見出し画像

人前には出たくないしツテもないけど演劇がやりたかった私が、どうやって演劇づくりを始めたか。〜私流、演劇の始め方〜



Mの娘です☺︎


今日は観劇レポではないのですが、最近演劇のユニットを立ち上げたことに伴いまして、過去演劇部にも劇団にも演劇サークルにも所属経験のない私が、どのようにして演劇づくりを始めたのか、事例の一つとして書き記せたら良いなと思い、このような記事になっております。


ご興味のある方、特に、演劇作りに関わってみたい、でも何をしたらいいかわからない!という方、ぜひ覗いていってください。

役者というよりは、制作やプロデューサーに興味のある方向けの記事です。

それではスタート!




筆者の簡単な自己紹介


私は現在、会社員をしながら休みの日に演劇を楽しんでいる25歳です☺︎
観劇が趣味なのですが、最近は脚本の勉強をしておりまして、自分の作品を上演するためにユニットを立ち上げました。

私は大学に入学してすぐの頃に、演劇、特にミュージカルの虜になりました。元々、小学生の頃に習い事で舞台に何度か立ったことがあったのですが、人前で歌ったり踊ったり芝居したりするのは正直あまり向いてないな、と子どもながらに感じていました。運動神経がないのと、抑揚をつけて大きな声を出すのが苦手だったからです(¬_¬)

ある年の学芸会では、オーディションの倍率5倍という大役を勝ち取ったこともありましたが、後々先生に聞いたら「素でやれそうだったから選んだ。」とのことでしたので、技術が評価された訳ではありませんでした。残念!



一応、中学のときには演劇部に体験入部をしました。でもやっぱり芝居は自分には合わないな、と思い(部活の雰囲気自体も暗かった)、結局キラキラ楽しそうな吹奏楽部に入りました。
高校〜大学でも、演劇部や劇団に入る、という考えは特に浮かばず、ずっと楽器をやっていました。

しかし大学生になってしばらく経った頃、偶然、グランドミュージカルというものに初めて出会う機会が訪れました。それまで劇団四季すら観たことがなかった私にとって、衝撃的な体験でした。
「こんな世界があるのか!!((((;゚Д゚)))))))」と大感動し、劇場と大学を行ったり来たりする日々が始まりました。


演劇に関わってみたいが人前で芝居はしたくないというジレンマ


ミュージカルにはまってから1年くらいは、観る専門だったのですが、あろうことか、観ているだけではだんだん物足りなくなってきました。

大きな舞台が作られていく過程、関わる人々、キャスティングの裏側、版権の仕組み、、、演劇づくりへの興味が、どんどん大きくなっていきました。


しかしここで問題が。
この頃の私といえば、すでに大学2年生が終わろうとしておりました。
演劇サークルに入ろうにも、3年生から受け入れてくれるところなんてあるのか?と躊躇してしまい、舞台に出ろと言われたらどうしよう絶対に出たくない、裏方といったって音響も照明もできないし、無理だなぁ…と動く前から諦めモード(゚ω゚)
色々と団体を調べる中で、「習い事として役者を始める」というのが一番入り口がわかりやすいなと思ったんですが、やっぱり出たくないという気持ちが強く、断念。

でも何かはやりたい。
うまいこと演劇に関わるにはどうしたらいいのか…?

色々考えた結果、私はとある行動に出ます。


劇場バイトを始めてみる


そうだ、劇場の運営なら私にもできるかもしれない、公演の裏側、見てみたい!と思い立ち、都内にある2つの劇場にエントリーします。

ちなみに1つ目はシアタークリエ。
落ちました、書類でヽ(;▽;)


2つ目に応募した劇場は、3年生から卒業するまでの2年間という、未来があまりない人材だったにも関わらず雇ってくださいまして、週2〜3回シフトに入れていただきました。ありがたかったです。


バイトをしてみると、いろいろなことが見えてきました。お客さんが入る公演、入らない公演、お客様の質の違い、年齢層の違い(若い人しか来ない演目もあれば、もはや介護施設状態の日とかもありました)、運営側と制作側の連携、物販のやり方、プレイガイドの種類と当日の票券、、、本当に面白かった。


