見出し画像

戸谷成雄個展「視線体」オープン! シュウゴアーツ

「彫刻」という単語に多少なりとも関心を抱く向きには、足を運ぶこと必須と言いたくなる展示が幕を開けました。
 東京六本木・シュウゴアーツでの戸谷成雄個展「視線体」。
 戸谷成雄といえば長らく実作・理論の両面において、彫刻の世界を牽引してきた存在です。彼がつくり上げる形態の魅力もさることながら、作品が置かれた空間全体の空気まで変容させてしまう不思議さには、いつも驚かされ胸を打たれます。

 思えば彫刻とは不思議なものです。
 だって、だれしも知っているとおり、世界はすでにそこにある。今日も空はきれいだし、そこに白い雲も浮かんでいて、その下で人はそれぞれするべきことを定め日々を営んでいる。あるべきようなかたちで、すでにこの世はあり、動いています。
 そんなふうに完璧に存在している世界のなかに、彫刻家はあえて、ボリュームと実体を持った彫刻という像を付け加えるのです。それっていったい何をしているのか。それ自身で完結している世界に、なぜそんな働きかけをするのか。そうしてちょっとだけこの世のありようを変えてしまうこともある彫刻という存在は、いったい何なのか。

 戸谷成雄の作品がある空間に身を置くと、きっとそんなことを考えさせられてしまいます。
 根源的なことに思いを馳せる機会って、ありそうでなかなかないもの。ぜひ六本木で他にない体験をどうぞ。

 こちらでレビューも出しております。
https://bunshun.jp/articles/-/14227

 インフォメーション
http://shugoarts.com/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?