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昔々のハリウッドで

昨日、ちょっと出遅れたのだけれど、つい『ワンスアポンアタイムインハリウッド』を観てきた。

公開前からブラピとレオ様で、そこにマーゴレッドロビーで、タランティーノってもう豪華すぎるメンバーに内容どうであれ、観に行くしかないだろ!ってずっと思ってたので、本当に念願叶ってと言った感じでしょうか。

ぼくはもうこの世の人間で一番好きな声ってくらいにブラピの声が好きなので、二時間半もブラピの声をきけるとかたまらないぞ!と思っていた。

一言感想を先にまとめてしまうと、
つまらなかったけど、面白かった。

どういうことか、この物語は大前提としてシャロンテート殺人事件という昔本当にハリウッドであった殺人事件がベースにある物語なのだけれど、

その事件が物語の最後に来ると思われる進行で話が進んでいくのかなと思って観ていると、これが全然、全く、話が進まない笑

ずっとみんなの日常がただ描かれる。かつてハリウッドの栄光を手にするも今はすっかり落ちぶれた俳優になってしまい、なんとか再起を狙うディカプリオ演じる主役の苦悩は悲しくも共感を誘う。そんな落ち目の俳優の専属のスタントマン役のブラピは、もちろん俳優に仕事がないので彼も仕事がなく、付き人みたいな雑用をただこなすだけ。

物語の登場人物たちも暇そうにしているので、観る側のこちらが暇なことは自明である。けれど、そこはタランティーノ作品、流石にただ暇なわけではない。退屈な日常の演出がめちゃくちゃに凝っている。無駄にオシャレだったり、無駄にかっこよかったり。

これはそういう過程や演出を楽しむ映画なんだなと頭をシフトしたら、それはそれですごく楽しく感じられるようになった。

でもこれ、二時間半超えの作品でfilmarksで4.0以上のスコアって何かがおかしくない?と思っていた。いや、自分がおかしいのか?と疑いもした。

しかし、後半20分くらいだろうか、わかりやすく作品の雰囲気が変わる。これまでのあっけらかんとした陽気なハリウッドの日常から、ジトジトとひんやりした空気が作品全体を包み込むのである。

おお、何かが来る…。

そう、この作品の下地になっているシャロンテート殺人事件のその時が確実に近づいているのである。観るこちらも一気に引き込まれていく。そして、、、これ以上はネタバレになるので何も言わないがラスト10分、めちゃくちゃに面白かった。

これだー!と言った感じだ。待ってたんだよ、この感じ!焦らしすぎだよ二時間も!遅いんだよ、遅いんだよ…。こっちはもう疲れちゃったんだよ…。

そう、本当にラストは面白いのだけれど、そこまでの展開の退屈さにすっかりみんな参ってしまっているのだ。心なしか、いつもよりエンドクレジットをみないで退出する人が多かった。うん、わかるよ、その気持ち。疲れたよね。(ちなみにエンドクレジットみないで出るとちょっともったいないです。)

でも、

でもなのだ、終わって映画館を出て数時間感想を考えるとその退屈な時間込みで、すごく面白かったなという気持ちにさせられているから不思議なのだ。退屈だった二時間のシーンも色濃く記憶されている。そのシーンもとってもよかったシーンとして確かに心に刻まれている。

そして終わりが素晴らしいので、観賞後感がとてもいいのだ。なんとも不思議な映画だった。昨日はちょっとなぁくらいな気持ちだったけれど、もう一回観たいなと今は思っている。



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