【声劇台本】063「世界の片隅ワンダーランド」

「世界の片隅ワンダーランド」

■人物
井上くん(17)高校2年生。
尚子さん(17)高校2年生。

■本編
尚子のMO「地学準備室が私たちの集合場所。扇風機が回る暑い夏の午後。今日も君は地球儀を回して。その回転を止めるのが私の役目だ!」

尚子「次! アメリカ!」
井上「え? アメリカ? 広すぎるよ。もっと正確に言うと?」
尚子「ええと、指差した場所は、アメリカの……カルフォルニアかな?」
井上「カルフォルニアかあ……カ行……カ行」

尚子のMO「君は百科事典を開いて。カルフォルニアを調べ始めた。君の旅案内を私は待つ。これが私たちの世界の片隅からの地球旅行だ」

井上「ええと、これだ。カルフォルニアは、米国西海岸の州で、メキシコとの国境から太平洋沿いに延び、その全長は900マイルにも達します。地形は……」
尚子「ああ、暑い」
井上「セコイアの森、シエラベバダ山脈に」
尚子「暑いよう……」
井上「ロサンゼルス、ハリウッドの娯楽産業で知られる街……」
尚子「あぢい……」
井上「聞けよ」
尚子「カルフォルニアも暑いのかな?」
井上「ええと……カルフォルニア州は、ほどんどが地中海性気候らしいぞ。乾燥した暖かな夏と雨の多い温暖な冬が特徴らしい」
尚子「乾燥しているなら、過ごしやすいのかなあ」
井上「そうなんじゃね?」
尚子「ああ、旅したいよ……こんな夏の学校に閉じ込められたくないよお」
井上「さあな。大学生になれば、海外旅行だって好きなだけ行けるようになるんじゃね」
尚子「そうかな? 私、そもそも外国行ったことないし」
井上「俺だってねえよ」
尚子「そうだったの!?」
井上「俺の旅行案内は、すべて情報と妄想でお送りしております。真相は実際に行って確かめてください」

尚子のMO「そう君の語る言葉は大したもので。私の将来への期待は膨らむばかりだ。旅がしたい。そんなことを思いながら、私はミネラルウォーターを一気に飲み干した」

尚子「よし、次の国! 行ってみよう!」

             (おしまい)

今後の執筆と制作の糧にしてまいりたいと思います。