この経験が、後々生きてくることになりますが、それはもう少し先の話。


長期インターンとボランティアを始めてみる


大学3年生も中盤になり、いよいよ就職活動のことを考える時期になりました。当然演劇のことで頭がいっぱいの私は、ミュージカルを作っている企業を片っ端から受けるぞ!という偏った考えになっておりました。

ありがたいことに、大手の演劇会社で働いていらっしゃる方とお話させていただく機会に恵まれた私は、衝撃の事実を知ります。


「安定した演劇制作の会社に入社するのは、超超超超超超超超超超超難しい」


そもそも会社自体が少なすぎるんですね。
とても狭い業界だということを知りました。(知るのが遅すぎるぅ☜)


お話させていただいた方は、学生時代からすでに自分の団体でプロデューサーをされていて、パフォーマーとしても活躍され、さらには映像も作れる、というようなご経歴で、私は完全に詰んでおりました。

でも、とりあえず何か他にもやってみればいいんじゃない?と謎に燃え始めた当時の楽観的な私は、長期インターンを探し始めます。(なぜか長期インターンに憧れていた節もあった)


ちなみにおすすめの検索サイトは「ネットTAM」です。アート関係の求人やインターン情報が集約されていて、このサイトを追いかけていれば相当な数の求人情報をゲットできます。


私はたまたま履修した大学の芸術関連の授業で、先生がインターンをいくつか紹介してくださったので、それらを検索していく中で派生した情報をゲットする、という感じでしたが…後からネットTAMの存在を知って、もっと早く出会いたかったなと思いました。なんなら、劇場バイトを探す時も、ネットTAMを知っていれば早かったなと思うのです。とてもおすすめです!!



そして、あれこれ調べて辿り着いたのが、芸術祭のボランティアと、子どもミュージカルの団体での長期インターン。

どちらも無給だったので、あくまで劇場バイトがメインで、時々活動するくらいになってしまったのですが、人との出会いに恵まれました。
役者側の視点、プロデュース側の視点、日本の演劇界の構造と課題、、、色々な方から色々なことを教えていただいて、就活に関するアドバイスもたくさんいただきました。

※但しインターンをメインでガッツリやりたい場合は、個人的には有給のものをお勧めします!!無給だとどうしても任される仕事が軽いですし、責任感が生まれにくいです。



企業の短期インターンに行ってみる


だんだん就活が本格化する時期になりまして、私は演劇や音楽系の企業が開催している短期インターンに片っ端から応募しておりました。

書類審査だけのところもあれば、テストや面接までついてくるところもあって。

夏の2daysとか3daysでさえ、結構苦戦しました。就活支援団体の先輩にアドバイスをもらいながら、なんとか数社のインターンに受かりました。企業研究目的で参加しましたが、これが良かった、いろんな意味で。


というのも、とある会社のインターンで出会った方が、趣味で演劇をやっていて(それもかなりのクオリティ)、LINEを交換し、しばらく経ってから、たまに連絡を取りあうようになりました。

それが後の私の人脈を大きく広げることになろうとは、、、当時の私はまだ気がついていませんでした。



まさかのコロナが流行り出す


年が明けるとすぐ、早期選考のルートで初めての最終面接を受けたりして(落ちましたけど)、いよいよ本選考が本格化!というときに、まさかのコロナが日本に上陸。いらっしゃいませ、今じゃねぇだろと。


演劇界、公演中止の大パニック。
採用活動も延期、中止が相次いで、ただでさえ受からない業界なのに、もはや絶望的な状況。

この状況でエンタメ企業の内定勝ち取ったみなさん本当にすごい……私はそもそもスタートダッシュが遅れた人間なので、リスクヘッジで慌てて第二志望の教育業界にエントリーしました。

で、すでに予想がついていらっしゃることと思いますが、エンタメ企業は全滅で、教育関係の企業から内定をいただいて承諾することになりました。

でも、なんだかんだ、採用活動を延期しまくっていたアミューズの3次面接を9月頃まで受けていたりしましたね。
往生際悪く、内定承諾後もちょこちょこ動いてました。結果だめでしたけど…。


