「動物とのコミュニケーションも可能になる?ーー『音声感情認識技術』とは何か 」

放送の様子はこちら(下記サイトでは音声配信も行っています)。
「動物とのコミュニケーションも可能になる?〜『音声感情認識技術』とは何か」(Screenless Media Lab.ウィークリー・リポート)
2019.6/7 TBSラジオ『Session-22』OA

 Screenless Media Labは、音声をコミュニケーションメディアとして捉え直すことを目的としています。今回は声と感情認識に関わる最新技術について紹介したいと思います。

◾音声感情認識技術とは

 技術発展により、近年は機械が人間のことをより深く理解するようになっています。例えば「補聴器」は、聴こえづらくなった耳の機能を補うものですが、近年の技術は、人が他者の感情を理解する能力をサポートします。鍵となるのは、声からその人の感情を読み取る「音声感情認識」と呼ばれる技術です。

 音声感情認識技術は、現在多くの会社が開発を進めています。例えば、日本発のスタートアップで、海外からも投資を集めている「Empath(エンパス)」という企業は、人間が話す声のピッチやスピード、トーンなどを、「喜び」「平常」「怒り」「悲しみ」といった感情に「元気度」という指標を加えて分析しています(ウェブ上で、簡易的に自分の感情を分析するサービスもあります)。


 音声感情認識技術は多くの分野で活用されていますが、例えば電話対応オペレーターの販売成約率を高めています。感情認識によって、商品購入に際してユーザーが迷ったり不安になる「悲しみ」の感情が現れたタイミングで、オペレーターが適切に声をかけるのです

 「ありがとう」一つをとっても、感謝のありがとうなのか、もう結構という意味のありがとうなのかの判断が難しい場合に、こうした技術は重宝されます。また、顔は笑っていても実際は悲しみを含んでいる時の感情など、視覚を用いた技術よりも、音声の方がより適切な場合もあると考えられます。

 他にも、自動車の運転手が音声アシスタントとその時々の感情に合わせた会話をすることで集中力を高めたり、どのような話題であればその運転手の注意を引くことができるかについて学習するシステムの開発も進められています。こうした技術は、動きを察知し、あくびなどの眠気を察知する技術と組み合わせることで、より一層の事故防止を目指しています。

 さらに注目すべき点は、音声感情認識技術がメンタルケアの領域に用いられている、ということです。従業員の「おはようございます」という声を分析することで、体調の変化を察知し、必要な場合は産業医との面接をセッティングする、といった利用がなされています。将来的には、スマホと毎日会話を重ねることで、私たちの様々なケアを行う事が可能かもしれません。いずれにせよこうした技術は、これまで以上に人の感情の「見える化」を推進し、私たちの様々な側面をサポート、強化するのです。

 音声感情認識技術は今後、何を生み出すのでしょうか。2002年に販売され、イグノーベル賞を受賞した「バウリンガル」を覚えているでしょうか?犬の鳴き声を6種類の感情に分類して表示するバウリンガルですが、このまま技術発展が進めば、将来的には動物の感情をより深く理解することも可能なのではないでしょうか。人間と動物のコミュニケーションをサポートするにも、こうした技術が用いられるのです。

◾音声とセキュリティ

 ただし音声感情分析技術については、セキュリティについて懸念点があるのも事実です。実際、スマートスピーカーの声が無断で収集されていた、といった事例もあり、問題となることがしばしばあります。

 加えて、音声感情認識技術を利用したコンピュータとの会話は、私たちの感情を意図的に操るものだ、との声もあります。人の感情を理解し、私たちのサポートを行う音声感情認識技術ですが、こうした懸念点をどう払拭しながらより良く利用するかが、私たちに問われているのです。

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