【ポケモンユナイト】移動速度について

はじめに

初めてサポートメダルについての記事を書いてから早半年、ずっと逃げ続けてきた移動速度 (MS) についての検証をようやく行いましたので、その成果について本noteで報告します。また冗長になってしまったので、太字だけ読んでも結果だけは分かるようにしておきます。

測定方法

測定にはルカリオを用い、測定はテイア蒼空遺跡の練習場で行いました。Fig. 1上部に示す位置からストップウォッチによる計測を開始し、Fig. 1下部に示す位置に到着した時点で計測を終了しました。測定は3度ずつ行い、結果の最大小の差が0.1 s未満となることを確認し、それらの平均値を測定値としました。

Fig. 1 測定開始および終了位置

結果と考察

足し算補正

まず、持ち物やメダルを何も持たない素の状態の測定を行いました。次に、サポートメダルや学習装置を用いてMS補正を35 (金1枚), 49 (銀1枚銅1枚), 56 (銀2枚),  105 (金1枚銀1枚銅2枚) のように変化させ、同様に測定を行いました。結果をTable 1に示します。Table 1から、35のMS補正でさえきちんと効果があることが分かりました。

Lv1-4, 5-6, 7-8, 9-10, 11-15における素の状態のMSはそれぞれ3700, 3850, 4000, 4150, 4300 mm/sであることが知られており、これらの値と測定値から測定区間の距離 (各計算結果の平均値) を求めたところ、測定区間は54212 mmであることが分かりました。MSの足し算補正は素のMSに直接足し算するだけでよいと予想し、求めた測定区間の距離÷MS予想値 (測定区間を走るのにかかる時間の推定値) の計算を行いました。その結果をTable 2に示し、測定値との差をTable 3に示します。Table 3から、測定値と推定値がよく一致することが分かり、確かにMSの足し算補正は素のMSに直接足し算するだけでよいことが分かりました。つまり、例えばLv9 (MS4150 mm/s) でMS補正105を与えた場合、MSは4150+105=4255 mm/sに変化すると計算できます。

掛け算補正

最も頭を悩ませたのが掛け算補正についてです。最初は足し算補正の計算の後に掛けるだけだろうと予想して計算を行いましたが、測定区間を走るのにかかる時間の推定値は測定値を大きく下回りました (つまり、単純に掛け算してしまうとMSが大きく見積もられてしまう)。そこで、MSには基礎値が存在し、その部分にだけ掛け算補正が乗り、レベルアップやその他足し算補正は最後に計算されると予想しました。しかし、基礎値をどのように設定しても計算が合わず、また内部データとしてMSが3700, 3850と与えられているのだから、わざわざレベルアップによるMS変化を足し算補正として処理していないだろうという結論にも至り、この予想が不適であることが分かりました。

他のMOBAの計算方法も参考にしたところ、LoLと同様の考え方によって測定したデータと計算値が一致しました。LoLのWikiによると、MSは

(基礎値+足し算補正)×掛け算補正

によって求めた後、

【MSが415から490の間のとき】
(MS-415)×0.8+415

【MSが490以上のとき】
(MS-490)×0.5+(490-415)×0.8+415

というMSを減少させる処理を行うようです。ユナイトではこの415や490というMSのキャップや0.8や0.5というMSのカット率をいじって実装されていると予想しました。数字をいじくりまわして計算して回ったところ、この415を5000に、490を6000に、カット率はそのままにすることで測定値と計算値がよく一致しました。

https://www.loljp-wiki.jp/wiki/?%A5%C7%A1%BC%A5%BF%A5%D9%A1%BC%A5%B9%2F%A5%B9%A5%C6%A1%BC%A5%BF%A5%B9%2F%B0%DC%C6%B0%C2%AE%C5%D9

ユナイトは掛け算補正の重複を割合部分の足し算で行うことが多いため、MSでもそうであると予想して計算しました。つまり、例えば持ち物やメダルで622のMS補正を与え、軽石の20 %とスピーダーの45 %の掛け算補正が働くと

(素のMS+622)*1.65

となると予想しました。また、この値が例えば6500となったとすると、

(6500-6000)*0.5+(6000-5000)*0.8+5000

という処理を行ってMSの減少処理を行いました。このようにして測定、計算を行った結果をTable 4-6に示します。Table 6から、0.1 s前後の誤差がどうしても見られてしまうものの、この方法によってある程度MSが見積もれることが分かりました。見積もりが誤っていたとしても、少なくともMSは掛け算といった強烈な補正を掛けることでその上昇率は大幅に減少することが分かりました。例えば、Lv11では測定値は12.61 sであるため、1.45倍の補正が得られるスピーダーを用いると測定値は約8.70 sになると予想できますが、実際の測定値は9.14 sと、約1.38倍の補正しか得られていません。

MS計算方法まとめ

【MSの算出】
(ステータス+足し算補正)×掛け算補正の総和

例 : Lv9でMS4150のピカチュウに軽石を持たせ、メダルで105の補正を与え、更にスピーダーを使ったときのMSは
(ステータス4150+軽石150+メダル105)×(100+軽石20+スピーダー45)/100=7268

求めたMSが
【5000未満のとき】
そのままの値がMSとなる

【5000以上6000未満のとき】
(MS-5000)×0.8+5000の値がMSとなる

【6000以上のとき】
(MS-6000)×0.5+(6000-5000)×0.8+5000の値がMSとなる

例 : 上の例ではMSは7268で6000以上なので
(7268-6000)×0.5+(6000-5000)×0.8+5000=6434
スピーダーを使わないで軽石効果中だと5286で5000以上6000未満なので
(5286-5000)×0.8+5000=5228
軽石の効果が発動していないと4405で5000未満なので4405

具体的なMSバフの見積もり

思いついた順に様々なMSバフの効果を箇条書きしていきます。

  • ピカチュウに対するスピーダーの効果はLv5では1616、Lv7では1640、Lv9では1658、Lv11では1617。スピーダーのMS補正は大体1630くらいと見積もれる。

  • Lv9バナの花舞の効果はLv9では2592、Lv11では2585。メダルでMSを245盛ると2817。

  • MS35の効果は上下レーンの移動が0.1 s早くなる程度。105では0.35 s。

  • メダル1枚分の効果は大体1/46スピーダーくらい。学習装置の効果は1/11スピーダー。

  • MSが100異なる相手をブリンクなしで追った場合、40 sくらい追っかけ回したら大体マジシャ1個分くらいの距離が縮まる。

結論

今回、長らくサボっていたMSについての検証、考察を行いました。その結果、足し算補正については測定値と計算値がよく一致したものの、掛け算補正については─ある程度の推測はできたものの─はっきりとした断定には至りませんでした。しかし、大きなMS補正を与えてもそのままの効果が見られないことは確実であり、何らかのMSカット補正が掛けられていることが分かりました。本noteがMS補正についての更なる検証やビルドを決める際の一助足り得たら幸いです。

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