あなたの世界では何故金貨が通貨として使われているのですか

リアルな空想世界を作る為に

第一回目:通貨(流通貨幣)の意味

あなたの世界で流通している通貨は貴金属で出来たコインですか?
紙製の紙幣ですか?通貨は無く物々交換ですか?
何が流通貨幣として使われているかで世界の信頼の拠り所が決まります。
通貨が貴金属である意味、紙である意味、別の何かである意味があります。
異世界っぽいからだけでは平凡じゃないですか?
社会の成熟の歴史に沿って貨幣の意味を紹介します。
世代が進むにつれてより強い国家への信頼が必要になります。

そもそも貨幣の意味とは...
・他の品物と交換する機能
・富を保存する機能
・富を計量する機能
に特化した特殊な品物を”貨幣”と呼んでいます。

利用する人がその"価値を信頼"していれば何が貨幣になっても良いが
・保存している期間に変質しない
・計量や商品価値の大小に柔軟に対応できる
・無償で入手できない
・携帯が楽
という性質が大前提にあります。

例)
穀物
・経年劣化で価値が下がる
・計量の手間が掛かる

・小さい布を集めても一枚の大きな布にはならない

・入手が楽
・価値が認められない
(入手が困難だが一般的に流通させられるほど量があり、価値のある石があれば通貨となり得る)

◇第1世代:貴金属通貨(大判小判、金貨、コイン)
日本では穀物や布が貨幣の役割をしていた期間がありましたが、穀物は経年劣化や計量の手間、布は不可逆性など欠点があったので変質せず、無償で入手出来ない価値があるものを求めて金や銀といった貴金属に移り変わっていきました。
そして計量を楽にするために”国家が一定の品質と重量を保証”して鋳造を独占生産したのが金貨や小判になります。
これには国家が混ぜ物などをせず、品質を守っていると信用されている事、一定の品質、重量を担保できる生産技術が必要になります。

つまり国の体を成していない環境で金貨が通貨として使われていても”金貨自体の品質を何が保証しているのか”という部分にストーリーが生まれそうです。


◇第2世代:兌換紙幣(ダカンシヘイ:貴金属と交換できる紙)

しかし、貴金属を大量に運搬するのは重い上に危険です。
貴金属と同価値で運搬が楽な物を求めた結果"紙幣"が生まれます。

紙幣とは...
歴史的には一定量の貴金属との兌換を約束された書類の事を示します。
【兌換(ダカン)=貴金属と紙幣を交換すること】
貴金属との引換券なので同価値であると信頼されていました。

つまり紙幣が通貨として活用されているのであれば紙幣と金を兌換する機関の存在が必要になります。

当然、紙幣が貴金属との交換を約束された書類なら紙幣の発券機関は自分の保有している貴金属の量より多くの紙幣を発券することが出来ない。
=紙幣の流通量は自国の保有している貴金属の量と同等以上にならない。
これを金本位制といいます。

◇第3世代:不換紙幣(フカンシヘイ:貴金属と交換できない紙)
保有している貴金属の量より多くの紙幣を発行できない事は紙幣の信用を担保することや外国との貿易面では有利でした。
金本位制の貿易経済を簡易化すると
・輸出量より輸入量が増える
 ↓
・相手国に金を現送する=国内の紙幣流通量が減る
 ↓
・国内の物価が下がる(デフレーションが発生)
 ↓
・価格が下がるので輸出時の価格競争力が上がる
 ↓
・輸出量が輸入量より増える
 ↓
・相手国から金が現送される=国内の紙幣流通量が増える
 ↓
・国内の物価が上がる
 ↓
・価格が上がるので輸出時の価格競争力が下がる
 ↓
・最初に戻る

国を跨いで金が流通することで金の保有量が過剰に上下しない(経済環境が大きく変わらない)と考えたが、価格が下がっても恒常的に貿易赤字の国は
・恒常的に国内の金が減り続ける
 ↓
・国内の通貨流通量が増えない
 ↓
・公共事業などの景気対策が出来ない=経済が破城する
という問題が発生する。

そこで貨幣の原点に戻り"発券機関への信頼"があるのならただの紙でも
貨幣としての要項を満たしているのでは?
=貴金属との交換ができない紙幣(不換紙幣)が生まれる

この不換紙幣が現在の日本で流通している紙幣になります。
1万円札の原価は約20円です。第一世代、第二世代の通貨の考え方だと1万円札の原価が20円であれば通貨価値は20円分です。
では残りの9980円分の価値は何が保証しているかというと”国家への信頼”が保証しています。

つまり、ただの紙である不換紙幣が通貨として使われるのであれば国家に対するかなり強い信頼が必要であり、他国からも信頼されていなければ経済が成り立たない為、紛争や戦争が行われているような環境だと通貨価値の説得力が弱いのではないかと思います。

◇終わりに
何が通貨として使われているかで世界観が大きく変わります。
異世界っぽいから中世ベースだから※※金貨、※※銀貨、※※銅貨が通貨でもいいと思います。
しかし、重くて使いづらい金貨なのに何故使い続けているのか
紙幣が使われる程社会が成熟しているのか
通貨の原理原則と世界の事情が噛み合うことでバックストーリーは深まると考えています。


第二回目は空想世界の「貧富の格差」か「価格の決まり方」を書きたいと思います。
よろしければ次回もお付き合い頂けたら幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?