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第2回コルクラボ編集専科(感想編)

今日は〜感想編〜です。

今回のゲスト講師は、数々の少女漫画ヒット作を生み出されたしーげるさん。お話し全体がとてもやさしみに溢れつつも芳醇なトピックに富んだ素晴らしい二時間でした。

ここで本題に入る前に前回の講義のまとめを簡単にすると、

編集とは、世の中を動かす企画を作る。
そして、そのためには、
①コンテンツを強くする。(強いコンテンツとは、体感の伴うコンテンツ)
②コンテクストを作る。(企画を自分ごと化する。)
③プロとしての素人目線を持つ。(偏見を認識し、外して俯瞰でみること)

という内容でした。

そして今回は、このアウトラインに沿ってしーげるさんがお話ししてくださりました。前回の内容と比較するために同じ形式でまとめると、

編集とは、
自分がいいと思うものをできるだけ沢山の人にいいと思ってもらうこと。

(マンガ編集の場合は、いい作家×いい企画の組み合わせを実現する。)
そして、そのためには、企画の枠を作る。
→企画の枠を作る
誰に、何を、何のために、何でいまやるのか?をイメージし大きなヴィジョンを描くこと。
そのためには、
①強いコンテンツを強くする・コンテクストを作る。
-a入口のコンテクストを作る。(社会の文脈に自分なりの問いと答えを)
-b入口のコンテンツを作る。(座標の確認)
-cコンテンツを強くする。(伝えたいことを絞る)
-d出口のコンテクストを作る。(どう話題になるか想像)
②プロとしての素人目線を持つ。
-aコンテンツを普通に読む。
-bコンテクストを普通に読む。
-cプライドを捨てる
※ここでいう普通=他人の視点を知り、固定観念・思い込みを外し、「何が面白いか」を知る。

少し縦に伸びてしまいましたが、ざっくりまとめるのであればこんな感じでしょうか。先にお断りさせていただくと、あくまでこのnoteはぼくの(感想編)なので、ここから先内容に深くは触れません。

内容を深く知りたい方は、前回の(こころがまえ編)に書いた通り、ハッシュタグ「コルクラボ編集専科」で調べていただくことをお勧めします。

では何を書くのかというと、
以下には、四点ほどぼくが講義を受けて印象に残ったことを書きます。

①どこにいても見える作家の存在
全体を通して真っ先にぼくが思ったのは、
上に挙げたいずれの欄においても、しーげるさんの話には、「作家さん」の存在が強くあることです。

スタートから、作家と企画のベストマッチを見つけ、実現させることこそが編集の仕事と言い切ることに凄みと責任、覚悟を感じました。それは、作家に対して、企画を投げかけるだけでなく、やる意義を見出し、現実のものとしてその企画をパートナーとして一緒に走りきるという企画者の当事者性を強く感じました。また、作家さんの連載は長期に及ぶため、作家さんに寄り添うテーマを掬い出すことも大事なこととされていたことも印象深かったです。

次の、コンテンツを強くし、コンテクストを作る場面においても、「何が作家さんの強みであるかを作家さん自身にも知ってもらうべくカルテを作る。」という献身性には心打たれました。

また、強いコンテンツとは、「時代を捉えつつ、作家の魅力が出ているもの」とおしゃっており、ここでも作家さんの存在はありありとしていました。

プロとしての素人目線を持つ場面においても、「作家に信用されるため」自身のバイアスを認識し、それを作家さんに伝えるとのことでした。

どの場面においても、作家さんとの関係を第一優先事項におきつつ、よりたくさんの人にいいと思ってもらうための努力を惜しまないという姿勢に強く感銘を受けました。

結局、編集は書かないじゃんって気持ちがぼくには少なからずありましたが、書かないからこそ作家さんと同じステージで話せるようにその他すべてのことを整えることが編集という仕事であるのだなと感じました。


②「その時」の社会の空気感をつかみ問いと答えを出す。
ぼくは手塚治虫が好きなのですが、彼とは同じ時代を生きていないのにこんなにも手塚作品が面白いのは、時代を超越する人間性のテーマを深く描いているからだと考えており、「その時」という観点は不要と考えていました。

しかし、そんなことはなくて、作品を発表するのは間違いなく、今であり、今みんなに知ってもらいたい素敵なことであるのなら、「その時」の社会の空気感を無視することは決してできないなと思いなおしました。(手塚もなんだかんだあの時代だからこその作品であるのだなとも思います。)

そもそも、社会の空気感を外してしまうと、興味はもたれず、作品は読まれず、連載は続かずになるでしょう。それがどれだけ意味のあることを伝えようとしていても読まれなきゃ本末転倒ということを恥ずかしながら忘れていたのです。


③自分たちの居場所を知る
これも作家さんを第一に考えることと話は同じなのですが、ぼくの編集のイメージってこうした方が伝わりやすいであるとか、インパクトがあるとか、印象に残るとか、そういうことを相談、意見しながら一緒に作品を作り上げていくというイメージ(編集者が素材の調理法を決め作りたい味を作るイメージ)がありました。

そのため、作家さんの強みや個性を知り、そこをもとに書いていくべき方向性を見出していくというのは実際にお仕事をされている方からすれば当たり前なのかもしれませんが、ぼくには抜けていた観点でした。(真の料理人は作りたい味を作るのではなく、素材の味を引き出す料理を作るというイメージでしょうか。)


④どうやって読んだ人が友達に伝えるかまで考える
「それは考えたことがなかった」と素直に自分の想像の至らなさを嘆きました。どう伝え、読んだ人がどんな感情になるかまでは考えなきゃと思っていましたが、その先である読んだ人がその感情をどう伝えるかまで考えるということまでは想像すらできていませんでした。

言われればそうだよなと思うのですが、なんか面白いってオススメじゃ読んでもらえません。わかりやすい言葉に落とし込みが出来ない作品は、キワモノとして一部のコアファンみたいなものがギリギリついてくれるかもしれませんが、それでいいなら編集者いらないよねって話になりますね。

***


少し長くなってしまいましたが、以上がぼくの印象に残ったこと四点の感想です。やっぱり一番は、しーげるさんが常に編集として作家さんの存在を第一に考えていることにすごくあたたかみを感じましたし、そこに編集者という仕事の存在の意義と矜持を強く感じました。
心から、カッコよかった。


長くなってしまいましたが、最後まで読んでくださった方ありがとうございます。

ぼくは編集経験が全くないドチャンコ素人ですが、これからもほんの少しずつでも自分の血肉にして頑張っていきたいと思います。


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