卒論で演劇を研究してみる


就活が終わってからは、席数を減らしながらぼちぼち再開しつつあったミュージカルを観に行ったり、卒論に力を入れたりしていました。

卒論のテーマはかなり迷いましたが、ゼミの先輩から、好きなことと絡めたら?とアドバイスいただき、単純なのでその通りにしました。

演劇と労働社会学を混ぜました。


役者の方にインタビューしたり(あちこち出入りして人脈広げたのが功を奏し、インタビュー相手には困らなかった)、資料をかき集めて引用したり、教授に先行研究を紹介していただいたりしました。

でも調べれば調べるほど、日本の演劇界の基盤の弱さが明らかになってしまって、、、なんだか複雑でした。社会的地位も労働組合も教育機関も何もかもが発展途上。


この卒論研究での調べ物をきっかけに、私は日本の公共劇場の取り組みに興味を持ち始めます。

公共劇場はなかなか求人が出ないので(毎年採用やっているのは新国立や芸術文化振興会くらい?)、新卒では入りづらいのが現実。公共劇場は指定管理者の文化財団が運営を行っていることが多いのですが、採用情報を見るとほとんどが非正規雇用、契約社員ばかりです。

社会人になってから、公共劇場で働く方のお話を聞く機会があったのですが、「非正規でまずは業界に潜り込んで経験を積んで、中途で正社員を目指す方が現実的、新卒ではなかなか厳しい世界。」とおっしゃっていました。なんとなくわかってはいましたが、やっぱりそうなんだ…とがっかり。



公共だろうが民間だろうが、とにかく間口が狭い業界ということですね。



小劇場の制作の見習いをやってみる


さて、社会人になってからも演劇熱は冷めることなく、私は偶然ツイッターで目にした「制作のお手伝いしてくれる方募集」の投稿に飛びつきます。


小劇場系では有名な芸能事務所所属の制作者で、私は小劇場の演劇作りにも興味を持ち始めていたので、ぜひ勉強させてほしいと連絡しました。


しかしながら、向こうが求めているのは本業としてやっている人であって、私のような別の業界の人間は雇えないと。当たり前ですね…。ということで、いつか自分でも小劇場の演劇を作ってみたいと思っている、無給でいいから仕込みや稽古場に入れてくれ、と頼みました。

すると面接してくださり、まさかのOK。
(本当に優しい方で、今でもときどき連絡をくださいます。)


小劇場界隈ではかなり大きな規模の商業劇団の現場に入れていただきました。

稽古場での制作者の立ち回り方や、仕込み期間のえげつない運動量(荷物運び入れるのが地獄)、初日開幕までの地道な作業(折り込みとかこれまた割と地獄)、色々経験させていただきました。


このご縁をきっかけに、業務委託で副業の話をいただくようになりました。私の会社は申請が通れば副業OKなので、「劇団の手伝い」と称して、休みの日にときどき下北沢の小劇場で働きました。


ここで劇場バイトの経験が生きる生きる!!
特に詳しい説明なしで物販に放り込まれても全く問題なし。経理の計算も基本ノーミス。
(大学時代パンフレット売りまくってたので!)

もぎりや、お客様や関係者の誘導もやりました。懐かしかったし、楽しかったです。



脚本を書き始めてみる


社会人2年目になった頃、私は突然「自分で作品を書いて上演したい」と思うようになりました。急にクリエイター側!?という感じですが(。-∀-)

詳しい経緯は忘れましたが確か、音楽座の「リトルプリンス」を東宝がライセンス上演したものを観に行って、猛烈に感動して、日本でもこんなにすごいミュージカル作品が生み出されていたんだ!!(☜とても失礼)と感化されたのがきっかけだったと思います。


その後すぐに1作目を書きました。
(書き方がよく分からなかったのでオンラインの初心者講座みたいなものを1回受けて、あとは他の人の戯曲の体裁を真似して書きました。)

