【声劇台本】057「雑魚と人魚と夏の空」
「雑魚と人魚と夏の空」
弱いけど、正義感のある男子くんと、強い強い女の子のお話です。
■人物
修司君(16)高校1年生。
寺山さん(16)高校1年生。
■本編
修司くんのMO「この高校で寺山さんは誰よりも泳ぐのが速い! 僕の中のダントツヒロインだ! それなのに。寺山さんを魚みたいってだってバカにして笑う同級生たちがいた。だから僕は! そいつらに殴りかかった!」
寺山さん「無茶なことしてバカみたいー」
修司くんのMO「中庭でボコボコにされ、倒れている僕を、寺山さんが校舎の窓から見下ろしていた。僕は慌てて起きあがる。だけど体はボロボロだ」
寺山さん「雑魚がラスボスに挑んでもかなうわけないでしょ?」
修司くんのMO「寺山さんはヨタヨタしている僕を見て、笑っていた」
修司くん「ぼ、ぼくは別に!」
寺山さん「聞いたよ」
修司くん「え?」
寺山さん「君、私に興味あるの?」
修司くん「べ、別に!」
寺山さん「それじゃあ。ただの正義感? ヒーロー気取り? いい人ぶりたかったとか?」
修司くん「それも違うけど」
寺山さん「じゃあ、何?」
修司くん「ぼ、ぼくは……」
寺山さん「何? 全然聞こえないんですけど!?」
修司くんのMO「そう言って、君は僕のそばまでやってきた。僕は立っているのがようやくだった」
寺山さん「思ったより重傷そうだね」
修司くん「だ、大丈夫ですよ」
寺山さん「そう?」
修司くんのMO「君はそういって、僕の肩にそっと手をおいた。本当はめちゃくちゃ体に響いたけれど僕は必死で我慢した」
寺山さん「無理してない?」
修司くん「だ、だいじょうぶ、です……!」
寺山さん「そう? なら、一言、言っておく!」
修司くん「な、なんですか……?」
寺山さん「君がどういうつもりで喧嘩したのか知らないけど。それ、私を助けるためなら、もう二度とこんなことしないで!」
修司くん「えっ……?」
寺山さん「バカにするヤツ、批判するヤツ、私、興味ないから」
修司くん「でも……」
寺山さん「私は結果でそいつらを黙らせるから」
修司くんのMO「そういって、寺山さんは僕の肩をポンとたたいて、去っていった。僕はその場に再び倒れた。雑魚じゃ人魚は守れない! やっぱり彼女は僕のダントツヒロインだ!」
(おしまい)
今後の執筆と制作の糧にしてまいりたいと思います。