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みんな大好きミュシャ

昨日は、渋谷 bunkamuraで行われている「みんなのミュシャ ミュシャからマンガへー線の魔術」展に行ってきた。ミュシャの作品は、どこでどう知ったかというのは覚えていないのだけれど、2017年に行われた「ミュシャ展」を見に行った時の感動は今でも覚えている。

日本においてのミュシャの人気は当時からとんでもないもので、朝一番に六本木の国立新美術館に足を運ぶもその時はすでに入場まで二時間待ちの長蛇の列がそこには出来上がっていた。あんまりミュシャをしらないぼくはミュシャってただ感覚的に「良い」って思っていたけれど、こんなに有名な人だったのかと驚いた。それでも二時間待ってみた『スラヴ叙事詩』の壮大さ、荘厳さ、美しさに息をのんで鳥肌が全身に走ったことは今でも覚えている。

あの日、ぼくはミュシャを体感し、この体に刻み付けた。美術館に行って決して安くはない図録を買ったのも初めての経験だった。
『スラヴ叙事詩』はそんな強烈な体験をぼくに残したし、ほかに展示されていた「いわゆるミュシャ」のポスター作品の数々はそのデザイン性、色遣いの美しさにひたすらに魅せられた。

とまぁここまで書いたけれど、特に知識に明るくはないのだけれど、ぼくはとにかくミュシャが好きになってしまったのであった。

だからこそ、(話はやっと現在に戻るのだが)、約二年ぶりに生で観れるミュシャはぼくの心拍数をたしかに上げに上げていた、というかウキウキが止まらなかった。
さて、満を持して館内に入ると、見渡す限りの人、人、人。尋常ならざる量の人がいた。今回は入場制限こそなかったけれど、やっぱりミュシャ人気はすさまじかった。

ぼくは基本的には音声ガイドをつけない派であるので、まわりながら色んな人の感想意見が耳に入ってくることが当たり前なのである。これが嫌という人ももちろんいると思うのだけれど、ぼくは存外これが嫌いじゃない。自分の見えてなかったことをそういった声が教えてくれる時があるからだ。(もちろん、人によっては嫌だなと思うときはあって、あえて休憩して距離を取ることもある。)

今回はたまたま同じタイミングに入った方たちがマンガを描かれているらしい男二人組で、二人の視点からみるミュシャの独自性に対する感想が面白くて、ミュシャにに視線は奪われながらも彼らの感想に耳を傾けていた。ざっとまとめると影線のつけ方、構図の作り方、ベタ塗りの大胆さ、枠のデザインのユニークさに主に関心を置きながら二人は見ていたようだった。

一方のぼくはというと、絵全体の色遣いや顔の表情、手の動き、趣向に凝った装飾の線、髪の動きとかに注目してみていた。
二人組が影線について熱く語っていたことがぼくにはない視点だったので、気になって影線に注目して作品を観るととてもおもしろかった。ドレープの習作が何枚か展示されていたのだけれど、布に対する影線のつけ方に異常なこだわりがあるのが見て取れた。

絵画において影は、明度を落とした色によって表現されることが多いと勝手に思っているのだけれど、改めて、影線という概念はすごくマンガ的な表現だなと思った。シャッシャと引かれた線だけで布に動きをだす技術って恐ろしい。こんな絵が描けたら楽しいだろうななんてうらやましくもあった。

枠のデザインやその枠をあえて飛び越えるように描かれる人物や色遣い、絵によって同じものは二度とないモチーフの多彩さ、花の可憐さ、すべてが眼福としか言いようがなかった。

今回、個人的に面白かった絵は、お酒の広告ポスター絵がすごくおもしろかった。あくまでお酒の広告であるから主人公はお酒なんだけれど、それでも人物画が魅力的で視線は人物を見ちゃうんだけれど人物の視線誘導によって、ちゃんとお酒にこちらの目も移動する。ああ、やっぱりお酒がこの絵の主人公なんだなとわかる。そして、強烈な魅力をはなつ人物から目線が離されることによって、視座が高くなって細部へのこだわりもたくさん発見があって、絵一枚がおもちゃ箱みたいにバラエティーに富んでいてすごくおもしろかった。

とかく、大興奮しっぱなしで、グッズも思わずたくさん買ってしまった。笑
みなさんもぜひミュシャの唯一無二な世界の片りんを覗かれてみてください。







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