B.D.モー/バタリングラム

ニンジャスレイヤーの企画に触発されてnoteに手を出しました。気が向いたら何か書きます。

B.D.モー/バタリングラム

ニンジャスレイヤーの企画に触発されてnoteに手を出しました。気が向いたら何か書きます。

マガジン

最近の記事

【ア・クエスチョン・アンド・アンサー・セッション・イン・ニンジャ・プレゼン】

「――――で、あるからして! イビルアイ・ジツを使うニンジャに対しては、相手の視線を遮ることこそが重要なのです!」  廃講堂の壇上で、得意げに胸を逸らしてそう言ったのは、研究者めいた白衣装束に黒いメンポで口元を覆った男だった。その出で立ちは明らかにニンジャである。  ネオサイタマの片隅、都市の営みの中で廃棄された無数の廃墟の一つであるこの場所は、同じ境遇の建物の中では比較的新しく、階段状に並ぶ長椅子と長机もまだ朽ち果ててはいない。  その長椅子に今、幾人ものネオサイタマ

    • 自刃剣士vs精神外科医

       ガキン、と響く硬質の金属音。鎧が相手の攻撃を弾き返す、聞き慣れた音。だが、ピシッと鎧にヒビの入る音が、確かにそれに続いた。  俺の無敵の全身鎧。たった一つの自信の象徴。これまで一度だって傷つけられたことはなかったのに。 「自分が無価値であるということにだけは、絶対の自信がある。そうでしょ?」  眼前の女の声が耳に纏わりつく。俺は歯を食いしばった。鎧の正体を見破られている。恐らくは、剣の方も。 「自他の境界線が曖昧だから、平然と相手を傷つけられる。あなたの剣は要するに

      • 派遣で作ろうバベルの塔

         突然、上から派遣社員が落ちてきた。地面に叩き付けられた衝撃で、工具がいくつか跳ね上がった。 「バカ野郎! 落ちるならもっと離れたところへ落ちろ! オイ、誰かこれ片付けとけ!」  班長が死体を蹴飛ばし、怒鳴り散らす。いつも具体的に誰にやれと言わないので、誰もやらない。結局は班長が自分でやる羽目になる。 「そっちの作業はいい! 建材の確認と選定が最優先なんだ! 塔に命を吹き込む、重要な工程なんだぞ!」  品質管理室長も怒鳴る。こんな職場で、よく使命感を持続出来るもんだ。

        • 【禍話リライト】 誰かの横顔

           事の起こりは、いわゆる金縛りであったという。  「夢か現実かわからない状態で、エンドレスに金縛りになっちゃうこととかありますよね」という話題を振った時、Aさんから返ってきた言葉はこうだった。  「俺、それで実家に帰れないんですよ」  Aさんが高校二年生の時の春、ゴールデンウィークを目前に控えたある日の夜だった。自室で寝ていたAさんは、突如として金縛りに襲われた。  それまで一度も金縛りになどなったことはなく、特に疲れていたわけでもない。にも関わらず、突然耳鳴りのような

        【ア・クエスチョン・アンド・アンサー・セッション・イン・ニンジャ・プレゼン】

        マガジン

        • 逆噴射小説大賞2,022応募作品と関連記事
          3本
        • ホームセンター戦闘員、浅間!
          5本
        • 逆噴射小説大賞2020応募作品
          6本
        • ニンジャスレイヤー二次創作作品
          8本
        • 逆噴射小説大賞2019応募作品
          3本

        記事

          ニンジャ読書感想「私の愛した主人公」

          前書き  この記事は、ダイハードテイルズ様が主催されたイベント、『ニンジャソン夏』への参加作品として書いた読書感想文です。  対象の作品は、ニンジャスレイヤー第一部のエピソード、『アット・ザ・トリーズナーズヴィル』です。 本文 私が読書感想文を書くために選んだ作品は、「アット・ザ・トリーズナーズヴィル」です。この作品は、私にニンジャスレイヤーを追い続けようと決意させたものであり、物語の主人公、フジキド・ケンジを深く印象付けました。  時系列は第一部、全体を通しても初期の作

