街を歩く

どの大陸の海岸と繋がっているのか、溢れかえるような人の波

都会の中で「悪人」も一瞬だけ違う表情を見せることがある

僕は少しの戸惑いを覚える 抱える

君の苦労が報われていればそっちが表の顔だったのかな

誰も彼もが火の車 心が腹ペコ状態

他人をだましてでも今日の晩飯を手に入れていく

僕も例外じゃないけどね

「飾らない姿なんて見せられるわけないじゃない」と

手首に傷痕のある夜の蝶の声が聞こえた


「献血お願いします! 血が足りてないんです!」と

必死な口調で主張する壮年の男の声も聞こえた


僕も食事を摂る

派手な看板が密集する路地裏へと入り込む

小部屋のドアほどの入り口を抜ける

店長の威勢のいい声が空間に響く

一列だけの古い木製カウンターに腰掛ける

注文を取りに来たのはアルバイトの大学生

長期休暇の長さや受験についての話が聞こえてくる

昭和じみたシンクと戸棚が聞き耳を立てている

音が時の流れに浸透してはまた一つ蓄積された

しかし彼らは易々と口を開かないようだ

逆に有名人のサインはけたたましく笑った

運ばれてきた目の前にはカツ丼

味はむしろ時代を先取り


「ねえ、人情って本当にあると思う?」

異邦人の僕には微笑みの奥の意味まではつかみ取れない

全てがうまくいくはずはないだろうけど


「僕らのあの戦いは何だったんだろう?」

背中の深い傷は誰がつけたのか

いやそれは明らかだ

でも未解決の謎はまだ残されている


都会のネオンに雪が添えられて その下を人の群れが歩く

”ゆく川の流れは絶えずしてしかももとの水にあらず”

自然の営みと人為の行い 何が違っている


別に他人の生き方なんてあんま興味ない

叫びたいときもあるけどそれは宣言であって暴言じゃない

別々の場所で別々のことを感じて考えていくだけ

外の世界なんてたまに眺めるくらいでいいよ 視野は狭まればその分深くなるんだ

君に蟻の世界が理解できるか? バクテリアの生き方が理解できるか?

その集合体こそが ”THE WORLD”

いちいちケチをつけに行く奴のほうがどうかしてる

分かった気になってる場合じゃない

俯瞰してるつもりで時代とコミュニティに視座がんじがらめ

深海の底にこそ大宇宙へと通じる道がある

限られた時の中で真に見据えるべきものは何だ

間違っててもいい 馬鹿にされてもいい ただ死に際に後悔したくない


そんなことを僕は6番線のホームでずっと考えていた

電車はまだ来ないみたいだね

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

頂いたサポートは全力で無駄遣いするつもりです。 修学旅行先で買って、以後ほこりをかぶっている木刀くらいのものに使いたいです。でもその木刀を3年くらい経ってから夜の公園で素振りしてみたい。そしたらまた詩が生まれそうだ。

ヴィンセント・ヴァン・ゴッホがそんなこと言うかよぉぉ!
13

Konoha 02

自選集:詩

密室で延焼する憎悪と、古戦場に揺れる花と。
1つのマガジンに含まれています
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。