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「秋恋」(モノローグドラマ009)

あっちゃんさんの「秋に恋い焦がれてる」という写真をみて

非常に感動して、

今日はドラマを執筆してみました。


■人物
少女

■本編
少女「赤とピンクのコスモスの花が視界を埋め尽くす、そんな世界の中心で、私は愛しいあなたの名前を呼んだ」

少女「こっちにきて、一緒に踊ろう」

少女「それがかなわぬ願いになってしまったことに、いまは絶望しか感じない」

少女「コスモスの花言葉を辞書で調べたら、乙女の純情、乙女の愛情、そして乙女の純潔とあった。私の純情、私の愛情、私の純潔。あなたのことでいっぱいの私には、花言葉さえ虚しく響く」

少女「秋になったら、会おうって言ってくれたあなたの言葉。それが私の支えのすべてだった。その日まで、私はずっと心を殺して、生きてきた。毎日の退屈な学校の勉強も、騒がしい人間関係も、離ればなれになった遠くで頑張るあなたを思えば乗り越えられた。私にとってあなたは希望だった」

少女「でも。約束の日、あなたは来なかった。私は、満開に咲きほこるコスモス畑の真ん中で何度も何度もあなたの名前を呼んだ」

少女「ああ、日常の束縛から自由になれる翼があったなら。そうすれば、虹を越えて、あなたのところまで飛んでいって、思いっきり抱きしめてもらうのに。それって、やっぱり叶わぬ願いなのかな」

少女「いますぐあなたに会いたいけれど。あなたは私にもう会いたくないのかな?」

少女「会いたい気持ちをギュッと宝物箱にしまって。今日、あなたにプレゼントすぞ、って思っていたのに。気持ちのやり場がどこにもありません」

少女「秋に恋い焦がれる私の想いが寂しくひとりぼっちのダンスを踊り続けるのでした」
 
            (おしまい)

今後の執筆と制作の糧にしてまいりたいと思います。