そして、リトルプリンスで主役をされていた某女優さん(私が作品を書きたくなったのはこの方の素晴らしいお芝居のお陰といっても過言ではない)にどうしても見せたくなって、事務所に送りつけるという謎行動をしました。
すみませんでした(´ω`)
(きっと速やかに捨てられたことでしょう)


例の小劇場の方にも出入りしている時期だったので、折り込み作業中に、「実は自分で作品作ってみたくて、今脚本勉強しているんですよー」と雑談程度に話をしていました。

するとその話を聞いた一人の女優さんが、脚本勉強してるなら〇〇は応募してみた方がいいと思うよ!とアドバイスをくださいました。

身バレ防止のため〇〇と伏せていますが、公募から作品が選ばれて、プロに演じてもらうことができるという新人向けのイベントでした。


私はやはり単純なので、素直にそのイベントに応募しました(笑)
が、残念ながら1回目の応募は落ちてしまいました。


ここで、学生時代の人脈が私を救ってくれます。例のとある会社のインターンで出会った演劇をやっている彼女が、脚本を手直しするために本読みに来てくれたのです。

実は私は頭の中で、その子にあてがきする形で作品を書いていたので、表現が本当にドンピシャで。

さらにその子の知り合いの方や、バイト時代の仲間、中学時代の演劇好きの友達など、色々な方面から人が集まってくださり、とても充実した本読み会になったのでした。


そしてブラッシュアップした原稿を再度イベントに応募しました。するとまさかの採用!!その回は倍率10倍の激戦だったようで、たくさんの方のお陰で選出してもらうことができて、感謝でいっぱいでした。



イベント参加、そしてユニット立ち上げへ


無事にイベント参加を終え、その勢いで同じ団体が主催している戯曲講座に通い出し、イベントをきっかけに私の作品に興味を持ってくださる方も増え、プロの劇作家の方からも、とりあえず一回上演トライしてごらん?と言われ、単純なので(3回目)言われた通りにユニットを立ち上げました(笑)


人員と予算が限られているので、劇場とのやりとりもキャスティングも経理も稽古場下見も何もかも自分でやっているのですが、過去の経験全てが生きています。(細かい制作業務と票券は、制作助手さんに頼もうと思っています。)

私は本業でチラシデザインもやっているので、フライヤーデザインも自分でできました。
ラッキーです(´ω`)


実は、最初の劇場選びがとても困ったのですが、小劇場の稽古場に出入りしていたときに、同じく勉強に来ていた大学生と話す機会があり、"初めて公演を打つならアトリエみたいなところが安くていいですよー、〇〇とか△△とか!"と、安い劇場情報を教えてもらっていました。

その時のアドバイスを参考に下見をして、アクセスが良いのに価格もとても良心的、スタッフさんもオーナーさんも女性で、安心してやりとりできる劇場が見つかりました。


それから、役者集めにも苦戦しましたね。
サークルや劇団に所属した経験がないというのが痛かったです。プロの方とのご縁はやたらと増えたのですが、いかんせんギャラを払えないので、お声がけできず…。

アマチュアorセミプロを条件に、"友人の友人"や"友人の後輩"など、つてを辿って声をかけてもらいながら、なんとか必要人数が集まった次第です。本当にありがたいです。

こうして、立ち上がったばかりの演劇ユニットは少しずつ公演に向けて動いています。 

※特にここでは宣伝はしません(´-ω-`)♡


まとめ


演劇には本当に色々な関わり方、選択肢があるなと思います。

役者、プロデューサー、制作、脚本、演出、音響、照明、衣装、大道具小道具、舞台監督、当日運営、物販、、、、

本業にするのか、副業(趣味)にするのか。
所属するのか、フリーでやるのか。

私は紆余曲折ありましたが、色々な経験をして、色々な人と出会って、今はプロデュースと制作と脚本と演出に副業でチャレンジできています。

とにかく人と人とのつながり、ご縁が大切な世界。ダメ元でも自分から動いてみることが、次のステップにつながっていくように思います。


あまり良い例ではなかったかもしれませんが、参考までに、これまでのことを書き記してみました。

お読みくださりありがとうございました。

公演準備頑張ります!
では☺︎

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?