          ニンジャ読書感想「私の愛した主人公」

          ニンジャスレイヤーTRPGシナリオ案:「ヤクザイズム・テロリズム」

          目次1.始めに 本記事は、「ダイハードテイルズ」が提供するTRPG、「ニンジャスレイヤーTRPG」第二版でプレイするための、非公式ファンメイドシナリオです。 こちらのルールブックに基づいて作成しています。  また、ダイハードテイルズが開催する「ニンジャスレイヤーTRPG2版:第二回シナリオコン」への参加作品でもあります。  また、このシナリオはニンジャスレイヤー第3部のエピソード『ニチョーム・ウォー……ビギニング』を参照しています。 2.シナリオサマリー マスターへ:シナ

          ニンジャスレイヤーTRPGシナリオ案:「ヤクザイズム・テロリズム」

          ニンジャスレイヤーTRPG シナリオ案:『オムラの槌を砕け』

          1.始めに 本記事は、「ダイハードテイルズ」が提供するTRPG、「ニンジャスレイヤーTRPG」第二版でプレイするための、非公式ファンメイドシナリオです。 こちらのルールブックに基づいて作成しています。  また、ダイハードテイルズが開催する「ニンジャスレイヤーTRPG2版:第二回シナリオコン」への参加作品でもあります。  また、このシナリオはニンジャスレイヤー第2部第5巻『ゲイシャ危機一髪!』に収録されているエピソード『クライ・ハヴォック・ベンド・ジ・エンド』を参照していま

          ニンジャスレイヤーTRPG シナリオ案:『オムラの槌を砕け』

          ニンジャスレイヤーTRPGシナリオ案:『レイド・オン・ザ・ゴールデンドーン』

          1.始めに  本記事は、「ダイハードテイルズ」が提供するTRPG、「ニンジャスレイヤーTRPG」第二版でプレイするための、非公式ファンメイドシナリオです。 こちらのルールブックに基づいて作成しています。  また、ダイハードテイルズが開催する「ニンジャスレイヤーTRPG2版:第二回シナリオコン」への参加作品でもあります。  また、このシナリオはニンジャスレイヤー第2部第5巻『ピストルカラテ決死拳』に収録されているエピソード『シージ・トゥ・ザ・スリーピング・ビューティー』を参

          ニンジャスレイヤーTRPGシナリオ案:『レイド・オン・ザ・ゴールデンドーン』

          個人的に刺さった逆噴射小説大賞2022応募作品まとめ其の一

          面白い小説の冒頭800字で勝負するとても熱いコンテスト、逆噴射小説大賞。私も参加し、今年は一作品のみ応募したが残念ながら二次選考までの時点で落選となった。 しかし、このコンテストには参加する以外にも、もう一つ楽しみ方がある。参加されている方々の作品を読むことだ。面白い小説が冒頭だけ読み放題、更には追って行きたくなる素晴らしい作者に出会えるかもしれない。それがこのイベントの素晴らしいところだ。 そこで、今回は個人的ピックアップという形で、誠に恐れ多いことながらいくつかの応募

          個人的に刺さった逆噴射小説大賞2022応募作品まとめ其の一

          「逆噴射小説大賞2022」応募作品 セルフライナーノーツ

          毎年10月に開催されるパルプ小説の祭典、「逆噴射小説大賞」。とても面白い小説の冒頭800字を応募し、最も続きが読みたいと思わせた作品を決める戦いの場であり、エキサイティングなイベントでもある。 私も第二回から参加しており、第五回となる今回にも挑むことにしていた。今回は応募作数の上限が二つまでと規定され、より厳選された濃密なパルプが銃弾の如く飛び交うMEXICOとなった。 そんな中、これまでと同じようにパルプ初期衝動に従って、その場で頭に降ってきた物語を書こうと思って

