのシータなんかを使って撮る事も良いでしょう。作品を売りたいのならネットショップすら簡単に出来る時代なのです。現実世界の個展でSNSのような温室コミュニティを作り上げても仕方がないのです。

自らの作品を世に問うのであれば、一般の方々に見てもらう方法と、審美眼を持つ方々に見てもらう方法もあります。各種のコンテストなどの募集に挑戦してみる事も大事なのでは?と思います。「散々、色々と上から目線で書きやがって」という方もいらっしゃったので、試しに僕もコンテスト的な物に写真を送ってみました。PASHA STYLEというポートレートの投稿サイトです。こちらでは一歩先を行くポートレートをテーマに写真をセレクトしていただいているようです。前回撮影させていただいた青木由宇さんの写真を応募アップロードさせていただきました。結果は、見事、認定作品に選んでいただけました

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こちらのカットが認定作品となりました。https://pasha.style/works/13690 認定前に、twitterやインスタ、noteにもアップしましたが、正直、一般の方々からは47いいね!しかいただけませんでした高評価はいただけなかったのですしかし、毎日数万以上の写真が投稿されるサイトで認定作品として認められました。毎日数万枚の写真を見て、次世代のポートレート写真をセレクトしている方々からの認定、評価は栄誉ある事です。僕は、一般の方々からの評価も真摯に受け止めつつ、自分の世界観の探求を止めることはありません。何も行動を起こしていないのに口先だけ威張る事もしません。だから、ちょっとだけ僕の言葉に耳を傾けて欲しいのです。

アーティストの方々は、恐れずに作品を作り続け、常に、世に問う事を諦めないで欲しいです。イイね!を押し合うコミュニティの形成や、コミュニティに属している大多数の評価、世の中の流行、そんな鎖みたいな物は振りほどいて、もっと自分自身の創作に向き合うべきだと思います。

しかし、自称アーティストさん達の目的は「 個展をやった 」という既成事実が欲しいだけなのです。展示方法なども、東京などのアーティストさん達の劣化模倣を繰り返し、誰も見ていないからバレていないだけなのです。アートを作り、アーティストと呼ばれるべきなのに、アーティストを名乗り、アートと呼べるモノが作れない人。そんな人たちがコミュニティを作り、外敵を阻止した楽園。第3者である僕からは、不思議でたまらないです。そんな温室、居心地は良いかもしれませんが、その先にあるものは虚無でしかありません。イイね!の数が1000になっても10000になっても、それは本当の評価とは程遠い物です。

作品を作る作業は孤独なのです。

アーティストは孤独なのです。

世間に理解されないからアーティストには苦悩があるのです。

苦悩があるから、素晴らしい作品は作れるのです。

作品と人が繋がることは素晴らしいですが、作家とファンが繋がる世界は、少しもアートでは無いです。

SNS上では、作品を買っていない人を、ファンとして認識しがちです。

「応援しています。」という言葉だけでは、アーティストは生きていけません。

一般の人たちの「応援しています」という言葉は、翻訳すると「こんにちは」程度の言葉の意味しか持たない社交辞令です。本当に応援してくれている人なんて、そんなには、いない、という事実を認めるべきです。

アーティストにとって、SNSはコミュニティツールではなく宣伝ツールなのです。ここを履き違えると、お友達みたいな仲間を作る事に終始する事になるでしょう。アーティストさん、今一度、SNSとの付き合い方を考えてみてはいかがでしょう?

「売れないカメラマンにコーヒーを一杯飲ませてやるよ」っていう心優しい方、サポートおまちしております。コーヒーは我慢して交通費や制作費に充てさせていただきます。