          「逆噴射小説大賞2022」応募作品 セルフライナーノーツ

          任侠サイボーグ組

          技術が進んだ結果、人類はヤクザになった。 「仁義外れの肉野郎が!」 俺は怒りに任せて銃口を敵の胸に押しつけ、二度撃った。鮮血。何度見ても汚らわしい。 道路の真ん中に作った即席陣地を見回す。今ので一通り片付いたようだ。義足を軋ませながら、塚原が俺の方に歩み寄ってきた。 「盾居ぃ、相変わらず喧嘩の時のキレっぷりがすげえな」 「当たり前だ。何の生産性もないヤクザが堅気に手を出すなんて許せるか」 自分が吐き捨てた唾すら忌まわしい。堅気衆には、あの美しい機械達に

          任侠サイボーグ組

          オリガミでザイバツ・シテンノ

          ザイバツ・シャドーギルド精鋭部隊、ザイバツ・シテンノ!!(一名死亡) ザイバツ・シテンノのモチーフとなった動物を、折り紙で折ってみようと挑戦しました。 十数年ぶりの折り紙は想像以上に難しく、世に出ている見事な作品を生み出した方々へのリスペクトをますます深めました。 結果、龍については一番簡単と言われていた折り方すら、あまりの難易度に挫折したため、ブラックドラゴン=サンは身体を折り畳まれた挙句、首を刎ねられたということにしました。 折り紙、非常に奥が深いです。

          オリガミでザイバツ・シテンノ

          首と胴体の大戦争

          「本当に、まさか麻薬が切れるとは思わなかったな」 獄門市市長、キョウジは嘆息した。首だけの彼を収めた大型電動ベビーカーが揺れる。 「市長、呑気にしてる場合じゃないですよ……市民は爆発寸前です。早く今後の方針を示さないと」 傍らに浮遊する首だけの秘書、ヤマカドの頬を汗が伝う。 『獄門市総生首化政策』は、確かに上手くいったはずだった。脳だけを生かして胴体から首を切り離し、頭に電極を繋いで電磁麻薬を流し続ければ、もう何も心配することはない。 人生におけるあらゆ

          首と胴体の大戦争

          殺人に理由を付けるな

          汚水が排水溝から逆流してきたような、ゴボゴボと汚い音が『共食い』バリドの断末魔だった。腐敗刃を凶器に選んだのは失敗だったか。ただでさえ臭い食人鬼の身体、その腐液は想像の二十倍以上臭かった。 「ガボガッ……グゴボッ……」 ああ、またあの目だ。俺に向けられたバリドの視線が言っている。いったい誰の差し金だ、何故こんなことをしたんだと。 「だから理由なんてないってのに……何度言ったらわかってくれるんだよ」溜息交じりの俺の言葉が、バリドの嘔吐にかき消される。それから十秒も

          殺人に理由を付けるな

          我ら、凶賊七色党!

          「お頭ぁ、そろそろ限界ですぜ! いくら殺しても怯みもしねえ、これだから武人ってのは嫌なんだ! もうあっしだけ飛んで逃げてもいいですかい!?」 「うるさぁい! 弱音吐くなよ藍鳶! 僕だってもうウンザリだ! 後一人で逃げたら撃ち落とす!」 恐るべき凶賊・七色党の頭目、紫蟻は背後の手下に叫んだ。蟻のように無限に湧き出ると豪語していた彼の分身は、今やほとんどが消えていた。 「そもそもお頭が『猛毒大夫』の屋敷に押し入ろうと言い出したのが、ケチのつき始めじゃ」 橙蛙が粘

          我ら、凶賊七色党!

          【ネオサイタマ・イズ・スリープ・ディプライブド】

          窓の外には、重金属酸性雨に霞むネオサイタマの風景が見える。『電話王子様』『今すぐ契約』『空飛びに行こう』『実際安い』無数のネオンの灯りが明滅し、深夜にも関わらず看板の下を人々が途切れることなく行き交う。  上空をゆくマグロ・ツェッペリンから降り注ぐ、漢字サーチライトの光と広告音声。あるいは、どこかからの悲鳴や喧騒。窓一つから、あらゆるものが室内に忍び入ってくる。 しかし、そんな外部情報などネトゴのニューロンには全く入ってこない。その意識は向かい合っているUNIXの画

          【ネオサイタマ・イズ・スリープ・ディプライブド】